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星をめぐる人々

作者: 氷月涼

1995年秋に発行の会員制創作小説サークルの同人誌「迷夢VOL.5」に掲載した作品を加筆修正したものです。

I See


 一人、また一人と少しずつファンが増えてきた。Seeのメンバーがそう実感したのは、五月四日のライブからだ。

 ライブは三バンドの対バンで、そのバンドの中でいちばん力のあるところがトリを飾り、人気急上昇中のバンドがトップ。そしてまだ名の知られていない下っ端が真ん中という、不文律みたいなものがある。

 今日、Seeはトップだった。つまり人気急上昇中だということで、それはライブが終わった後の出待ちの人数でもわかる。

 以前は他のバンド目当ての出待ちがほとんどだったのに、今ではSeeのメンバーに声をかけてくる子もいる。中高生の女の子たちが気軽にメンバーに声をかけるのは、Seeがアマチュアバンドだからということはもちろん、隣のお兄ちゃん的な親しみやすい雰囲気のためだろう。メンバーは話しかけられることを嬉しく思っていた。

 女の子たちは二、三人で群をなし、メンバーに話しかける機会を狙いながら、他のファンたちがメンバーと話しているのをすぐそばで見ている。虎視眈々という状況がいくつもの群れで起こっていた。

 そんな中で六人と大所帯の群れはちょっと目立った。最初それぞれにSeeを好きだというファンの子がいつのまにか集まるようになってできた仲間のようだった。年齢も違う六人がどうやって集まったのか、メンバーも詳しくは知らない。けれども確実にわかることがある。その六人はファンの中ではいちばんSeeを盛り上げてくれているということだ。出待ちの時だけ騒いで群がる他のファンと違って、六人は演奏の際におおいに盛り上がる。曲に合わせて踊り、MCでは大きな声で合いの手の声援。他のファンたちからは煙たがられているようだが、彼女たちは気にしていない。気にする必要なんてないとメンバーは考えている。このまえは歌に合わせて彼女たちが考えたらしき振り付けまでやっていて、その仲の良さにメンバーは感心したものだった。


II RYOKO


 夏になってからSeeのライブスケジュールは途端に増えて毎週必ずやっている。See大好きのリョーコは嬉しくてたまらない。夏休みのあいだ、毎週Seeに会えるのだ。メンバーから教えてもらったライブ日程をカレンダーに書き込み、ユリに電話する。

 リョーコがSeeに出会えたのは、大学で同じクラスのユリが強引にライブに連れていってくれたからだ。それまでは流行の曲を聴くぐらいでそんなに音楽に興味もなかったし、ライブにも行ったことがなかったけれど、Seeに出会って変わった。Seeの曲を聴くと元気が出るし、ライブに来るとすごく楽しい。生きているって気がする。それは一緒にライブに行って騒ぐユリがいるからこそだとリョーコは思っている。

 コール音がやみ、ユリが電話口で応答する声。リョーコは一気にライブ日程を告げる。

「ちょっと待って」

 日程を全部言い切らないうちにユリが遮った。

「あ、速かった。もいっかい言うで」

「違うねん、そうやなくて、今ちょっとゴタゴタしてて……」

 ユリの声はいつになく深刻な感じ。ちょっと変。

「そしたら、また掛け直すわ」

「……あんな、あたし、これからあんまりライブに行かれへんかも」

 寂しそうなユリの声。

「See好きやし、ライブに行きたいけど、おばあちゃんがな、今年の夏越せへんかもって言われてるし……」

「え、……そうなん? 大変やな。でも全部来れへんのとちゃうんやろ?」

「うん。絶対行くと思う」

「ほんなら、またライブの報告とかするわ」

「うん、ありがとう」

 リョーコは電話を切ったあと、ユリのいないライブを想像して寂しくなった。人との交流が上手いユリがいたから、いろんな子とも知り合いになれた。ライブに行けば誰かはいると思う。でもユリがいないのは寂しい。


 今日のSeeのライブは最高だった。今まででいちばん盛り上がったとリョーコは思う。そんな日なのに、仲間はあまり来ていなかった。ミキと園、そして会社帰りのシノさんだけ。ステージでは三番目のバンドの演奏が始まっている。そのまま演奏を見ているシノさんを残して、リョーコとミキと園はその場を離れた。シノさんが気づいて客席の後ろの方まで移動したリョーコたちを目で追った。

「ユリに電話!」

 演奏が響き渡るなか、耳にこぶしを当てて、ジェスチャーをしながら大声で叫んだ。

 言っていたように夏になってからユリはほとんどライブに来ていない。だから必ず報告の電話をすることにしている。

 リョーコたちはライブハウスのロビーで公衆電話からユリに電話をかけた。他の二人はリョーコを囲むようにして見守っている。あとで替わるから、と二人に言いながらコール音を聞いていた。コール音が止み、ユリが出た。リョーコは興奮冷めやらず、まくし立てる。

