工房
神蔵市よりも遥かに建造物が増え、都会の空気に工業地帯独特の匂いが混じった場所に、工房来訪者の駐車場があった。車をそこに停めて、リカと二人で歩いて工房まで向かう。運転手の片桐さんは暫く休憩だ。
「ここを左に行くとショップエリアよ。工房で作った製品を売ってるお店が沢山並んでる。暇な時に行ってみるといいわ、有意義な時間を過ごせるから。私達が今日行くのは右。昔は工業地帯だった場所なんだけど、ダンジョンが出来るわ、大企業に買収されるわで色々生まれ変わった工房エリアよ」
突き当たりを右に行くと、工場というには少し小さい、されど近所のスーパーよりは広い様な建物がいくつも並んでいる。
「叔父様のアトリエ……じゃなくて工房は一番奥よ。ったく、なんで工房なんて名前なのかしら。アトリエの方がオシャレだと思わない?」
「わかりますよ、ダンジョンの事を迷宮って呼びそうになる事とか、よくありますから」
「それはちょっとわからないわね」
このクソアマが。
そんなこんなで辿り着いた場所は、周囲の建物より少し小さな、だけど真新しくて綺麗な建物。
自動扉を通ると正面に受付があり、そこでリカが手続きを始めると同時に、中から白い研究服を着た男が出て来た。
「待っていたよリカ! そして君が実験体……じゃなくて患者様だね! 僕は諏訪部、工房長さ! さぁ、早くこちらへ!」
「よろしくお願いしま……え? 今実験体って言いました?」
「ん? 言ってないが? さぁ、早く来るんだ」
不安にしかならないが、まぁ長谷部さんの紹介だし、きっと大丈夫だろう。多分。
案内された部屋は病院のような場所で、色んな測定器具が置いてあった。
「上だけでいいから脱いでくれ」
終始ワクワクしたような諏訪部さんに従い服を脱ぐ。
だが、俺の身体を見て途端に真顔になった。
「……酷い傷だな。これが、ダンジョンの深層に落ちた者の傷か」
そういえば、迷宮でキメラにやられた背中の傷も、暴風竜のブレスで抉られた腕や胸の傷も、未だ残っているんだよな。でも痕が残っただけで、後遺症などは無いから大した問題ではない。
「……ごめんなさい、助平心で覗きに来た事後悔してるわ」
振り返ると、ドアの隙間から顔を覗かせたリカの姿。なんかいるなとは思っていたが……
「助平心で覗いてたんですか? お嬢様?」
ジト目で睨んでから、諏訪部さんに向き直る。
「ともかく、君の筋肉量ならこれくらいの重さは問題無いだろう」
そう言いながら机の上に置いてあった物を俺の身体に装着し始めた。
それはなんらかの金属で出来た鉛色の胸当てに見える。
そして、その胸当てから生える様に、左肩、そして左腕の義手へと繋がっている。いや、義手と言うよりも籠手と言った方がしっくり来る、精巧な作りの装備だ。
義手を着けてから案内されたのは地下――いや、ダンジョンだ。
「ここはウチが所有するダンジョンさ。安全な一階層で魔道具の実験を行っている……あぁ、探索者協会の人は気にしなくていいよ。僕らが非道な実験を行わないか、そして探索者証を持たない君が決まりを破らないか、見ているだけだからね」
ダンジョンの入り口からこちらを窺う探索者協会の職員を見る。
工房が所有しているダンジョンであっても、探索者協会が管理するのは同じらしく、彼のように協会から派遣されて工房に常駐してる職員もいるらしい。そして俺は探索者証を持たない人として、彼から色々注意を受けた。
まぁ、気を付ける事は二階層以降へ降りない事、探索者証を持ってる人から離れない事くらいだ。
「さて、早速だがその義手に魔力を流してみてくれ」
待ちきれないといった様子でワクワクしている諏訪部さんに言われるまま、やってみる。因みに、いつの間にか観客が増え、この工房で働いてるらしい大人達も覗きに来ている。
「うわ、なんか無数の針に刺される様な感覚が……」
「よし、第一段階は問題無いな。そのまま動かせるかな?」
動かすって、どうやって?
