22 1番五月蝿いのは僕
(魔術…僕以外に使える人が居たんだね)
よ〜〜〜〜〜〜く見たいけど、流石に不躾だよね。
「フフフフフフ」
駄目だ…研究したい…!
戒めの為にパンッと頬を叩く。
しかし…
(煩悩が消えない…!)
「だ、大丈夫ッスか…?」
いきなり自分を叩いたと思ったら、ヤベェ笑顔でニヤニヤしている僕を心配してくれたらしい。
「大丈夫大丈夫」
ニヘリと笑う姿に少し引き気味のオーウェン。
「おやめ下さい!」
「聞いちゃ駄目ですよ」
「分かっているとも!」
セレナが連れて行かれるのを見て悲鳴じみた声を上げるレラーヌちゃん。
(目を合わせ言葉をかけるだけで操るあの魔術は魅力系…つまりは、精神を操る魔術…!)
「セレナも謝りなさい!それで済む話よ!!」
「アストリア殿下、怖ぁいお姉ちゃんをお片付けして下さい」
「任せてくれ!ほら、早く連れて行け!」
興奮気味のアストリア殿下。
(精神に干渉する魔術は『宰相』に禁止されてたんだよね…!だからこそ、もっともっと調べたい!)
「私は戦場から帰って直ぐに何度か自死をしようとした…。しかし、ヘレナはそれを止めてくれました。今度は私がその凶行を止めるんだ!」
自身を抑え込んでいる人を振り払い、謎の使命を燃やすセレナちゃん。
(精神に干渉するには、繊細な魔術操作が強いられる)
「もうこれしか無いのよ…!」
何処からか取り出した刃物を手に持つ。
(穴が小さい針に糸を通すよりも難しい操作を使えるのは限られた人間のみ…!)
「キャア!お姉ちゃんが私を殺そうとしてる!!」
「ヘレナ!」
サッと間に入る様に庇うアストリア殿下。
(もしも失敗したら、術者並びに被術者が廃人と化す危険な魔術に手を出す人間は少ない中での限られた人間が今、目の前にいる…!)
「そんな事したら、本当に捕まるわよ!!?」
「それでも!止めるのが!姉である私の役目です!!」
その言葉に胸をときめかせるレラーヌちゃん。
(どうやってやったんだろう?
蠢く意識の糸を何本か切った後、新しい糸を繋ぎ直したのか?
それとも、解いて1から都合の言い様に編み直したのか?)
「でも、止めて!私は…貴方の事が…!」
「裏切るのか!?レラーヌ!!」
庇いながら叫ぶ、アストリア殿下。
「アストリア殿下ぁ、早くお姉ちゃんを倒して下さいよぉ」
喚くヘレナ。
「あ゙ぁ゙もう!!五月蝿いよ!!!考えが纏まらないじゃないか!!!!」
この中で1番大きい声を出した。
ブックマークをしてくださると、嬉しいですッ…!




