14 嫌いなタイプ
今年もよろしくお願いします!
声がした方向へ体を向ける。
ゴッテゴテの服を着た小太りの茶髪で薄毛、僕に似た青色の瞳のおっさんが居た。
何と言うか…生理的に気持ち悪い。
「お前がこのぼくに会いたいと執事長に懇願していたらしいからな。わざわざ、時間を取ってやったんだ」
明らかにこちらを見下した目と口調。
(うっわ!ムカつく…!)
俯き、必死に怒りを堪える。
「ほら、どうした?ぼくも暇じゃ無いんだ」
バッと顔を上げ、笑顔を作る。
口元が怒りで震えているのは御愛嬌だ。
「お父様にお会い出来て光栄です」
ニタァと笑いかける。ヨイショして、妹の情報を聞き出すと言う算段だ。これが効果的だと前世の記憶や経験がある僕は思う。
「…え?は、ハハハッ…!そうだろう、そうだろう!ぼくは学園で『白馬の王子様』と持て囃され、ちやほやされたんだからな!そんなぼくが親なのだから、誇らしいだろ!?」
過去の栄光にしがみつく、周りの人から嫌われるタイプ…。
「…えぇ、誇らしいです」
ここは更にヨイショしておくべき場面だろう。
「あぁ!そう言えば、フランリーラは居ないのですか?」
あたかも『今、思い出した』的な感じでそれとなく聞く。
「い、イナイゾ」
棒読み。会わせたくないんだなって良く分かる。絶対に分かる。10人に『会わせたくないんだなって分かる?』って聞いて、10人とも『分かる』って答えると思う。
「…そうなんですか。久しぶりに顔を見たかったのですが…。留守なら仕方がありません」
少しガッカリした様に見せる。
「ん゙ん゙!で?このぼくに何か用なのか?」
(仕切り直したな)
「はい。魔法の勉強を、と思いまして。その為に魔法の事について書いてある教科書が欲しいのです。貴方のような偉大な方の子供である私が足を引っ張る訳にはいかないでしょう?」
完璧な笑顔と一人称。
「いい心がけだ!早急に準備させよう!」
ご機嫌だ。ホントに単純だなぁ。
「執事!魔法の教科書を何冊か取り寄せろ!」
パタパタと何処かに走って行った。
(さて、妹と接近するまたとない機会だ…!)
次回、妹と初対面。
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