第六章<帰宅警備部活動開始>
初めての帰宅警備部の活動をする朝長と涼夜。
そんな時さっそく事件に遭遇します。
「うん、こっちの大通りは特に異常はないみたいね」
「そ、そうだね」
はぁ...なんでこうなったんだろう...
謎の帰宅警備部とかいう部活に入っちゃったし...
そもそも、なぜこんな部活を先生達は承認したんだ?
「それじゃあ次は、あっちの方を見に行きましょうか」
「うん•••」
しかもよりにもよって、この部活の部員月島さんと僕とで二人だけだし、普通の高校生活ができればいいのに月島さんと一緒にいたら目立っちゃうよ...
「あ!あそこにタピオカのお店があるわ!行きましょう!」
「月島さん、タピオカ好きなの?」
「えぇ、甘くて美味しいもの。朝長くんも甘いもの好きでしょう?」
「まぁ好きだけどね」
月島さん、僕が甘い物好きって覚えていてくれたんだ。
お店の前に立つとそこそこ歳をとった男がお店に立っていた。
「お二人さん、何にする?」
まじか、その歳してタピオカ作ってんのかこの人。
「朝長くん、何にする?私イチゴミルク」
「じゃあ僕は、チョコミルクで」
「はいよ、イチゴミルクにチョコミルクね」
店員は、手慣れた手つきで素早く作っていく。
「はいよ、イチゴミルクとチョコミルク」
「お金は僕が払っておくよ」
「それは悪いわよ、私の分は私が払うわ」
「いや、ここは払うよ」
「そう•••ありがとう、優しいのね」
「そ、そんなことはないと思うけど」
涼夜の表情は、少し赤かった。
思った通り朝長くん優しいわ!
これはポイント高いね。
えぇ、だって私が目をつけた子だもの、これくらい当然よ!
最初に目をつけたの私なんだけど...
真昼より先に感じていたわ、だから私が先。
ひどくない?
「坊主、見たところ一年生だな?やるなぁ!入学早々こんな可愛い子を彼女にするとは、羨ましいぜ!」
「ち、違いますよ!」
何を言っているんだこのおっさんは、月島さんに失礼だろ。
よりにもよって、僕なんかが月島さんの彼氏とかありえないでしょ。
流石に月島さん怒るだろうな...
恐る恐る月島さんを見てみると、顔を真っ赤にしていた。
え、なんで月島さんの顔が真っ赤なんだ?!
そうか!こういうのに慣れてないのか、なるほど。
流石に否定しておこう。
「ただの同級生ですよ」
「そうなのか?お似合いだと思うがね、嬢ちゃんも満更でもなさそうだけどな。顔を真っ赤にして可愛いこった」
「違うわ、これは•••そう!少し蒸し暑くてね」
暑かったのか!ならしょうがないね!
「隠さなくてもいいんだぜ?嬢ちゃん」
月島さんがさらに顔を真っ赤にしていた。
「行くわよ!朝長くん!」
「う、うん」
二人はタピオカを持って、部活動を再開した。
はぁ...バレてないわよ...ね?
うーん、それは朝長がどこまでわかっているかによるかなぁ。
でも...私を彼女と間違われたのは、ちょっと嬉しいかも。
はいはい、その酔いに浸ってな。
一方の朝長はというと...
だ、大丈夫かな月島さん、身体の調子悪いのかな。
きっと顔が赤かったのは、身体の調子が悪かったのだろう。
あのおっさん変な勘違いしやがって...
まぁ一瞬僕のこと好きなのでは?と期待してしまったが、絶対ありえないからな。
そんなことより月島さんの身体が心配だ...
違う勘違いをしていた。
そして、タピオカを飲みながら二人で大通りを歩いていとき。
ガシャーンっと小道から音がした。
「朝長くん‼︎」
「うん‼︎」
二人は大急ぎで音が鳴った小道に行くとそこには...
「もう•••やめてくれ•••俺たちが悪かったから•••」
「先に手を出したのはテメェらだろ•••なぁ⁈」
一人の男が、倒れた男の首元に割れたガラス瓶を突きつけていた。
他にも二人、ぼこぼこにされた状態で倒れていた。
「やめなさい‼︎」
月島がそう叫ぶと、割れたガラス瓶を持った男がこちらを見た。
「お前らは•••」
「あなたその制服、星楼高校の制服ね。こんなことしていいと思っているの⁈」
「こいつらが先に突っかかってきたんだよ。これは正当防衛だ」
「限度ってものがあるでしょ!•••あなた名前は?」
「名前を聞くときは、そっちから言うのが筋ってもんだろ?」
かなりの威圧感がその男から流れてきた。
「私は一年の月島涼夜よ」
で?そっちは?と言いたそうな顔をしていた。
「ぼ、僕は同じく陸陽朝長」
「ふーん、俺と同じか」
「それって•••」
「俺は一年の、飴露海李だ」
「飴露海李?たしか•••」
今日うちのクラスで欠席していたやついたな...
たしかそいつの名前は...
「もしかして同じクラスか?」
「まじか、同じクラスなのか。変な偶然もあるもんだな」
「このことは先生方に報告させてもらいます」
そう月島が言った時だった、先程首元に割れたガラス瓶を突きつけられた男が立ち上がり、月島さんに走ってきた。
「馬鹿め、あの女を人質にしてここから逃げてやる」
「そうはいかない」
僕は男の腕を掴み、足を引っ掛け、そして投げ技をきめた。
「ぐわぁ‼︎」
男は、地面に体をぶつけて気絶した。
「あ、ありがとう。朝長くん」
「いや、大丈夫だよ」
何とかなってよかった...
「へぇ、やるじゃん。なにか習ってたのか?」
と言いながら飴露が近づいてきた。
「少しね」
少し警戒したが、本人から先程の威圧感がなかった。
「まぁ、いいや。今日のところは引くよ、もうこんな時間だしな」
「待ちなさい!」
「あーそうだ、先生に言うなり好きにしな。俺は構わない」
そう言って、飴露はこの場を去って行った。
「すごい人だったね、月島さん」
「えぇ、そうね」
そして二人は、警察を呼び倒れていた三人を連行してもらった。
「今日はいろいろあったわね」
「そうだね、初めての部活動がまさかこんな結果になるなんてね」
「うんうん、いい経験をしたわ。あ、私こっちだからまた明日」
「うん、また明日。気をつけてね月島さん」
そして今日の帰宅警備部の活動は終わった。
次回は、飴露と学校で再開し昨日のことでいろいろと事情聴取をしようする二人。
そして...