0話 プロローグ
日本の愛媛。雨の降る中、一人の青年が複数の不良に追いかけられていた。
「畜生!なんなんだよ!!」
青年の名は笠井京矢。公園でたまたま居合わせた不良と目が合い、ガン飛ばしだと勘違いされたのだ。理不尽な事に。
「逃げんじゃねえクソ野郎!!」
京矢の足は遅く、直ぐに距離を詰められる。
「やばいやばいやばい!!」
京矢は橋を渡り、橋の下の道を逃げていると、そこで足を滑らせ、落ちてしまった。
「しまっ…うあああああっ!?」
川に落ちる瞬間、彼の眼に虹色の光が映った。薄暗い中、落ちてゆく。ただ、落ちてゆく。
着水で濡れたが今は呼吸も出来る。そして泳ぐ動作をしても泳げない。
「水がない…喋れる」
京矢は自分に何が起きているのか理解出来なかった。10秒ほど時間が経つと重力が元に戻り、視界が広がった。
「草原……?お、落ちるっ!?」
京矢は地面に両手両足で着地する。
「いって…畜生」
京矢は痛みに顔を歪めながらも辺りを確認する。
「川に落ちた筈なのに、草原……しかも晴れてる」
「ようこそドンゴラスへ」
京矢の背後から声が聞こえてきた。
「うえっ!?」
京矢が振り返るとそこには猫が居た。