家族のこと
母はとても怖かった。父は今でも怖い。兄にあこがれている。妹はいい子だ。
今でこそ意見できるが、少しまだ怖い。恐ろしいわけではない。父もそうだ。
わけも分からず叱られた事を体が覚えているだけだ。頭ではもう忘れた。
母は変わったし、変わっているが、変わっていっていない。
話は聞いてくれるようになった。違和感と気持ち悪さが、発言と心のズレからはみ出している。
まだ話は聴いてくれないままだ。
父は怖い。もう僕は二十歳になろうとしている。まだ怖い。しかし超えなくてはならない。
あの話し方が苦手だ。こちらを見下ろす父の話し方だ。大人になれと焦らせる心が、僕を思春期にする。
もやもやしたこんな詩を書かせるのも父のせいだ。別に敵じゃないはずなのに、大きな壁にみえる。
気を抜いて、何も考えずに話す事は難しい。反抗期は過ぎたと思っているつもりだ。
僕は自分で先の事を決められるはずだ。
兄はすごいわけじゃないと思う。けれど、努力家だ。僕の歩いた先もこうあればいいのにとさえ思う。
兄の家に行った帰りに、吐きそうになった事がある。何てことない普通の家だった。
どうしてか解らないけれど、今でも時々そうなる。
憧れが普通だった事に絶望でもしたのだろうか。言葉になる前の、初めての気持ちだった。
また喧嘩がしたい。
強い子になってしまった。強い振りをさせてしまっている。このぼろぼろの家族を、
時々一人で支えようとするのだ。妹は努力家で、辛抱強くて、志もある。
おちゃめな妹の事を、どうしてやりたいだとか、こうなればいいなだとか、もう思わないほどに、
強くあるのだ。思春期の灰汁も強すぎて、僕はセクハラを受けている。
かろうじて僕を兄で居させてくれる。
この詩は僕のために書いた。僕が書いた。
一握りのきれいな言葉がほしかったわけではない。
気持ちの整理のためじゃない。
先の僕の決断の時に、勇気を届けるために、書いた。




