表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/64

33 あやかし狩り 其の二


 俺は管狐。

 あやかし狩りに強制参加させられてしまった。

 現在は皆で、ゴミ拾いをしている。

 どうやらゴミを片付ける事も、狩りの目的に入っているらしい。


「ヨウコは小さいゴミを集めて来てね〜」


 おう!

 あやかしと戦う事は出来ないが、それぐらいならお手の物だ。

 これはペットボトルのキャップだな。

 二個づつ掴んで、お嬢ちゃんの袋に入れる。

 よし。次だ。


 これは野球ボールか。

 お嬢ちゃんの学校で見た事がある。

 コロコロと転がして……

 ん? 人間の目のような物がひとつある。

 あ、その下には口だ。

 落書きか?

 ……ひ、開いた!!

 お姉さん! 助けてくれ〜!!


「ヨウコちゃん。飛び付いて来て、どうしたの? あ! あやかし!!」

「フンッ!!」


 あ……おじさんの大きな拳で叩き潰された。

 野球ボールは……元に戻っている。

 どういう事だ?


「もう! 私が一匹目を退治するって言ったじゃない!」

「あ! すまん。そいつが慌てて逃げるから、俺も慌ててしまったんだ」

「おじちゃん、すごい!」

「ちゃんと見てくれていたみたいだな。ああやって、弱いあやかしぐらいなら、霊気を(まと)った拳で一発だ」

「そんなこと出来るの、お父さんぐらいだよ。普通はあやかし専用の武器で戦うか、呪文を唱えて退治するのよ。後は使役しているあやかしを使う場合もあるわね」

「ヨウコは逃げたよ〜?」

「ヨウコちゃんは戦うための訓練をしたあやかしじゃないからね。責めちゃかわいそうよ」


 その通りだ。

 俺はゴミ掃除専用で頼む。


「じゃあ、今から訓練しよう! ヨウコは妖狐だから、それぐらい出来るよ」


 違う。管狐だ。

 だから出来ない。


「まぁ管憑きでも、あやかし退治を専門にしている霊能者もいるからな。やろうと思えば出来るはずだ」


 そうなのか……

 いや、おじさん、よけいな知識をお嬢ちゃんに与えないでくれないか?


「それって、どうやってやるの〜?」

「たしか、自分の霊気を多く分け与えてやるみたいだけど、詳しい事は専門じゃないからな〜」

「ふ〜ん。やってみる!」

「おいおい。術も知らないで、そんな事は出来ないぞ」

「う〜ん……」


 お嬢ちゃん。それは撫でてるだけじゃないのか?

 いや、背中をさすっているのか?

 何かポカポカとして来たな。


「わ! やった〜。レベルアップだ〜!」

「嘘……」

「おいおい。術も使って無いのに出来ちまったぞ」


 たしかに力が上がったが、いつもと違って大きく上がっている。

 これならさっきのボールも持ち上げられそうだ。

 やってみよう。

 よいしょ!

 お! 軽い。

 やはりレベルアップとは違う。

 ご主人様に命令されて、片付けをする時の感覚に似ているな。

 その時は、なにか呟いていたような……


「あ! なにか出てきたよ〜」


 あやかしだ。

 ヨーグルトの容器に目と手足が生えたような奴だな。


「気持ち悪いから、アレはいらな〜い。なんまんだぶつ、なんまんだぶ」

「「え!?」」


 消えた……


「嘘だろ?」

「ヨウコちゃんの言ってた事は、本当だったんだ……」


 二人とも、信じられないモノを見るように、お嬢ちゃんを見ている。

 お嬢ちゃんは強いみたいだし、これなら俺が、あやかしと戦う必要はないな。


「あ! ヨウコが戦うんだった。次はヨウコの番だよ!」


 うっ。覚えていたのか……

 お嬢ちゃん。俺は戦いたくないんだ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