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53 あやかし退治 其の五


 俺は妖狐。

 5メートルの土蜘蛛に向かって突進した。


 俺の爪も喰らえ!

 よし。脚を一本斬り落とした。

 これをくわえて撤退!


 ムシャムシャ。


 うん。力が湧いてくる。

 だが、土蜘蛛の脚がまた生えてきたな。

 少し体が小さくなったように見えるし、このまま続ければ、そのうち消えるはずだ。


 おっと。

 何か吐き出して来た。

 ……糸?

 うわ! 連続して吐いて来た。

 捕まるか!

 逃げろ逃げろ!!



 ………



 あ……ねばねばの糸を踏んでしまった。

 くっ。足がくっつた!

 早く逃げ出さないとアイツが……

 く、来るな!


「ヨウコちゃん! 少し我慢してね。【鬼火】!!」


 (あつ)っ!?

 火か?

 だが、糸にくっついていた足は自由なった。

 今のうちに距離をとろう。


「お姉さん! ひよりは大丈夫か!?」

「ええ。お父さんが運んでくれているわ」

「おじさんが!?」

「怪我しているのに無茶して……そんな事より、今は土蜘蛛よ。ひよりちゃんとヨウコちゃんのおかげで、かなり弱っているみたいね」

「だが、糸のせいで近付けないんだ」

「そこは私に任せて! ……と言いたいところだけど、【鬼火】は何発も使えないんだよね」

「さっきの火か……俺に使えないか?」

「たしか妖狐は得意だったはず……」

「それなら、見て覚える。撃てるだけ撃ってくれ!」

「わかったわ」


 お姉さんは何か呪文を呟いて、最後に【鬼火】と言うと、火の玉が飛んで行く。

 糸には効いているが、土蜘蛛にはあまり効いていない。

 あの火の玉を周りに漂わせて、防御に回せば、土蜘蛛まで辿り着けそうだ。


「次が最後よ。大きいのを出すから、そのまま進んで!」

「ああ。わかった」

「行くわよ。……【鬼火】!!」


 よし!

 道が出来た!

 このまま土蜘蛛に突進だ!


 ……そう上手(うま)くはいかないか。

 【鬼火】は土蜘蛛に当たったけど、消えてしまった。

 今にも糸が発射されそうだ。

 そうはさせるか!


 【鬼火】!!


 お! 出た!!

 もっともっと出すぞ。


 【鬼火】【鬼火】【鬼火】【鬼火】!


 よし。

 このまま突撃だ!!


 うん。もう糸など恐るるに足らず。

 俺に触れる前に燃え尽きた。

 ならば脚を斬り落とす!


 まず一本!

 食べるのは後にして、全て斬り落としてやる!!


 二本、三本………ラスト!!


 ムシャムシャムシャムシャ。


 【鬼火】で使った霊気も回復しているな。

 いや、それ以上だ。

 残りは胴体……

 もう脚が生えて復活している。

 だが、体はさらに小さくなっているな。

 あとは直接喰ってやる!!


 ガブッ! ガブガブガブ!!


 俺は土蜘蛛にがむしゃらにかぶり付き、完全に消滅するまで食べ尽くした。


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