「ユリ? リョーコ。今な、Seeのライブ終わったとこやねん。もう、めっちゃよかったで。またトカちゃんキーボード投げてん。もう直すの大変やって、その間にやっちゃんと春日くんが苦し紛れのMCやっててん。メンバー今日はめっちゃはじけとったで。もうどうしたんやろってくらい。ほんでな、春日くんがな、うちが好きやって言うてたアレンジでギターのフレーズを弾いてくれてん。ほんまめっちゃ嬉しい! 今日のライブにユリ来られへんくってめっちゃ残念やわ。ちょっと待ってな、ミキに替わるわ」

 リョーコは受話器をミキに渡した。

「ユリちゃん? ミキやで。ほんまに今日は良かったで。やっちゃんな、風邪気味みたいやねんけど、がんばって歌ってたで。声とかちょっと裏返ってて心配やったから、ステージのあとに出て来たやっちゃんに大丈夫?ってゆったら、ありがとうってゆうてもうて、めちゃ嬉しかってん。ユリちゃん来られへんの、残念やわ。今日のライブ、録音したし、また送るな。今日、園も来てんねん。園に替わるわ」

 園はミキから受話器を受け取った。

「ユリちゃぁん? 園。あんな、あんな、トカちゃんな、またやってん。この前のよりすごかったで。はじめキーボードなしでやろうとかメンバーが言うてて、えー?とか思ってんけど、結局すぐに直してやったんやで。すごいわトカちゃん、さすがやわ。そんでトカちゃん、髪の毛切ってて、イカすーってカンジやねんで。ユリちゃんにも見て欲しいわ。ユリちゃん、またライブ来んねんやろ?」

「うん……」

 電話の向こうでそうつぶやいたユリの声はいつものような力がなかった。

「どーしたん、ユリちゃん。なんかあったん?」

 園の問いには答えず、リョーコに変わってほしいとユリは言った。リョーコは園から受話器を受け取る。

「あんまり長いこと話してられへんねん、ごめんやけど……」

 いつもならそれからそれからといっぱいSeeの話を聞きたがるのに、そっけないとリョーコは感じた。でも何気ないふうで返した。

「あ、ごめんごめん。ほんならまた電話するわ」

 電話を切ったと同時に、楽屋から出て来たメンバーの姿を見つけたミキと園がメンバーの元へ駆け寄る。すでに他のファンの子たちがメンバーに群がっている。シノさんの姿もあった。お目当てのメンバーに話しかけるのは、ファンの間の静かな闘争みたいなものだ。自分といかに多く話してくれるか。リョーコもまたその闘争の中に身を投じるためにメンバーを囲む輪に駆け寄った。


 Seeが演るライブハウスのほとんどが大阪で、県外のしかも三重県に住むミキにとっては、帰宅まで時間がかかるので、出待ちをゆっくりしてられないことが辛い。少しでもメンバーと長く話していたい。その気持ちはリョーコにもよくわかる。ミキの家よりははるかにリョーコの家の方がライブハウスに近いし、それに夏休みということもあって自然とリョーコからミキに提案した。

「ライブの日、家に泊まりにくるか?」

 ミキはもともとハの字の眉をさらに下がらせて、いいの、と訊いてきた。

「ええよ。おいでおいで」

 やったあ、と満面の笑みで飛び上がるミキの姿を見ていると、自分を慕ってくれる妹のように思えてくる。

「めっちゃうれしい、ありがとう」

「これで、やっちゃんとも長いこと話せるやん」

 ミキは本当にうれしそうに笑って頷いた。


 ライブの日の夜、リョーコとミキは布団を並べて夜遅くまでSeeのことや他のことなどたくさん話をした。リョーコが以前ユリとやっちゃんの家の前まで行ったことがあると話すと、ミキは明日絶対に行こうと言ってきかない。絶対に絶対やでと何度も念を押すミキに、はいはい、わかった、行くからなとリョーコは答えた。わがままな妹を持つってこんな感じなのかとリョーコは思っていた。わがままなほど可愛いというのは本当のことみたいだ。


 リョーコとミキはやっちゃんの家の外観を見に行った帰り、興奮冷めやらぬままミキがユリに電話すると言い出し、コンビニの店先にある公衆電話からユリに電話をした。今日はユリのお母さんが出た。ユリに取り次ぐ間に保留ボタンを押さなかったのだろう。ユリとお母さんのやりとりが遠く小さく聞こえてきた。ユリのお母さんはきつい口調でユリに何か言っている。わかったから、とユリの疎ましげな声。そのあとすぐにユリが電話に出た。

