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06 管狐、命令される


 俺は管狐。

 お嬢ちゃんの家で厄介になると決めてから数日が経った。

 まだご主人様は迎えに来ない。

 少し寂しいが、今はお嬢ちゃんが一緒に居るので、気が紛れている。


「ねえねえ?」


 少しねえねえと、うるさいがな……


「ねえねえ?」


 いや、かなり……


「いつになったら、尻尾が増えるの?」


 またこれだ……増える訳がない。

 俺は管狐だ。


「どうしたら、増えるんだろうね〜?」


 俺が知る訳がない。

 聞く相手を間違えているぞ。



「ひより〜? また一人でお話しているの?」


 奥さんが来たな。

 これで無駄な追求と、無駄なモフモフから逃れられる。


「一人じゃないよ〜。ヨウコと一緒だよ」


 奥さんには見えないから、そう言っても通じないぞ?

 いや、今は早く逃げなければ……


「あ!」


 逃げ遅れてしまった。

 お嬢ちゃん。尻尾は掴まないでくれないか?


「そこにいるの?」

「うん! 最近、大きくなって来たんだよ」

「そうなんだ……」


 お! ついに注意するか?


「ちゃんと育てられてエライわね〜」

「うん!」


 見えてないのに、褒めるのか……この家族は大丈夫か?

 旦那さんも、お嬢ちゃんの見えないおままごとに付き合っているし、少し心配になるな。

 お嬢ちゃん。そろそろ尻尾を離してくれないか?

 頭が下を向いているから、くらくらする。


「あ……ゴメンね〜」


 うん。許すから、頬ずりするのもやめて?

 これは通じないのか。


「そうそう。明日から新学期が始まるけど、準備は出来た?」

「う、うん。だ、大丈夫だよ〜」


 ダメだな。

 まったく準備していないのは、俺は知っている。

 そもそも一人になると、常に俺に質問をするか、撫でているかだからな。


「そうよね。ひよりは良い子だもんね〜」

「う、うん……」

「でも、もしも間に合わないようだったら、言うのよ? ママも手伝うからね」

「う、うん……」

「それじゃあ、ママは夕飯作るから、出来たら呼びに来るわね」


 奥さんにもバレているみたいだ。

 でも、叱ったりしないのだな。

 ご主人様の父上と母上は、いつも怒鳴っていたんだが……

 年齢が違うからか?


「ヨウコ〜? どうしよ〜〜〜!!」


 俺に聞かれても……

 準備をしたらいいのでは?


「今からじゃ、間に合わないよ〜」


 たぶん余裕で間に合うはずだ。

 いざとなったら、優しい奥さんもいるから大丈夫だ。


「前もママに手伝ってもらったから、もうママに手伝ってもらうわけには……」


 いや。まだ子供なんだからいいのでは?


「ヨウコが手伝ってくれたらな〜」


 ご主人様のゴチャゴチャなツケマなんかを片付けていたから、得意なんだがな。

 だが、俺がそんな事が出来るとわかれば、お嬢ちゃんがどういう反応をするかわからない。

 そもそも手伝うには、ご主人様の命令と、その時に分けて貰う霊気が必要だから出来ない。


「う〜ん。ヨウコは妖狐なんだから、出来るんじゃない?」


 ご主人様の命令がないと出来ないぞ?


「じゃあ、このノートを、あっちのランドセルに入れて」


 出来ないって言って……あれ?

 体が勝手に……


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