魔力を流したから魔力操作の要領でやればいいのか?
そう思って試してみるが、まるで岩を持ち上げようとしてるような感覚で、僅かにしか動かない。
でも、僅かに動くと言うことは、力を込めれば――
「ふんぬ!」
その瞬間、俺の肘から先はあり得ない方向へ曲がると同時に弾け飛んだ。
「うわぁ! なんだよこれホラーかよ!」
義手だったからよかったものの、腕を斬られたあの日の光景がフラッシュバックして、割と本気でビビった。
しかし俺の悲鳴とは違った悲鳴――いや、歓声を上げる工房の職員達。
「よっしゃぁ! この方向性で間違っていない様だ!」
いや間違ってるわ! と言いたい気持ちを飲み込んで静かに装備を外す。
こんなおっかない物着けてられない。
「いやぁ、ありがとうね。次は完璧な物を用意出来るから、もう少しだけ待っててくれ」
「え? あれで終わりなんですか?」
「あぁ、作りかけの作品に改良を加えて行ってるだけだからね、今日知りたかったのは君の魔力操作脳力がどれ程高いのか、それからこの作品がどれほどの魔力負荷に耐えられるかだけだったんだ。さ、僕らは義手の改良に着手するから帰った帰った!」
まぁ、俺にはよくわからないし任せるしかないか。
その後、リカと共に工房を出ながらさり気なく聞いてみる。
「ここの工房では義手を作ってますけど、機械人形とかも作れたりするんですか?」
俺の質問に、意外な程に食い付いたリカがこちらを向く。
「何よ、アンタそういうの興味あるわけ? 戦うロボット的なの」
「ま、まぁ……俺はソロで探索する予定ですし、自動でサポートしてくれる機械人形みたいのがいたら便利だなって思いまして……」
「そういう事ね。確かに戦闘用アンドロイドは結構前から研究されていて、もうすぐ実用可能って言われてるけど……ここじゃ流石に作れないわよ。作るとしても、精々腕や脚のパーツくらいね」
「もうすぐ実用可能、ですか」
それはいつになるのだろうか?
リュドミラは具体的な期限を設けなかったが、あまり遅くなる様なら多少スペックが低くとも、戦闘用以外のアンドロイドでいいのだろうか。後で聞いてみよう。
工房の後は、リカの提案でお昼を食べに行く事にした。時刻は二時、少し遅めのランチだ。
「ショップエリアのフードコートも悪くないけど、少し歩いた所に美味しい天丼屋があるのよ。さっき爺やに電話したら、胃もたれするからって断られたけど。まったく、年寄りみたいな事言って」
いや、片桐さんは結構いい歳に見えるぞ。
少し歩くと、ショップがいくつも並んでいる商業施設が見えて来る。
『あれが全部魔道具のショップだと言うのですか……? すこぶる興味が湧きますね』
リュドミラはこの世界の電化製品や魔道具に興味があるらしく、今もショップを覗きたそうな声が聞こえる。
しかし、今日は自由行動出来ない為、後日また来る事にしよう。
「こっちの細い道にあるのよ。隠れた名店ってやつね。まぁ、アタシがSNSに投稿してからは皆んなに知られる人気店に変わったわけだけど」
流石は人気配信者、すごい影響力だ。
そうして案内された店は、個人経営の小さな定食屋の様な場所だった。
「いらっしゃい長谷部様。お待ちしておりました」
店主と顔馴染みらしいリカに続いて店に入る。
人気店と言う割には客が一人もおらず、ふと営業時間の立札を読んだら――
「あれ、十四時までって……」
「アンタを案内する為に、大将に無理言ったのよ」
それはすまない事をしたと軽く頭を下げると、大将は笑顔で首を張った。
「いえいえ気にしないで下さい。元々、この時間にもう一組予約が入っていましたから、寧ろ丁度よかったです」
