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60 妖狐とご主人様 其の三


 俺は妖狐。

 ご主人様と涙の再会を果たした。

 お互い見た目は変わっていたが、中身は変わっていなかったので、確認が取れてよかった。


 俺達が落ち着くのを待って、ひより達は自己紹介している。

 ただ、ご主人様は名前を言ったのに、皆を変なあだ名で呼んで、皆にもハナチ―と呼ばせている。

 おじさんは「にくにく」と呼ばれていたが、さっきの自己紹介とまったく違う名だ。


「それでひよひよが九号を拾ってくれたんだ。あんがとね〜」

「ううん。ハナチ―のおかげで、ヨウコと出会えたの。ありがと〜」

「ん? ひょっとして、九号は返してくんないの?」

「え……その……」


 ご主人様は俺の事を、前みたいに使役してくれるのか……

 だが、俺はひよりの家族。

 今はひよりが一番だ。


「ご主人様……俺はあなたの元へは帰れない」

「九号まで? どゆこと??」

「俺はひよりの家族になったんだ。だから今日は、お別れを言いにやって来たんだ」

「別れ……ウチのこと嫌いになったの?」

「そうじゃない。一番好きが変わったんだ」

「ヨウコ……」

「九号! あんたを呼び寄せたのはウチだし! それなのにウチから離れるなんて許せない!!」


 お、おおおお……

 超怖い。

 ご主人様が俺達に怒っている姿を初めて見た……

 てか、ご主人様の有り余る霊気が集約されて、針のように突き刺さって痛い。

 ひよりもお姉さんもおじさんも、震えているように見える……

 超怖いが、ここは俺が切り抜けるしかない!


「ご主人様! 罰なら俺が受ける。みんなを傷付けないでくれ!!」

「はあ? なら戻ってくればいいだけだし!」


 くそ!

 聞く耳持たずか……

 このままでは皆、ご主人様に……


 え?

 ひよりが俺の背に登って来た。

 今は取り込み中なのだが……


「ヨウコ。がった〜い!」


 あ……うん。

 もうしているぞ。

 ん?

 ひよりから霊気が流れて来る。

 そう言う事か。


 尻尾に霊気を集めて、皆を包む!

 よし!

 これでご主人様の霊気からお姉さん達を守れる。

 あとは俺が、ご主人様を攻撃出来るかだな。


 ご主人様……

 許してくれ!


「プッ……プププ……アハハハハ」


 ん?

 ご主人様が笑い転げている。

 どうしたんだ?


「なにその合体って! チョーウケるんですけど〜。アハハハハ」


 うん。

 笑われて当然だ。

 ひよりは俺に乗っただけだからな。

 だが、ご主人様の霊気が温かいモノに変わった……

 どういう事だ?


「ハナチ―。どうしたの〜?」

「いや〜。ちょっと試させてもらっただけだし〜」

「ためす〜?」

「ウチは九号を殺したも同然だから、元の関係にはもう戻れないよ。もちろん戻って来てくれたら嬉しいけどね。でも、半端な気持ちで九号を使役したいって言うんだったら、力ずくで取り戻すつもりだったの」

「う〜ん……」


 なるほど。

 ひよりが俺を助けなかったら、俺とひよりを引き離そうとしたのか。


「ひよひよにはわかんないか。ひよひよは合格。九号の事を幸せにしてねってこと」

「うん! わたしがヨウコの夢を必ず叶えてあげる!!」

「九号……ヨウコに夢なんてあったんだ……。そんな事も知らずに、ウチはアンタの事を使役してたんだね」


 いや。無いぞ。

 今も無い。


「どんな夢なの?」

「ヨウコはね〜。九尾の狐になるのが夢なんだよ〜」


 だからそれは、ひよりの夢だ!!


「でっかい夢っしょ〜」


 ご主人様も、真に受けないで!!


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