31 鞄の奥底に仕舞っていた為、ルルシアの匂いしかしない
「そうだったんスね!良かったぁ…」
オーウェンはヘタリとその場にしゃがみ込む。
「そういう事にしとく」
アリア君はニヤリと意地が悪そうに笑った。
(た、助かったぁ…!)
「?ドラさんは巨人族じゃ…」
「イリア!!あ、あのさ!えっと…そうだ!好きな人って誰だったの!?」
なるべく大きな声で遮る。
「へ?好きな人はル…ルシア様とオーウェンとアリア君と」
「うん?」
「厨房の余り物でお菓子を作ってくれるタットさんと、第3王子殿下です!」
いっぱい居るね。普通好きな人って誰か1人じゃないのかな?
「タットさんって方は知らないけど、ヴィフィーラ殿下も好きなんだね」
あ。そう言えば、サインを渡してなかったね。鞄の奥底にある筈だけど…グシャグシャになっちゃってるかな…?
「ヴィフィーラ殿下って誰ですか?」
「第3王子殿下だよ。フルネームはヴィフィーラ・レッドレル」
自分の鞄をガサガサと漁り、クリアファイルに入っていた2枚の紙を取り出す。
「「あ!それは…!」」
2人共同じ教室なので、知っているのだろう。まぁ、あれが原因でクラスメイト達に嫌われているのだが。
「ジャジャーン!ヴィフィーラ殿下直筆サインでーす!」
「え?えー!?ホントですか!?ありがとうございます!!」
奪い取る様にサイン入りの紙を受け取る。
「初じめての登校日に書いて貰ってそのままだったんだよ。ごめんね」
「えぇ〜!ヴィフィーラ殿下の匂いを嗅ぎたかったです…!」
イリア、それは変態発言だよ。
僕でもそう言うと思うけど。
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