37 あやかし狩り 其の六
俺は大妖怪。
あやかしを食べることで、力を増した。
あと少しで、お嬢ちゃんの所に辿り着けそうだ。
ガブガブッ!!
もう少し……
ガブガブッ!!
もう少し……
ガブッ!
届いた!!
「お嬢ちゃん! お嬢ちゃん!!」
「ん、んん〜」
「お嬢ちゃん! 起きてくれ!!」
「んん〜……ヨウコ?」
「ああ。そうだ。さあ、一緒に帰ろう!」
「でも……」
「お嬢ちゃん。さっきは俺が悪かった。俺はお嬢ちゃんが好きだから、ずっと一緒にいたい。だから、俺の新しいご主人様になってくれ!」
「新しいご主人様? そんなのイヤ!」
「え? ずっと一緒にいられるんだぞ?」
「ヨウコは私の家族なの! 家族として、ずっと一緒にいるんだよ!!」
「……よくわからないが、それでお嬢ちゃんと一緒にいられるなら、家族でいい。これからもヨロシクな」
「うん! それよりヨウコ。その姿……白狐みたい。やっと妖狐になれたんだね!」
「そ、そうなのか? 自分ではわからないのだが……」
「そうだよ! モフモフ度アップだね!」
たしかに体が大きくなった気がするが、モフモフ度より、力がアップしたと思う。
「ぎゅ〜! モフモフ〜」
「いや、お嬢ちゃん。今は抱き締めている場合では……」
「わ! レベルアップもした〜!」
うん。したな。
もうなにがなんだか……
とりあえず、現状を打開しよう。
「あれ? ここどこ?」
「お嬢ちゃん。今は大きなあやかしの中にいるんだ」
「あやかし!?」
「そうだ。さっきやった、なんまんだぶつってヤツ、やってくれないか?」
「うん! 行くよ〜。なんまんだぶつ、なんまんだぶつ……」
よし! お嬢ちゃんを包む空間が、広くなってきたな。
それでもあやかしの数が多いから、時間が掛かりそうだ。
俺も協力しよう。
体も大きくなったし、お嬢ちゃんの力を借りれば出来るはずだ。
「お嬢ちゃん。俺に斬り裂けと命令してくれ」
「家族に命令はしないよ。だから、お願いする。ヨウコ……あやかしを斬り裂け〜〜〜!」
「おう!!」
俺はお嬢ちゃんのお願いを聞き、あやかしの腹を、爪でがむしゃらに斬り付ける。
斬れた場所からお嬢ちゃんの力で消滅していく。
俺の協力があってか、お嬢ちゃんのあやかしを消滅させる速度が上がり、数分後には、大きなあやかしは完全に消え去った。
「ひよりちゃん!」
「お姉ちゃん!」
ふぅ〜〜〜。
ははは。なんとかなったな。
お嬢ちゃんはお姉さんに、強く抱き締められている。
当然だ。
心配をかけたものな。
「お姉ちゃん。苦し〜い」
当の本人は、気付いていないようだが……