「あら、そうなの? 営業時間外に予約入れるなんて、迷惑な奴らね」
それアンタが言う? と思ったけど、一緒にここにいる時点で俺も同罪だ。
「どうぞお好きな席に。もうすぐ出来ますから」
遠慮なく広めのテーブル席につき、食事が始まる前に先んじて言っておく。
「今更ですけど、ご存知の通り左手が無いので行儀が悪いかもしれません」
基本的に食事は両手で行うものだから、片手で食べる俺はあまり良く見えないだろう。特に、相手はお嬢様なのだし。
無礼を許してほしいというニュアンスで伝えると、リカは大したことでは無いと鼻で笑う。
「一緒に食事をする人を慮るその気持ちがあるなら、マナーなんてどうでもいいのよ」
……そういえば先週、長谷部さんと食事をした時も同じ事を言われたっけ。やっぱり親子なんだなとしみじみ思っていると、店の入口が開いた。
さっき大将が言っていた予約客だろう。
ガン見するのも失礼なのでさり気なく視線を逸らす――が、お嬢様は礼儀のカケラも見せずに入口を凝視したまま硬直している。
「あの、お嬢様?」
声を掛けるも、リカは口をパクパクしたまま返事をしない。
そして、来店した客の姿がハッキリ見えて――
「なんでアンタ達がここにいるのよ!!!」
そう、怒鳴った。
⭐︎
来店したのは四人組の男女。
黒髪ポニーテールの凛々しい女性を先頭に、金髪肌黒高身長の女性、それから筋骨隆々のガイストみたいなハゲと、青髪で中性的な顔をした美男子と続く。
「やぁ、リカじゃないか。君がSNSに投稿していたのを見て以前から気になっていたのだが、まさか会えるとは思わなかったよ。私達は工房の帰りに寄ったのだが、君もそうかな?」
フレンドリーに近寄って来るポニーテールの女だが、対するリカは警戒心の強い犬みたいに唸っている。
「なんだい、リカはまーだお嬢の事苦手なのかい。こんな良い子他にいないくらいなんだけどねぇ」
そう言ってポニテを褒めるのは、金髪肌黒女だ。
どうやら以前からの知り合いらしいが――
『あ、思い出しました。確かランキング一位の探索者パーティですよ。彼らは配信者じゃないから、テレビの取材くらいでしかお目にかかれないと、妹さんが嘆いてましたよね』
それだ!
どこかで見た事があると思ったが、舞に教わった探索者だ。
「何が良い子よ! それがイヤなのよ! ちょっとアンタ、アタシの言いたい事わかるでしょ!?」
一人――いや、リュドミラと二人で納得していた俺に、唐突に話が振られる。
「え? あぁ、わかりますよ。お嬢様みたいな捻くれ者からしたら、真っ直ぐな人は天敵ですからね」
「誰が捻くれ者よ誰が!」
地団駄を踏むリカを見てプッと吹き出したのは青髪のイケメン。
「リカを雑に扱える奴なんかアスカくらいしかいないと思ってたが、そうでもないらしい」
「いや、私は決して雑に相手をしているわけではないのだが……」
アスカというのが黒髪ポニテの名前らしい。
「それより、リカ。そろそろそちらの少年の事を紹介してもらえないか? 君と親しい様子だけど……」
アスカの頼みに対して、リカは勝ち誇った様に笑ってから――
「教えてあげないんだから、ヴァーカ!」
ホント、いい性格してるよこのお嬢様。
結局、俺の紹介はないまま食事が運ばれて来る。
リカは非常に嫌がったが、アスカ達は隣のテーブルで食べる事にしたらしい。
「凄いボリュームですね……」
器からはみ出るほどの具材を落とさないように慎重に持ち上げ、口に運んでみる。
サクッと音を立てて中から海老の身が覗き、濃厚な味わいに舌鼓を打つ。
そのまま食べ進めて行けば、少し蒸れた天ぷらと甘いタレ、それらが染み込んだご飯が三位一体となり――
「とても、美味しいですね」