「何? なんかあったん?」

 いつもとは違うユリのきつい口調に、ミキは話すのをためらってしまい、リョーコに受話器を渡した。その間も、「何? なんなん?」とユリの声が受話器から聞こえる。

「ユリ? リョーコ。今な、ミキと一緒にやっちゃんの家、見に行って来てん。ミキがどうしても行きたいって言うし(隣からミキが、そこまでゆうてへんもん、と口を挟む)。そしたらな、偶然やっちゃんに会うてん。もう、びっくりしたわ。タバコ買いに行くとこやってんて。ちょっとだけしゃべって帰って来たけどな、もう、ミキがめっちゃ喜んでて、うちの腕にしがみついてキャーキャーゆうてかなわんわ(ミキが、そんなん、めっちゃうれしかったんやもん。もう、いいやんかと横で言う)。ユリ、ミキになんかゆうたって」

 リョーコはミキに電話を替わる。

「ミキ? ……よかったな」

「うん、まさか会えるなんて思てへんかったし、めっちゃうれしかった。やっちゃんがユリによろしくって言うてたで」

「ほんま、また今度ライブに行くって言うといて」

「うん。言うとくわ」

「……ほんなら、またな」

「えー、もう切んの? まだテレホンカード度数あるし、しゃべって大丈夫やで」

「親、うるさいし、もう切るわ。……ごめんな。バイバイ」

 ミキは通話の切れた受話器をリョーコに向け、首をかしげる。

「なんかユリちゃん、へんやった」

「ちょっとテンション低かったし、なんかよそよそしい感じやったな」

 リョーコもミキも、どうしたんやろうと考え込んでしまった。


 その日のライブには、るつ、ちょっと久しぶりのシノさん、そしてひろみちゃんが来ていた。やっちゃんの後輩だというひろみちゃんに会うのはリョーコにとってかなり久しぶりのことなので嬉しかった。学生時代のやっちゃんのことをいっぱい聞き出そうとつい企んでしまう。ライブも盛り上がったけれど、いまひとつノリきれない自分がいる。ミキと二人だけでキャーキャー騒ぐのが周りから浮いているような気がして落ち着かない。仲間でみんな一緒にいるのにバラバラ。そんな気がしていた。

 トイレの個室に入っていると、外でシノさんの声がした。リョーコは中から声をかけようかと思ったが、シノさんが誰かと話しているみたいだったので、声をかけるのはやめた。

「最近、リョーコちゃんとミキちゃん、仲いいなあ。リョーコちゃん、前はユリちゃんといちばんの仲良しやったのに、最近はユリちゃんがライブに来うへんから、ミキちゃんと仲良くなったんかなあ?」

「前からリョーコとミキは仲良かったで」

 シノさんと話しているのはるつだ。

「でも最近はリョーコちゃんはミキちゃん贔屓なんちゃうの? ユリちゃんに電話した時、ユリちゃんが言うてたで」

「贔屓ゆうんはわからへんけど、仲いいのは確かやな」

「そやな、仲悪いよりはええな」

 二人はそうやな、と言い合ってトイレを出て行った。個室でずっと息を殺していたリョーコは、二人が出て行った頃を見計らってドアを開けた。トイレには誰もいない。リョーコは手を洗い、鏡を見上げた。眉が釣り上がり、鋭い目をした自分の顔が映っていた。


III MIKI


 友達の妹とこんなに仲良くなるなんて、ミキは思ってもみなかった。

 園とは、友達の妹。はじめはそれだけだった。Seeに出会うまではそれほど頻繁に会うこともなかった。友達の家へ遊びに行けばリビングにいる存在。Seeのライブに友達を誘って行こうとしたら、妹までついてきて、妹の方がSeeにハマってしまった。だから今ではその友達よりも仲良くなって、友達ではなく、園がミキの家に泊まりに来るようになった。

 園はまだ中学生だから頻繁にライブに行くことはできないが、行ったときは大騒ぎだ。子ザルみたいに元気いっぱい。そんな園と一緒になってミキもはじける。Seeのライブでみんなとはしゃいでいる時間がミキにとってはいちばん楽しい。学校に行っているときは比べ物にならない。学校に不満があるわけではなかったが、ただなんとなく過ごしているだけのように思えて、納得がいかないのだ。このままでいいのだろうかといつも思う。たぶん充実感がないからだろう。

 だからSeeのライブがあると出来る限り行くようにしている。今月は毎週あるから幸せだ。大好きなやっちゃんにも会えるし、みんなにも会える。会ってから次に会うまでの一週間をわくわくして過ごせる。これがずっと続けばいいのにとミキは思わずにはいられない。


