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8 お姫様抱っこ
「……あ、これをこうすれば………うん……あぁでも………」
書き進める。
「ルシアさぁん!もう止めて下さいぃ…!」
ルルシアの名前が慣れないらしいオーウェンは泣きながら僕の偽名を呼ぶ。
「ルシア…!頼むから寝てくれ…!」
ルルシアの名前で覚えちゃうと外でも言っちゃいそうで怖いからと言う理由で止めているアリア君は顔を真っ青にしながら僕の偽名を呼ぶ。
無論、僕は気付かない。
「はぁ……こうなったら、アレをやるしかないな」
ただならぬ雰囲気を醸し出す。
「「『アレ』…?」」
頭にハテナマークを浮かべている2人を放っておき、僕にズンズン近付く。
「ふん…!」
サッと僕を抱き上げた。
暫くペンで空を書いていたが、虚ろな目に光が宿って止まる。
「え!?ぐ、グレイさん!?ど、どうしたの!?」
思わず素が出てしまった。
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