17 あっさり
走る度に砂埃が舞い、自分が異常な程の速さで走っているのか分かる。
(何事にも先手必勝、ってね!)
ミノタウロスが気付いていないうちに、懐に潜り込み、顎を木刀で突き上げた。
「グォっ!?」
ふらついている間に、鳩尾に渾身の一撃を浴びせる。
「グ…ォ゙…!」
巨体はゆっくりと傾き、ドゴォンと大きな音を立てながらうつ伏せになった。
「案外、あっさりだったね」
もう少し持つかと思ったけど。
拍子抜けしてしまった。
「か、勝った…?」
教師達の誰かがポツリと呟いた。
「勝ったぞ!生き残れた!!」
「死ぬかと思ったわ…」
「生きてる!生きてるぞぉ…!」
次第にその声はドンドン大きくなっていき、中には抱き合って涙を流している人もいた。
(ミノタウロスも殺さずに済んだし!万々歳だね!)
良かった良かった。
ふっ、と糸みたいな緊張が解ける。
あぁ、僕は結構緊張してたんだね。殺してしまったらどうしようとかもしも自分が死んじゃったらどうしよとか。そうなったら、イリアも悲しんじゃうよね。
あ。木刀どうしよう。もとに戻す方法が分からないや。
スッと視線を木刀を持っている右腕に移す。
「え?」
自分の右腕の血管が紫色に変化して、浮き出ている。明らかに異常。
「っ…!」
自覚した途端に、片膝を付いてしまうほどの強烈な痛みが走った。
(怖い…!死にたくない…!)
そう強く思いながら、意識を失った。
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