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39 同じ夢……


 俺は妖狐。

 今日はあやかし狩りに参加して、大変な目にあったが、お嬢ちゃんとの絆が出来て、満足している。


 お姉さんにお願いしている、ご主人様の探索は、あやかし狩りに参加していた管憑きの者が探してくれる事になり、連絡待ちとのこと。

 もう俺にはお嬢ちゃんがいるから、焦る必要は無い。

 今の会いたい理由は、ケジメに別れの挨拶をしたいだけだ。


 俺が妖狐になった理由は、管憑きの者でもわからないらしい。

 そのせいで、研究材料にしたいと言い出した者が居たが、お嬢ちゃんが泣いて止めてくれたから、話は消えた。

 だが、管憑きの者達の目が怖い。

 お姉さんもおじさんも止めてくれてはいるが、二人の目も怖いので、この先心配だ。


 お嬢ちゃんは車に乗り込むなり眠りに就いて心配に思ったが、お姉さん(いわ)く、霊力を使い過ぎて疲れただけだから大丈夫らしい。


 家に帰ると、俺はお嬢ちゃんを部屋までおぶり、ベッドで降ろしたが、俺の姿を見た奥さんと旦那さんは、フェレットがキツネになったと驚いていた。

 俺も管狐から妖狐になって驚いているのだから、当然の反応だ。


 お姉さんとおじさんは、お嬢ちゃんを危険な目に会わせてしまったと、謝罪していたが、奥さん達は、どれだけ危険だったかわかっていないようで、軽く許していた。

 俺の姿を見ても驚くだけで、その後は、犬を飼いたかったんだと喜んでいたから、かなり図太い性格をしていると思う。


 お姉さん達が帰ると、夕食になり、お嬢ちゃんはうとうとしながら食べていた。

 そして、お風呂もうとうとしていたので、今日は奥さんと入った。

 何故か俺も誘われて、お嬢ちゃん同様、しっかりと洗われてしまった。

 お礼で俺も奥さんを毛皮を使って洗ってあげたら、喜んで感謝された。


 お嬢ちゃんはおネムなので、今日は早めの就寝。

 お嬢ちゃんと同じベッドに入り、俺も眠りに落ちる。



 ………



「ヨウコ……ヨウコ〜」

「ん……お嬢ちゃん……もう朝か?」

「ううん。目が覚めちゃった」

「そうか」

「だから、お喋りしよう!」

「ああ。何を話す?」

「そうね〜……今日、楽しかったね!」

「大変だったけどな。でも、楽しかった」

「大変だったの?」

「お嬢ちゃんは覚えてないのか。お嬢ちゃんがあやかしに取り込まれた時に、俺もお姉さんも、必死にお嬢ちゃんを助けようとしたんだ」

「そうだったんだ……ヨウコ。ありがとう」

「いいんだ。家族のために頑張っただけだ」

「それでもだよ。ありがとう。ぎゅ〜」

「俺の方こそ……お嬢ちゃんと出会えなかったら、どうなっていたかわからない。ありがとう」

「えへへ〜。そうだ! ヨウコのご主人様って、どんな人だったの?」

「う〜ん。明るく優しい人だったな。お嬢ちゃんと少し似ているかもしれない」

「そうなんだ〜。仲間はいたの?」

「ああ。俺を含めて九匹の管狐がいた」

「ヨウコは管狐じゃなくて、妖狐だよ!」

「お嬢ちゃん……本当に俺は管狐だったんだ。でも、お嬢ちゃんの力で妖狐になったんだ」

「そうなの??」

「そうなんだ」

「う〜ん。ヨウコがそう言うなら信じるよ。でも、お嬢ちゃんってのやめてくれない? 名前で呼んで」

「……ひより。これでいいのか?」

「うん! あ! またレベルアップだ〜」

「本当だ。光っている」

「このままなら、明日には尻尾増えてるかな〜?」

「どうだろうな。でも、お嬢ちゃんが言うなら、俺はなんにでもなれる気がするよ」

「絶対なれるよ! 楽しみだな〜」

「ああ。俺も楽しみだ」

「それでね〜……」


 この後、お嬢ちゃんは俺をモフモフしながら、眠りに落ちた。

 俺も疲れていたのか、お嬢ちゃんの温かい霊気が気持ち良いのか、すぐに眠りに就く。


 同じ夢を見ながら……


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