 Seeのライブ当日。ミキは誰よりも早くライブハウスへ行く。リハーサルのため昼前には来ているメンバーに会って話をするのが目的で、ミキを含む仲間は出来る限り早く来るようにしている。ライブハウスに到着するとすでにリョーコがいた。

 今日はるつが友達を連れてくるから別行動で、園はユリと一緒に後から来るとリョーコが教えてくれた。

 ライブハウスの入口は、人が集まることを考えてか、少し広めにスペースがとってあり、ミキとリョーコは地面に座り込んで待っていた。

 大好きなSeeのライブだというのに、ミキとリョーコは今ひとつ盛り上がれないでいた。原因はわかっている。ユリのことだ。

 ユリが自分に対してよそよそしいと、リョーコがミキに電話して来てから、改めてミキも電話でのユリの言葉を思い返していた。最近のユリはそっけない。いつも優しいユリとは思えないくらい。そこへ昨日のあの電話。

 昨日、ミキの家に園が泊まりに来ていて、ユリはたぶんリョーコにそのことを聞いたのだろう。ユリからの電話にミキが出るなり、園に替わってと言われた。ミキに一言もしゃべることなく。カチンと来て、来てないとミキは嘘をついた。隣で戸惑っている園。それならいい、とユリは電話を切った。後味の悪い沈黙。園は何かを察したのかその後すぐに帰っていった。

 ミキの家に電話をかけたのだから、少しくらいミキと話をするのが普通だろう。でもユリはそうしなかった。ユリに対して自分は何か悪いことをしただろうか、と考えてみるがミキには思い当たることはなかった。

 それはリョーコも同じだと言う。

 なぜユリが突然二人に対して冷たくなったのか。ミキとリョーコは何度も理由を考えた。確かに最近ミキとリョーコは仲良しだけど、そんなので嫉妬するなんておかしい。ミキはリョーコのこともユリのことも同じように仲良しだと思っている。ユリはそんなことで嫉妬するような子ではないと思っていた。だから余計にわからなくて、そのうち悲しくなってきた。

 なぜ理由もなく冷たくされなければならないのか。涙もろいミキは堪えきれず、両手で顔を覆う。てのひらが涙で濡れて役立たずだから、手の甲で顔をこすって涙をぬぐった。

 泣き出したミキに気づいたリョーコはミキの肩を抱いて、懸命になだめるが、そのうちにミキを泣かせている事柄に腹が立ってきて、きつい口調で嘆き、目に悔し涙が溜まっていった。

「なんでこんなことされなあかんの。もうなんでなんか、全然わからへん」

 リョーコのもらす嘆きにミキは顔を覆ったまま、頷くだけだった。


 リハーサルのためにメンバーがライブハウスへと入って行く。いつもならすぐさま駆け寄って話しかけるのに、今日はそんな気分になれず、ミキもリョーコも膝を抱えて座り込んだままだった。やっちゃんが気づいてくれて声をかけてくれたから、ひとことふたこと交わし、嘘の笑顔でメンバーを見送ったあと、また同じように膝を抱えて両膝の間に頭を埋めて座っていた。しばらくして突然リョーコが立ち上がった。

「ずっとこんなふうにしててもしゃあないやん。もしかしたら今日はいつも通りのユリに戻ってるかもしれへんやん。せやし、考えんどこ。ライブ楽しまな、な?」

「うん、でも、ユリちゃんに会って普通にしてられへんかもしれへん」

 眉を八の字にして、真っ赤にした目でミキはリョーコを見上げた。

「大丈夫やって」

「……うん」


 今は五時。ライブハウス開場まであと一時間半という頃に、シノさんが現れた。いつも開演ぎりぎりのシノさんにしては早い方だ。今日は会社を早退して来たという。二人はあわてていつものテンションにして、シノさんと話しはじめた。シノさんは二人の様子に気づいていないのか、何も言わず普段通りに微笑んでいた。

 社会人のシノさんは月に一、二回しかライブに来ない。だからシノさんが来ていないライブの様子をリョーコがハイテンション気味に語る。それを見ているとミキもすこし気分が明るくなってきて、この前のイベントの時にやっちゃんからもらったSeeのネームプレートを自慢したり、リョーコと一緒になってライブの様子を話したりした。

 五時半にユリたちとマクドで待ち合わせしていたので、ミキとリョーコはシノさんといったん別れてライブハウスをあとにした。ミキとリョーコの二人になると、ユリのことでミキは気分が沈んでしまう。

