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52 あやかし退治 其の四


 俺は妖狐。

 おじさんが、土蜘蛛に斬り裂かれた姿を見たひよりのお願いで、助けに走っている。


「ヨウコ。習った術を使うから、時間を稼いでくれる?」


 え?

 俺だけでデカイ蜘蛛に向かって行くのか?


「ヨウコなら出来るよ。だって妖狐なんだよ。強い妖狐なんだよ!」


 あ……久し振りに体が光っている。

 レベルアップだ。

 それに、ひよりから大きく力を分けてもらっている感覚もある。


「そうだな。俺は妖狐だ。ひよりの言う通り、俺ならなんだって出来る!」

「うん! まずはお姉さん達が心配だから、守ってあげて!」

「おう!」

「かしこみかしこみもうす……」


 俺はひよりの呪文を後に駆け出す。

 体が軽い。

 さっきと比べ物にならないくらい速い。


 あ!

 お姉さんが走り出したけど、おじさんに土蜘蛛の脚が振り落とされそうだ。

 少し怖いが、頭から体当たりだ!!


 ゴーンッ!


「キツネ!?」

「おじさん。俺が相手するから、下がってくれ!」

「だが……」

「早く!!」

「あ、ああ。頼む……」


 よし。おじさんは走って行ったな。

 しかし硬い奴だ。

 頭が痛い。

 だが、俺は強い妖狐。

 これぐらいなんてことはない!

 お前なんか喰ってやる!!


 ガブッ!


 ん?

 ちょっとうまいかも?


 ガブッ!


 前のあやかしよりは、ちょっとうまい。

 まぁひよりの霊気の方が何百倍もうまいけどな。

 それしにても、あれだけ硬かったのに、俺の牙は通るのだな。

 当然だ。

 俺は強い妖狐だからな。


 おっと。

 そんな遅い攻撃なんか、俺に当たるか!

 振り下ろされた足を避けて……

 噛んでやる!


 ガブッ!


 うん。

 なんだか、さらに力が湧き出てくるな。

 もうちょっと喰っておくか。


 ガブッ! ガブガブガブ!!


 ん?

 頭の中で声が……

 ひよりか?

 あ、お姉さんとおじさんが近くにいる。

 叫んでいるように見えるが、何を言っているかわからない。

 だが、聞こえる。


 わかった。

 どけばいいんだな!


 またスピードが上がっていたから、ちょっと大きく離れすぎたか。

 ひよりはいったい何をする気だ?



 ドッゴーーーン!!



 お、おう……

 マジか……

 ひよりから極太の光線が出た。

 10メートルはある土蜘蛛の体が半分消えたぞ。

 お姉さんもおじさんも、目と口を大きく開けたまま固まっている。

 気持ちはわかる。

 俺も目が飛び出しそうだ。


 だがこれで、土蜘蛛は死んだだろう。


 ……嘘だろ?

 脚が生えてきている。

 いや、体も大きさに合わせて変わってきている。

 これでは半分の大きさになっただけだ。


 ひより!!


 あ……

 お姉さんに抱き抱えられている。

 気を失ったのか?

 アレだけの霊気を放出すれば、ひよりでも倒れるのか……


 いま戦えるのは、俺だけ……


 問題ない。

 俺は強い妖狐だ!

 残りも喰ってやる!!


 俺は気持ちを強く持って駆け出した。


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