33 犯人はルルシア
短く艷やかな銀髪に紺色の瞳の見覚えしかない男子生徒。
「グレイさん…?」
そう言えばグレイさんも入学してるってジェイコブさんが言ってたなぁと現実逃避する。
と、言うか…
(…何で皆無言なの…?)
怒鳴り込んで来たグレイさんまでも無言だ。
何かやらかしたかな…あ!
「グレイ兄さん。どうしたの?」
僕がグレイ…兄さんを『さん付け』はおかしいよね。僕を虐待してるのかって疑われちゃう…それは絶対に嫌だ。
でも、少し恥ずかしいなぁ。
「ぐはッ…!」
何かに撃たれたかの様に胸を押さえて苦悶の表情を浮かべるグレイ兄さん。
「え…大丈夫?グレイ兄さん」
手を伸ばそうとすると、オーウェンとアリア君が僕を守るかの様に間に立つ。
「コイツは絶っっ対に変質者ッス!気を許しちゃ駄目ッスよ!?」
「オーウェンの言う通りだ!コイツはヤバい!」
グレイ兄さんが不審者扱いされてる…止めさせないと。
「その人は僕のお兄ちゃんだから!不審者なんかじゃないよ!」
「ゴハァっ…!」
グレイ兄さんがパタリと倒れてしまった。うつ伏せの状態で、血文字で何かを書いている。
【俺の天使、可愛すぎ】
被害者が残したダイイングメッセージ!?一体、誰が犯人なんだ…!