「なんちゅう顔してんねん。普通にしてるって決めたやろ」

 リョーコはミキの頬を両手で挟んでくる。

 大丈夫。ミキは下がったままの眉でリョーコに笑ってみせた。


 Ⅳ SHINO


ライブだからと半日有給休暇を取り、シノは珍しく早い時間にライブハウスに着いた。すでにリョーコとミキが来ていたが、少し話したあとユリたちを迎えに行ってしまった。手持ち無沙汰になり、ウォークマンでSeeのデモテープを聴いていると、リョーコたちがユリたちと一緒に戻って来た。みんな揃ってシノの前に現れたとき、そういうことか、と思った。さっきリョーコとミキの格好は見ていたが、それだけでは気づかなかった。二人は仲良しだからお揃いの服を着ているのだろうと思っていた。そうではなかった。今日は打ち合わせをしてみんなオーバーオールを着てきたのだ。シノ以外は。

 シノにはわかっていた。自分はみんなより歳上で、みんなほどSeeに夢中なわけでもなく、仕事もあるからライブにはあまり行けない。だから間ひとつ置いて接するのもわかる。けれども今回はそれが目の前に叩きつけられたような気がして、ちょっと堪えた。どこかで自分にも声をかけてほしかったと思ってしまう甘い自分がいる。それほどみんなとも馴染めていないくせに。

 ライブハウスの開場時間まであと三十分。さっきまで聴いていたウォークマンのイヤフォンを、みんなが来たからと外したけれど、もう一度つけて曲を聴こうか、とシノは思いはじめていた。ユリは園とずっと話をしていて、リョーコはミキと、るつは連れてきた友達と、それぞれ二人ずつが話しこんでいた。今日、るつは友達を二人連れて来ていて、あぶれた一人がぽつんと壁にもたれて立っていたので、好都合とシノはその子に話しかけてなんとか場を凌いだ。仲間内で一人になりやすいのはいつもシノだった。だからなのかいつも誰かが連れて来た友達という初対面の子と、その場しのぎで話をすることが多かった。それでもひとりぼっちになるよりはマシだった。最初から一人だったならむしろよかったのに、仲間でいるからこそひとりは嫌だった。

 いつもひとりぼっちでライブに来ているシノを見かねて、メンバーのテツさんがユリを紹介してくれた。メンバーが言ってくれたことだから無下にはできないと、ライブで会ったら挨拶をしてそばで一緒に見ることにした。やたら話しかけるでもなく、場の雰囲気を読み取って、気遣いするユリに、この子だったら馴染めるかな、と思ってその後もライブで見かけるたびに、声をかけて近くで過ごすようになった。シノがSeeを知るより先に知っていたユリからいろんな情報をもらえることも嬉しかった。

 最初、ユリは高校時代の友人のるつと二人でライブに来ていたが、ライブの回数を重ねるごとにつるむ人数が増えていき、いつのまにか今の六人で定着した。一人でもライブは楽しかったが、仲間で一緒に楽しむライブは何倍も面白かった。振り付けなんて仲間でやるのでなければやらない。一人ではできないことも仲間だとできることはたくさんあった。


 その日、Seeはトップで早々に出番は終わってしまった。演奏はおおいに盛り上がり、シノは踊り疲れて客席後方のテーブル席へと移動した。

 仲間はみんなテーブル席でおしゃべりしたり、アンケートを記入したりしていた。今日は特に新曲があったから、まだみんなの興奮は続いていて、新曲についての感想を言い合っていた。ステージでは次のバンドの演奏がすでに始まっていたが、みんなはステージを見る気はなさそうだ。楽屋からSeeのメンバーが出てくると、みんなは一斉に立ち上がり、メンバーをとりまいた。

 シノは少し気後れしてまだテーブル席にいた。ライブの感想は伝えたいけれど、みんなのように積極的にはなれない。たまにはみんながメンバーと話している側へ行き、シノも話すことはあるが、やはり一歩引いてしまう。

 ミーティングのためにSeeメンバーが楽屋に戻って行くと、群がっていたファンもそれぞれの場所へ散っていった。みんなはシノのいるテーブルに戻って来て、アンケートの続きを書いたり、ドリンクを注文しにいったりしはじめた。

 アンケートにびっしりとライブの感想を書き終えたので、シノはトイレに立ち、帰り道でるつとその友達がいるのを見つけて少し話したりした。るつは友達を連れて来ているから、仲間と一緒にライブを見た後は、友達を気遣っていつものメンバーとは別行動しているのだ。

またテーブル席に戻ろうとして、ミキとリョーコの二人とすれ違った。ミキが泣いているように見えて、シノはあわててテーブル席にいるユリたちのもとへ駆け寄った。

「ミキちゃんどうかしたん? ……泣いてたみたいやけど」

「え? ウソ? なんでぇ?」

 園が素っ頓狂な声をあげる。ユリは深刻な面持ちで、椅子の上で膝を抱えている。

「あたしの見間違えかもしれへんけど……」

 シノが見たミキの目は赤かった。一瞬だけど、確かに見えた。

 場に沈黙がただよう。なんとか取り繕わなければとシノは言葉を探し、周りに目をやる。と、さっきまでそこにいたはずの園がいないことに気づく。ミキとリョーコはどこかへ行ったきり戻って来ない。