流石はお嬢様、美味しいお店を嗅ぎ当てる嗅覚も優れているのだろう。
「ふふん、そうでしょうそうでしょう」
自分の事のように満足げにするリカを見ると、ふと視線を感じてそちらを向く。
俺を凝視していたのは青髪の美男子だった。
見れば見るほど綺麗な顔と向き合うと、この世の不公平さに腹が立ってくるが、俺が何か言う前に青髪が口を開いた。
「なんか行儀悪いと思ったら、お前左手がないのか――――」
その話か。確かに長袖を着てるから、パッと見ると左手がない事に気付けない。後から気付かれる事の方が多い。
と思ったが、青髪が気付いたのは左手の事だけじゃないらしい。
「――――まさかっ!」
そう言って立ち上がった美男子は全員の注目を集める。
そして、クツクツと笑いながら、力が抜けたように再び腰を下ろした。
「最初っからおかしいと思ってたんだ。なんで無名のモブがリカと一緒にいるんだってな。けど漸く合点がいった――お前、この前帰って来たドローン切り裂き魔だろ」
「……なんです? そのダサい名前は」
とぼけて見せるが、青髪の仲間達はハッとしたようにこちらを向き、目を丸くしている。
「……とぼけても無駄よ。アイツは家でネットばかり見てるド陰キャなのよ、アンタの動画も何度も見返してるんでしょうね」
あんな美男子なのに陰キャなのか……。
「誰が陰キャだ……けど、その通りだ。だから確信してるぜ。二年前失踪した高校生。お前にゃいつか会いたいと思ってたが、こんなに早く会えるとは思わなかった」
「すみません、ダンジョンで辛い思いをして心を病んでいるのでそっとしておいて貰えませんか?」
絶対に信じないだろうなと思いながらもそう言って拒絶するが――
「――っ! そうか、そうだろうな……すまない、我々の好奇心で君を苦しめてしまったのなら謝罪する。きっと辛い日々だったのだろう、その腕も……いや、よそう。君が健やかに立ち直れる事を、私は心から願っている」
………………。
「今、罪悪感で押し潰されそうなんでしょ? これでアタシの気持ちわかった?」
とてもよくわかった。
嘘ついてごめんなさい。
「アスカ、コイツこんな事言ってるけど、普通に探索者になろうとしてるわよ。今も講習受けてる最中みたいだし」
突然の裏切りに驚きを隠せない。
まずい、怒られる――
「なんだ、そうだったのか……良かったよ、君が癒えない傷を負っていないのなら安心だ。それどころか、再びダンジョンに潜って人々を救おうとは……君の様な高尚な人間が探索者になってくれることを、私は喜ばしく思う。歓迎するよ」
「あれ……? 聖人かな……?」
「ぶっ、だはは! 少年、なんだかんだ言ってリカと同じタイプだな!」
豪快に笑う金髪肌黒女に口を挟んだのは、巨大なハゲだ。初めて喋ったな。
「いつまでも名前を知らぬのは不便だろう。俺はガンスケという名で探索者をやっている」
「おっと、それもそうだな……アタイはケイだ」
ハゲがガンスケ、金髪がケイ。
「俺様の事を知らないわけないと思うが、一応名乗っておく。レイジだ」
「私はアスカだ、このチームのリーダーを務めさせてもらっている。全員、下の名前を探索者名として登録しているから、ダンジョンだろうと外だろうと、この名で呼んでくれ」
青髪美男子がレイジで、黒髪ポニテがリーダーのアスカだな。
「俺はリュートという名で探索者登録をするつもりです。今後どこかで会うことがあれば、よろしくお願いします」
「よろしく、リュート……君はやはり、原初の……神蔵ダンジョンを主な活動場所にするのか?」
アスカの問いに頷くと、彼女は朗らかに笑った。
「そうか、それなら今後会う機会は多いだろうな」
