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61 妖狐とご主人様 閑話


 俺は妖狐。

 どうやらご主人様は、俺とひよりが一緒に暮らすことに喜んでいるみたいだ。

 今はひより達と昼食を食べながら仲良く談笑している。

 俺も仲間の管狐達と再会を祝している。


「へ〜。そんな方法で、管狐が妖狐になれるんだ。誰か妖狐になりたいヤツいる〜?」


 管狐のみんなは、いきなり言われて戸惑っているな。

 当然だ。

 俺を見ても、信じられないと言っていたからな。


「いないか〜。ま、あんた達はそのままでも好きだから、そのままでいいし〜」


 やはりご主人様は優しいお人だ。

 無理なこと言ったと理解し、(とが)める事もしない。


「そうだ! ウチもヨウコの夢に協力してやるし〜」

「なにするの〜?」

「ま、見てるし!」


 俺の夢ではないのだが、何をするか若干不安だ。


 ご主人様が優しく俺を抱いてくださった。

 この温もり……

 いつもこの胸の間で寝ていた事を思い出す。


 ん?

 なにか呪文を唱え出した。

 これは……

 零号じいさんが、遠い未来を見るときに使う呪文。

 俺に使われるのは初めてだ。

 いや、その時より霊気を使う量が、かなり多い。

 部屋中に(まぶ)しい光が包み込むほど……

 目を開けていられない。



 ………



「みんな、もう終わったし〜。目を開けて大丈夫だし〜」


 なんだ?

 すごい力が湧いて来た。

 それに尻に違和感が……


「わ! ヨウコの尻尾が五本になってる!!」


 本当だ……

 あやかし退治して、苦労して増やしてきた尻尾が、この短時間で二本も増えた。


「うまくいったし〜! 話を聞いててビビッときたんだよね〜!!」

「ハナチー。ありがとう!! ヨウコも嬉しいよね〜」

「あ、ああ。ご主人様。ありがとう!」

「いいって。ウチからの餞別(せんべつ)だし〜。ひよひよと仲良くするし〜」

「ああ!」


 言われなくとも、もう仲良くしている……

 ていうか、ひよりは尻尾に包まれてモフモフ嬉しそうだ。



 ………



「先生。お時間です」

「もうそんな時間!?」


 楽しく談笑していたら、さっきの若い女性がノックをして入って来たな。


「今日は疲れたから、もう休みたいし〜」

「昨日もそう言って、予定時刻より早く終わったじゃないですか」

「そ、それは……」


 ご主人様は俺の事をチラッと見たな。

 俺に会えると聞いて、早く終わったのか?


「占い無双するのですよね? なら、仕事をしてください」

「うぅぅ。りりっちは鬼畜だし! ブラック企業だし!!」

「何を言っているのですか。週休二日。五時間労働のどこがブラックなのですか。ホワイトどころか、仕事しなさ過ぎです」

「かあちゃんみたいなこと言うなし〜!」

「はいはい。仕事しますよ〜」

「うぅぅ。ひよひよ、ヨウコ。今度は私から遊びに行くから、待ってるし〜!」


 ご主人様はりりっちさんに、イスに縛り付けられているな。

 そこまですることなのか?

 まぁご主人様はご主人様で、自分の夢を追い掛けているのだな。


「ヨウコ。帰ろう!」

「ああ!」


 ご主人様とのお別れは言えた。

 もう俺に心残りはない。

 これからはひよりの家族として、末長く暮らそう。


「五尾か〜。ちょっとやそっとじゃ死なないんじゃない?」

「そうだな。練習台に持ってこいだ!」


 お姉さんとおじさんとは、末長くしたくないのだが……


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