 なにかあったとシノは確信した。それが何かはわからない。

 ユリには何か心当たりがあるのだろう。

「あたしのせいやねん、絶対そうやねん」

 そしてそのあと、ユリは膝に顔を埋めて泣き出した。


 Ⅴ YURI(Time replay)


 あらかじめわかっていても、宣告を受けた時に直面するつらさには耐えきれなかった。

 祖母は今年、最後の夏を迎えるだろう。

 生活は充実している。大学は楽しい。みんなと行くSeeのライブは最高。何不自由なく過ごしていたのだ。それまでは。

 ぽっかりとあいた穴は、楽しいことをいくら重ねても埋まることはなかった。どうすることもできないでいた。楽しいはずのことも途端に色褪せて見え、ライブにも行かなくなった。一瞬たりとも逃さずに祖母のそばにいたかった。大好きなおばあちゃんだから。

 リョーコから電話がかかってきたのは、祖母が危篤寸前の状態になっていたのが、持ち直した時だった。

 See仲間というだけでなく、親友のリョーコには祖母のことを伝えた。でも、まったくわかってくれていなかった。公衆電話から興奮状態でたたみかけるように話すリョーコの、ミキの明るい声が漏れてくる受話器を、ユリは幾度となく叩き切ってしまおうかと考えたことか。

 替えたばかりの灯りなのに、祖母がベッドに横たわる部屋は暗く重く感じる。受話器の向こうは明るい異世界のように思えた。

 一度限りならば自分を納得させることもできたのに、リョーコからの電話はライブごとにかかってきた。それはユリがライブに行けないから様子を伝えようというリョーコなりの気遣いには違いないだろうが、ユリの状況も把握してほしいと思った。でもそんなことは言えなかった。楽しい気分に水を差してしまうような気がして。

 祖母が横たわるベッドは縁側に面していて、少し窓を開けてあった。夕方、ほんのすこしだけ涼しい風が入ってきて縁側の風鈴を鳴らす。静かな部屋に風鈴の音がやけに大きく響く。開かれていて潤んでいるがうつろな祖母の瞳を、ユリは正視するのがつらくて、風鈴に吊るされている短冊が揺れるのを眺めながら、祖母に向かって自分のこと、大学でのことやSeeのライブのことなどを、祖母から返事がないのをわかっていながら話した。ユリの声と風鈴の音だけが部屋に響きわたる。

 祖母は瞳を動かすこともなく、視線になにも捉えることはない。たまに咀嚼するように口を動かすだけだった。

 祖母のそばにいるのはつらいが、そばにいないのは更につらい。

 ユリがそんな調子でほとんど祖母の部屋にいるのを、ユリの母親は気にかけていて、祖母のオムツ替えをしながら、なにげないふうにユリに提案した。

「ライブに行ってきたら?」

 ユリがライブに行くことをこれまでも母は賛成してくれていた。

 こんな状況で行けるわけがないと、ユリは母の提案に首を横に振った。

「おばあちゃんはユリがライブの話をしてくれる時、いちばん嬉しそうな顔をしていたよね」

 そんなふうに母が言うので、すこしユリの気持ちが揺れる。

「ほら、今も」

 母に促されて祖母を見やると、表情をなくした祖母が、ユリには微笑んでいるように見えたから、困った。


 久しぶりに行くと決めたSeeのライブの数日前、シノさんから電話があった。シノさんからの電話はめずらしい。シノさんは仕事が忙しくてしばらくライブに行けてなかったが、今度は行くとのことで、Seeが当日演奏する曲順を知っていたら教えてくれないかという電話だった。いつもユリがシノさんに曲順を伝えていたから知っていると思っているのだろう。実は当日ライブハウスに電話して確認していたと教えてあげると、シノさんは恐縮して何度もごめんと繰り返していた。リョーコ、ミキ、るつ、園は元気かとシノさんが訊いてきた。最近ユリがライブに来ていないことを知らないのだ。最近忙しくてライブに行けてないから、みんなが元気かどうかは知らないと正直に伝えた。

