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15 綺麗
ササッとその場から離れ、階段を駆け上がる。
昨日、偵察に来た時に妹を見た窓がある部屋を探す。
(この部屋か?)
静かに扉を開ける。
誰も居無い空き部屋だ。即ち、ハズレ。
(効率が悪いが…フランリーラと僕を会わせたくはないであろうお父様に部屋を聞く訳にはいかない!)
ガチャリと他の扉を開けるもハズレ。
「くっ…!これは骨が折れる作業だぞ…!?」
手当たり次第に部屋の扉を開けたり閉めたりするが見つからない。
「あ゙〜!くっそ…!」
段々とイライラしてきた。
「〜〜〜♪」
そんな時、微かな声が聞こえた。
「誰かが歌っているのか…」
懐かしくて、悲しい。意図せず、頬に雫が流れる。
(知ってる…)
導かれる様に歌声が聞こえて来る扉を開く。
「綺麗だ…」
思わず出た素朴な感動の言葉。
窓から漏れ出る光に照らされる、品がありながらも可愛らしい水色のプリンセスドレス。顔は見えないが長い桜色の髪は輝きを放っている。
「姉様…?」
振り返ったパッチリと開く淡い黄色の瞳と目が合った。
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