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35 あやかし狩り 其の四


 俺は管狐。

 昼食をいただき、お腹いっぱいだ。


「お腹いっぱ〜い」

「はい。お茶。二人とも食べ過ぎよ」


 お嬢ちゃんも肉を、もりもり食べていたからな。

 俺も久し振りに、いなり寿司を食べ過ぎて体が重い。

 このまま家に帰りたいぐらいだ。

 フフ。お嬢ちゃんの家に帰りたいとは、俺も変わってしまったな。

 以前なら、ご主人様の元に戻りたいと思っていたのに。

 今日はご主人様の情報を手に入れに来たんだった。

 お姉さんに聞いてみよう。


「お姉さん。ご主人様の事は、何かわかったのか?」

「いえ。まだ何もわかっていないわ。人に頼んでいるから、それ待ちね」

「そうか……でも、ありがとう。お姉さんがいてくれるから、俺はご主人様に会える希望が持てるんだ」

「う、うん。感謝されるのはいいんだけど、その喋り方は慣れないわ。なんとかならない?」

「なんとかと言われても……」

「ヨウコ……ご主人様ってなに?」

「俺の本当の飼い主だ」

「見つかったら、ご主人様のところに帰るの?」

「そうだな。お嬢ちゃんには感謝しているが、やはり俺は……」

「そんなのダメー!」

「お嬢ちゃん?」

「ヨウコはわたしと一緒にいるの〜!」

「ひよりちゃん……ヨウコちゃんには、ちゃんとした主人がいるの。わかってあげて?」

「ダメったらダメー!」

「お嬢ちゃん。話を聞いてくれ」

「そんな話、聞きたくない!」

「あ、ひよりちゃん! どこ行くの!!」


 お嬢ちゃんが泣きながら、山の中に走って行ってしまった……

 どうしたんだ?


「ヨウコちゃん。行くよ!」

「え?」


 お姉さんも俺を持って走り出した。


「お嬢ちゃんは、どうしたんだ?」

「ヨウコちゃんにはわからないか……ひよりちゃんはね、ヨウコちゃんの事が好きなのよ。ヨウコちゃんがご主人様を好きなようにね。だから、離れたくないのよ」


 なるほど。

 俺と一緒で離れたくないのか……


「俺はどうしたらいいんだ?」

「う〜ん。難しい問題ね。ヨウコちゃんはひよりちゃんのこと、どう思っているの?」

「命の恩人だ。お嬢ちゃんがいなかったら、俺は死んでいた。感謝している」

「そういう事じゃなくて、ひよりちゃんの事が好きかどうかよ」


 好きか……

 俺は管狐。

 そういった感情は持ち合わせていない。

 ご主人様の元に戻りたいのも、俺のご主人様だからだ。

 だから義務に近い。


「もう! ひよりちゃんと一緒にいたくないの!? 離れ離れになったら寂しくないの!?」


 お嬢ちゃんと離れるか……

 少し我が儘なところはあるけど、一緒に過ごしていたら、楽しかったな。

 なら、その答えはわかる。


「寂しい……これがお嬢ちゃんを好きだと言う事なのか?」

「そうよ。その気持ちを、ひよりちゃんに伝えてあげて」

「わかった!」

「いたわ!」


 お嬢ちゃん!!


「え? なにアレ……ひよりちゃんにあやかしが集まっている……」


 本当だ……

 小さいあやかしが、お嬢ちゃんを包むように集まって、どんどん大きくなっていっている……

 お嬢ちゃん!

 大丈夫か!?


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