「リョーコちゃんと仲いいんちゃうの? 電話もせぇへんの?」

 そんなふうにシノさんがつついてくるもんだから、つい口に出た。

「今、リョーコはミキ贔屓やもん」

 自分がライブに行かなくなってから、リョーコはいつもミキと一緒に行動しているらしい。度々かかってくる電話でユリはわかっていた。

 大好きなSeeから自分だけが取り残されていく。かつては先頭切ってSeeの情報を得て、誰も一緒に見に行く子がいないとしても、Seeのライブには行っていたのに。たやすくSeeのライブに行けるリョーコやミキに嫉妬していると思いたくない。あまり会えないユリよりも頻繁に会えるミキとリョーコが仲良くなるのは当然だと思うけれど、仲良くなりすぎるのは癪にさわる。そんな気持ちだから、Seeのライブの前日、リョーコから園がミキの家に泊まりに行っていると聞いたユリはミキの家に電話をした。そしてミキには何も話さず、園に替わってとだけ言った。久しぶりに行くライブで着るために、おそろいのTシャツを作るつもりで、印刷会社に頼んでいた。園にお手伝いをしてもらおうと勝手に思っていて、その約束を早く園と交わしたかったからだ。サプライズでみんなに当日プレゼントしておそろいで決めようと勝手に一人で計画していた。でも、ミキは園はいないと言った。それが嘘だということくらいわかっていた。


 ライブ当日の朝、いつもならみんなと待ち合わせて一緒にライブハウスまで行くのに、今回は園と一緒に行くとリョーコに告げた。リョーコはユリにオーバーオールを着てくるようにとだけ言ってて、残念そうでもなかったのが悔しかった。

 久しぶりのライブで、楽しいことのはずなのに、ユリは沈んだ気分のままだった。


   

 膝に顔を埋めて泣くユリの背中を、シノさんは何も言わずにさすってくれていた。涙はあふれるばかりで、いつまでたっても顔を上げられない。ふと背中をさするシノさんの手が止んで、ちらりと顔を上げると、にじんだ視界の中でリョーコとミキの姿が見えた。リョーコたちにシノさんが寄っていって話をしている。シノさんはユリにしたようにリョーコの背中をさする。リョーコが泣いているのを見ると、ユリはすべて自分が悪いかのように思えてきた。こらえきれなくなって走ってトイレに向かった。

 個室から出て手を洗った後、顔も洗って鏡を見たら、トイレの入口にみんなが心配そうな顔で立っていた。ユリは鏡ごしにミキとリョーコを見て、思っていたことを口に出す。

「ミキとリョーコが泣いてたん、あたしのせいなんやろ?」

 黙ったままのミキとリョーコ、みんなは深刻な顔でうつむいている。

「こんなところでなんやし、あっちで話そか」

 シノさんがみんなをうながしてライブハウスのロビーへ向かう。少し間をおいてユリも後を追った。

 扉を一枚隔てると、驚くほど音は静かになる。受付のお兄さんも今はそこにはいない。仲間の他に誰もいない空間で、シノさんがいち早く沈黙から抜け出た。

「わたし、るつといらん噂話してしもた。リョーコちゃんがミキちゃん贔屓やってユリちゃんが言うてたって。それ、もしかして聞かれてたんかなあ」

「ごめん、聞いてた」

 正直にリョーコは打ち明けた。

「余計なことしてしもた。ごめんな、ユリちゃん。リョーコちゃんも」

 ユリは首を横に振る。リョーコは黙っていた。 

 シノさんにはユリの祖母のことは言ってない。だからユリの複雑な気持ちはわからない。ただの仲良しグループの喧嘩と思われているのかもしれない。

「ちがうねん、それもあるけどな、あたしのおばあちゃんが病気で、お母さんもあたしも大変なんやから、それをわかってほしかってん。おばあちゃんが病気なんはリョーコに言うたのに、ぜんぜんわかってくれてへん。電話くれてもSeeのライブのことばっかりで、こっちのことはなんも聞いてくれへんから、腹立ててたんや」

「そんなら、言うてくれたらええやん!」

 リョーコは大きな声をあげた。

「まわりくどいことするから、うちもミキも急にユリが冷たくなったって思って……」

「そんなら、なんでそれを言うてくれへんの? あたしも思ってること言わへんかったのは悪かったと思う。でもそれはリョーコもミキもおんなじやろ」

 ユリの声も大きくなる。

 エスカレートしていくかと思われたやり取りに、まあ、よかったやんと平和な声でシノさんが横入りしてきた。

「ちゃんと気持ちをぶつけあえたわけやし。で、リョーコちゃん、ミキちゃん、ユリちゃんはこれからどうしたいの? このままでいたいわけやないんやろ」

「……ごめん。ユリが大変なの、気ぃつけへんかって、ほんまにごめん」

 リョーコはまっすぐにユリを見る。ユリもまっすぐにリョーコを見て、うん、と頷いた。リョーコはユリのそばへ行き、ユリもリョーコにごめん、と何度も繰り返しながら最後には二人とも頬に流れる涙を拭いもせずに抱き合った。ミキもそばに駆け寄ってきて、ごめん、電話で嘘ついた、と打ち明けた。ユリは、うん、と頷き、ミキの肩を抱き寄せた。


