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48 あやかし退治 其の一


 俺は妖狐。

 今日はお隣さんの車で、あやかし退治に来ている。

 どうやら人の手が入らなくなった古い神社に、弱いあやかしが巣くってしまったらしく、その退治をお隣さんが依頼されたらしい。

 お隣のお父さんは神社の宮司をするかたわら、あやかし退治の仕事をしているみたいだ。


 山に入り、そこそこ歩いたが、なかなか目的地に着かない。

 ひよりは最初は「頑張るぞ〜!」と、張り切っていたが、途中から俺の背に乗って、モフモフと言いながら夢の中に行ってしまった。


「おじさん。まだ着かないのか?」

「もう少しだと思うんだがな〜」

「まさか、迷ったの?」

「迷った訳ではないんだが、久し振りに来たからな。前に来たのは10年も前に結界を張り直した時だ。さすがに土地勘は無くなっちまってる」

「結界があるなら、あやかしが出るのはおかしくない?」

「10年前だし、弱まったのかもしれないな。報告にあったのも、たいしたあやかしじゃなかったし、その結界を直せば、退治完了だ」


 結界って、お姉さんがたまに使っていた術か。

 何度か俺も、閉じ込められたな。

 自力で出ないと、しごきがキツくなって最悪だった。


 それにしてもおじさんは、結界も直せるのか。

 お姉さんの話では繊細な術だと聞いていたんだがな。

 あのムキムキな体を見る限り、戦闘専門だと思っていた。


「おっと。何かいるな」


 蜘蛛?

 野球ボールぐらいの蜘蛛が巣を張ってる。

 よく見ると、背中に人間の目みたいなのが付いてるな。

 あれが目的のあやかしか?


「う〜ん……報告と違うな」

「たしか大型家電の九十九神だったわよね?」

「そうだ。これはまずい現場に来たかもしれないぞ」

「土蜘蛛?」

「……たぶんな」


 うん。

 二人の話を聞いただけで、俺にも事の重大さがわかる。

 いや。

 お姉さんの、あの笑っているか怒っているかわからない怪しい顔が不安を膨らませる。

 ここはダメ元で、提案してみよう。


「危険なら、俺達は戻っているよ」

「何を言っているのよ! こんな絶好の修行の場なんて、めったにないよ!」


 修行の場?

 虐殺現場の間違えでは?

 危険と言うだけではダメか。

 違うアプローチをしてみよう。


「ひよりはまだ小さいんだ。せめてひよりだけでも、車に送って来る」

「……いや。嬢ちゃんに手伝ってもらえるとありがたい。子蜘蛛を抜けて、親蜘蛛に攻撃しやすいからな」


 おじさんまで、ひよりを立派な戦力に数えているよ。


「だが……」

「ん、んん〜……アレ? 着いたの??」


 やっと起きたか。

 今まで寝ていたこんな子供を、戦力に数えないで欲しい。


「嬢ちゃんに少し協力して欲しいんだが、いいか?」

「うん?」


 寝起きで頭がハッキリしていないみたいだ。

 ここでひよりが断ってくれたら、俺も帰る口実が出来るんだが……


「アイツ見えるか?」

「蜘蛛!? 気持ち悪い〜」

「今から、アイツがいっぱいいるところに乗り込むんだ。嬢ちゃんに、アイツらの相手をしてもらいたいんだ」

「う〜ん……」


 お! ひよりが悩んでいる。

 当然だ。

 あんなのがいっぱい居たら、気持ち悪いもんな。

 断ってくれ!!


「いいよ〜! ヨウコ。蜘蛛、倒して来て〜」


 え?

 受けただけでなく、俺にお願い?

 うぅ……やるしかないのか。


 ダッシュ!

 からのジャンプ!

 そして、尻尾薙ぎだ!!


「「「おお〜〜〜!」」」


 なぜ俺が、戦いの火蓋を切らないと行けないんだ〜〜〜!


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