04 管狐 夢を持つ
俺は管狐。
ヨウコという名前を付けられたら、何故か光だした。
「光が消えた〜」
今のはいったい……
なんだか、力が上がったような気がするが、気のせいか?
「あれ? ちょっと大きくなった?」
うん。まだ考え事をしているのだから、そっとしておいてくれないか?
いきなり持ち上げるのもやめて欲しいんだか……
そんな事より、たしかに大きくなった気がする。
零号ジイサンほどではないが、五号姉さんぐらいの大きさになったかも?
「レベルアップしたの〜?」
レベルアップ?
それはいったいなんだ?
「絶対そうだよ!」
お嬢ちゃん。説明してから納得してくれないか?
「このままいけば、九尾の狐も夢じゃないよ! わたしも手伝うから、一緒にヨウコの夢を叶えようね!」
いつから俺の夢は九尾の狐になったんだ?
それに九尾の狐とはいったいなんだ?
「ほら。これが九尾の狐だよ」
この本を見ろって事か?
どれどれ…………化け物じゃないか!!
こんな化け物になったら、ご主人様に抱いてもらえなくなってしまう。
そういえば、ご主人様と別れて、かなり日にちが経ったと思うのだが、いつになったら迎えに来てくれるのだろう?
まさか俺は……
「どうしたの〜? 悲しいの〜?」
ん? 意志疎通は出来なかったはずなんだが、俺の悲しみが伝わったのか?
「そうだよね。尻尾が一本じゃ悲しいよね〜」
違う。ご主人様が迎えに来てくれないのが、悲しいんだ。
あ……こんなことを考えると、よけい悲しくなる。
「大丈夫だよ。わたしが絶対、ヨウコを九尾の狐にしてあげる!」
こだわるなぁ……
こんな化け物になったら恐いだろう?
冷静なこの俺でも、叫んで逃げ出すぞ。
「これだけ尻尾があれば、モフモフし放題だよね〜」
うん。恐くないみたいだ。
「早くモフモフさせてね〜」
俺を化け物にしたい理由って、モフモフしたいからか?
さっきまで俺の腹をモフモフしていたけど、それでは足りないのか?
「今から楽しみ〜」
みたいだな。
まぁ俺は管狐。
妖狐にも九尾の狐にもならない。
だから、問題ない。
よくよく考えてみたら、ここで厄介になっていれば、お嬢ちゃんのうまい霊気も吸えるし、犬や猫に追い回される心配もない。
ご主人様も、俺が走り回ったせいで、発見が遅れているに違いない。
新生活で忙しい合間をぬって探すから、なおさらだ。
しばらくここで、ご主人様を待つとしよう。
「ねえねえ? 尻尾、増えそう?」
増えないから!!