「……は? アンタそれ、どういう事よ!」
アスカの言葉に過剰反応したのはリカだ。
「前々から活動拠点を移そうと考えていたんだ。私達は現在都内で活動しているが、ここは人口が多く、必然的に優秀な探索者も集まりやすい。故に地方のダンジョンへ移り、そこの人手不足を解決出来たらと思ったんだ」
「人手不足って……そんなの協会が考える事よ。そもそも、なんで原初のダンジョンなのよ?」
「そりゃあ、地方の中で一番デカくて、一番最初に出来たダンジョンだからな。しかも、優秀な探索者がいないせいで、この前なんか三人の配信者と、五人組のパーティが全滅する所だったんだぜ? それこそ、そこのガキんちょが出て来なければアイツらは死んでた」
レイジの言う通り、この前の太一達は危なかったが――
「戦いは最後まで何が起きるかわかりません。俺が見た限り、彼らは優秀な戦士でした。絶望的な状況にあっても、誰一人諦めていませんでしたから。彼らを低く見る事はやめて下さい」
俺の発言の何が面白かったのか、レイジはクツクツと笑い出す。
「低く見る? 違うな。俺は見下してんだよ、無能なくせに出しゃばる愚か者どもをな」
違う。彼らが配信者の救出に向かったのは協会の依頼であり、太一は自分の弱さを理解した上で助けるという決断をしたのだ。そしてそれを信じてついて行ったのが彼の仲間だ。
俺は知っている。
覚悟を決めて前を向く人の強さを。
例え死ぬ事になったとしても、決断を下した人を間違っていたなどと言うべきではない。二度と言ってはいけない。
「――出しゃばりはお前だろ。お前みたいな雑魚が神蔵に来た所で、なんの助けにもならないんだよ」
最大の侮蔑を込めてレイジを睨むと、彼は息を呑んだ後、それを吐き出す様に笑った。
「俺様を雑魚呼ばわり、か……なるほどなぁ、それがお前の本性か。取り消すよ、お前が認めた戦士達を見下した事を。お前の事が知りたくて演技しただけだ」
演技とは言うが、本当にそうだろうか?
彼の言動の節々から、他人を見下す様な感じがしてならない。特に、自分をヤケに高く評価している所はどこぞのエルフを思い出す。
「……俺は取り消さないけどな、お前を雑魚と罵ったこと」
「ははっ、随分と嫌われちまったな。俺とお前は似た者同士だと思うんだが――」
「やめろ気色悪い。お嬢様と似てるって言われた方がまだマシだ」
「ちょ、アンタ喧嘩売ってるワケ!? アタシを引き合いに出すってどういう意味よ!」
実際さっき言われたし。
「リュート。レイジが不快な発言をした事、私からも謝罪させてくれ。私達は決して他の探索者を見下しているわけではなく、ただ皆の助けになりたいと考えているだけなんだ。ダンジョンでは何が起こるかわからない。不測の事態に対処する為にも、力ある者は一箇所に――つまり都内に固まるべきではないと考えたんだ。しかし君が私達の助けを不要と言うのなら、私達は別の場所に移る事を検討する」
レイジとは真逆で、アスカは出来た人間だ。
「いえ、アスカさん達三人には是非神蔵に来て頂きたいと思ってます。強い人が増えれば、その分安心出来ますから」
リュドミラは迷宮から魔物は出て来ないと言ったが、それでも不安な気持ちはある。だから強くて、尚且つ善人であるアスカに来てもらえるのは素直に嬉しい。
「そう言って貰えると嬉しい。直ぐにとはいかないが、私達が神蔵に行った時はよろしく頼む」
「ええ、こちらこそ」
そう言って握手を交わした時、アスカの手の皮膚が硬くなっている事に気付いた。アランやレイラみたいな、剣を握り続けた人の手だ。
きっと強い人なんだろうな。
そう感じると同時に、彼女との再会を楽しみに思った。