31 管狐 説得してもらう
俺は管狐。
家に帰り、お姉さんにあやかし狩りに連れて行ってもらう旨を、お嬢ちゃんに伝えてもらっている。
「私も行きたい!」
だそうだ。
お嬢ちゃんは好奇心旺盛だもんな。
「行きたいと言われても、霊能者以外を連れて行くわけには……」
どうやらあやかし狩りには、普通の人は参加出来ないみたいだな。
「それに多少は危険なのよ。わかってくれない?」
危険なのか?
俺には危険が無いと言っていたのに、どういう事だ?
だとすると、俺も参加したくないのだが……
いやいや、ご主人様の情報を手に入れに行かなくては!
「ヨウコが危ない事になるなら、行っちゃダメー」
うっ。命令されてしまった。
これでは行く事も出来ない。
「はぁ。わかったわ。お父さんに相談してみるわ。それで許可が出なければ、ひよりちゃんはお留守番ね」
「うん! 明日が楽しみ〜」
いや、許可が出たらだろ?
もう行く気になっている。
「ひよりちゃんのお父さんやお母さんにも許可をもらわないとね。あやかしの事は言ってもわからないだろうから秘密にするとして……」
「ママとパパも、ヨウコのこと見えてるから大丈夫だよ」
「そうなの!? そういえばヨウコちゃんに、いなり寿司を作っていたわね。じゃあ、一緒に説明に行こっか」
「うん!」
………
奥さんも旦那さんも、意外と簡単に許可を出すのだな。
それだけ、お姉さんを信頼しているのか。
まぁ俺達は狩りに参加しないで、安全な所で見学するらしいからな。
後は、帰って行ったお姉さんのお父さんが、お嬢ちゃんの見学を許可してくれるかだな。
「ヨウコ! さっきお姉さんから電話があって、行ってもいいって!!」
そうか。
これで俺も気兼ねなく、お姉さんについて行ける。
後は、ご主人様も参加してくれていたらいいのだが……
「これでヨウコと一緒に戦えるね!」
え? 戦う?
ただの見学のはずだが……
「私がヨウコに指示を出すから、頑張るんだよ?」
いやいや。戦えないから!
「ヨウコは妖狐なんだから大丈夫!」
俺は管狐。
ご主人様の手伝い程度しか出来ない。
言ってて悲しくなるが、たいした力は無い。
「そろそろ白狐ぐらいに、なれるんじゃない?」
またこの本か。
今度は何になれと言っているんだ…………キツネの石像じゃないか!?
俺に石になれと言うのか?
しかも前回と比べてランクが下がっている。
これでいいのか?
「コマとマコと一緒で、神使なんだって。白狐になれたら、一緒に遊べるね」
あんな化け物と一緒にしないでくれ。
絶対、仲良く出来ないから!