Ⅵ つながる人々


 ライブの終わり、カーテンコールのように出演バンドのセッションがあるのが、このライブイベントの楽しいところでもある。

 空っぽのステージへ楽器をスタンバイしにメンバーが出てくると、そのバンドを好きなファンたちがちょっとざわめく。ステージに続々とバンドのメンバーが現れて音出しを始める。

 Seeを好きな仲間たちは漏れてくる音を聞いて、そろそろ行こうかとみんな揃って観客席へと移動を始めようとしたその時、ちょっと待ってとユリがみんなを引き止めた。

「みんなで写真撮ろう」

 ユリがオーバーオールのポケットからカメラを取り出した。シノさんはユリに向かってカメラを渡すようにと手を差し出した。

「シノさんも入るねんで。誰かに頼むわ」とユリはライブハウスのスタッフにカメラを渡してシャッターを押してもらうように頼んだ。

 園が突然ちょっと待ってと言い出した。Tシャツ取ってくるという。

「ユリちゃんのカバンの中やんな?」と園はユリに訊く。ちょっと戸惑いながらユリは頷き、走って行く園の背中に「ありがとう!」と叫んだ。

「Seeファンワールド誕生やね」

 リョーコが隣にいるユリに言う。ユリはリョーコの手を取り、「ミキも」と隣にいるミキと手をつなぐ。ミキはるつの手を、るつはシノさんと手をつなぐ。

 園は水色のTシャツを掴んで走って戻ってきて、息きれぎれになりながら、もういいよ、と広げてポーズを取る。

 その瞬間、スタッフさんが合図をしてカメラのシャッターを押す。

 記念撮影を終えた仲間たちはみんな園のまわりに集まり、持ってきたTシャツに興味津々だ。何、それ、どういうこと? 作ったん?と言いあっているうちに、バンドのセッションが始まったようで、あわててみんなは観客席への扉を開けてステージの方へ駆けていった。

 軽快なギターと共に三バンドのメンバー全員でビートルズのツイスト&シャウトを演奏する。

 そのあとはそれぞれのバンドが持ち歌を一曲披露する形式のようで、他のバンドメンバーは舞台から掃けていって、Seeだけが残った。

 ヴォーカルのやっちゃんは聞いて欲しいことがあんねん、とまずMCからのようだ。

「僕らの夢はバンドで飯食うことやねんか。おっきすぎる夢やけど、真剣やねんで。とはいえ、まだまだそれには遠いから、僕らの曲を聴いてくれる人が、曲を聴いてちょっとでも元気になってくれたら、そんなふうに思ってんねん。みんなは夢ある? 最近自分のやりたいことわからへん、夢がないとかいう子もおるけど、どんなちっちゃいことでもええねん。なんやったら目先の目標でもええねん、一週間で一キロやせるとか。それとか実行できるかどうかもわからんおっきいことでもええねん。なんか目指すところを持っていこうや。時々つらくなったり、見失ってわけわからんようなったり、あきらめようと思ったりもすることあるやろうけど、のんびりやっていこうぜという想いで作った曲です。聴いてください、『遠まわりして』」


 そのあと、ユリはしばらくライブに姿を見せなかった。祖母は持ち直さなかったけれど、後悔なく送ることができたと電話でリョーコに話した。

 ひと月ぶりに仲間たちみんなそろったSeeのライブ。ユリが園と一緒に出向いた印刷会社で作った水色のTシャツをみんなおそろいで着て、ライブで弾ける姿を見せることになる。TシャツにはSeeと大きな文字でシルクスクリーン印刷されている他に、小さくマジックでみんなのそれぞれの名前が書いてあった。その下手くそな字は園が書いたらしく、みんなから非難轟々だったが、園は舌を出して「ごめぇん、みんなの名前書いといたら区別つくと思って」とおどけていた。誰も本気で怒っておらず、むしろ笑って楽しんでいた。

 それぞれに別々の生活があって、でもここに来れば、なにもかもどこかへ放り投げて、音楽へ向かってひとつになれる。

 それぞれをつなぐ架け橋がSeeなのだ。

このお話にはモデルのアマチュアバンドがいます。もう解散してしまいましたが、今でも大好きで曲を聞き、元気をもらいます。

当時のファン仲間との時間は記憶の中の引き出しに大切にしまってあります。


バンドがもたらすもの、ファンである仲間たちとの交流は、今は別のバンドを起点にして、私の中にあります。

その素晴らしさをなんとなく共有してもらえたら、嬉しいです。


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