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40 聞いて欲しい事があるんだ

SQEXノベル賞に落ちてしまいました!悔しいけど、仕方が無い!

「っ…!」

 弾かれた様に走り出し、洗面所に駆け込んで行った。


(ヤバッ…!)


 色々と限界だが、追いかける。

「イリア!ストーーーーップ!!!」

 犬にでも指示しているのかな?僕はと思う。が、取り敢えず、止めなくては。

「何でですか?気持ち悪いでしょう?」

 鋏を目に突き刺そうとしているイリアの手を握る。

「前に言ったでしょ?それなら僕も同じだよ」

 この行動を初めて見たのは、別邸で暮らし始めて直ぐの事だった。



「イリアぁ…今から稽古してくるけど、一緒に行く?」

 タッタッタッと軽やかに階段を降りながら話しかける。

「………」

 いつもだったら直ぐに行きます!と元気な声を響き渡らせるのに、と不思議に思ったので、イリアを探す。

「イリアー?」

 キッチンにもリビングにもいない。


(自室で寝ちゃってるとか?)


 何だか胸騒ぎがして、イリアの自室まで走る。

「イリア!」

 バンッと扉を開けると…

「………」

 片目が血だらけのイリアがこれまた血だらけの果物ナイフを持って鏡台の前に座っていた。

「ちょっ…!どうしたの!?」

 こちらに気付く様子もなく、もう片方の目を傷付けようとするので、慌てて止める。

「止めないで下さい」

 淡々と機械じみた声で僕を制する。

「止めるに決まってるでしょ!?僕の()()なイリアが傷付いてるんだもん!!」

 ピクッと肩が動き、こちらをゆっくり見る。

「私は大切ですか?」

「そうだよ!!だから、大切なイリアをイリア自身が傷付けないで!!」 

 間髪入れずに肯定する。

「夢を見たんです…。その夢の中ではルルシア様やグレイ様…ジェイコブ様まで私を『気味の悪い子』『死んでしまえばいい』と罵るんです。

こんな事、初めてで…嫌われたくなくて…」

 人に嫌われたくないと泣くイリアはとても幼く見える。

「イリア。僕さ、六芒星じゃん」

「?はい…」

 急に全く違う話を始めた僕にハテナマークを浮かべて首を傾げる。

「そんな僕は気味が悪い?」

「そんな事無いです!!貴方は私を救ってくれた大事な人ですから!!」

 そこまで叫んでハッとする。

「だからさ、イリアが『気味の悪い子』なら僕も『気味の悪い子』なんだよ。もし、イリアが誰かに嫌われたら、僕も一緒に嫌われてあげる。そうしたら、『一緒』でしょ?」

 ニパッと笑い、パンッと手を叩く。

「これでこの話は終わり!

僕、これから稽古なんだよね。一緒に行く?」

 少し明るめのトーンで言うと、イリアは自分の涙を拭って…

「はい!行きます!」

 輝くような笑顔で答えた。

 


「ほら。鋏、こっちに渡して」

 スッと鋏をこちらに渡してきた。

「ありがと」

 スッと腕を引いて、リビングに戻る。

オーウェンとアリア君は驚いてしまったのか先ほどと変わらない位置で立ち尽くしていた。


(イリアの黒い瞳()を忘れさせるには、それよりも大きいインパクトを与えれば良い)


 これでもし、僕が嫌われてもそれで良い。

「聞いて欲しい事があるんだ」

 顔を上げた僕の瞳は決意に燃えていた。

明日の投稿はお休みさせて頂きます…!お手数おかけしますが、次は6月2日朝8時にてオマケを投稿します!

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