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27 管狐 太った原因を知る


 俺は管狐。

 お嬢ちゃんとお姉さんは俺のダイエットを手伝ってくれるはずなのだが、二人で抱き合って、俺の存在を忘れてしまっている。

 ここは転がってでも、俺を思い出してもらわなくては!


「あ、何か足に当たった。ボール?」

「ヨウコだよ〜」


 よし。ボールと勘違いされたが、気付いてもらえたな。


「そういえば、ヨウコちゃんの事で来たんだった」

「そうだった。忘れてた〜」


 だろうな。

 途中から耳に息を吹き掛けて、遊んでいたもんな。


「お姉ちゃん。それで何か思い付いた?」

「そうね。ちょっと考えたんだけど、普通のあやかしや神使ってのは、太るとかは聞いた事が無いの」

「しんし?」

「神使って言うのは、コマやマコのことよ。神社に漂う霊気を吸って、あやかしから神社を守ってくれているの」

「そうなんだ! コマとマコはエライね〜」

「そうよ」

「じゃあ、今度行った時に、プレゼントにドックフードを持って行く!」

「ありがとう。でも、気持ちだけでいいのよ。神使はそんな物、食べれないからね」

「じゃあ、ヨウコと同じ、いなり寿司なら食べれるかな?」

「いなり寿司も食べれないの……まさか、ヨウコちゃん……食べてるの!?」

「うん! 昨日なんて20個も食べたんだよ〜」

「ウソ……」


 ん? お姉さんが俺をみつめている。

 まぁいなり寿司20個と言えば、俺の体とたいして変わらないからな。

 驚いても仕方ない。


「どうしたの〜?」

「あやかしが人間の食べ物を食べるなんて、初めて聞いたから……」

「え? じゃあ、他のあやかしは何を食べてるの?」

「たしか、霊気を吸って体を維持してたはず。ようするに、霊気があれば何も食べなくても生きていられるのよ」

「そういえば、ヨウコが家に来た時は何も食べてなかった」

「じゃあ、霊気以外の物を食べちゃったから太ったんじゃない?」

「なるほど〜」


 さすがお姉さんだ。

 俺が太った謎が解けたみたいだ。

 と、言う事は、いなり寿司を我慢すれば、痩せていくんだな。

 うっ……我慢出来ないかもしれない。


「ヨウコ。いなり寿司食べちゃダメだよ?」


 そんな殺生な!

 す、少しぐらい食べてもいいだろ?


「そんなに、すり寄ってもダメー」


 うぅぅ……

 命令されては、食べる事が出来ない。

 泣きそうだ。

 お姉さん。助けてくれ!


「ちょっとぐらいなら、大丈夫じゃない? まだそれが原因かもわかっていないんだから」

「そっか。ママと相談してみる!」


 ほっ。

 これで少しは食べられそうだ。

 お姉さんは命の恩人だ。


「それよりも、ここに霊気の吹き出し口は無いんだけど、どうなっているのかな〜?」


 うっ。殺気が……

 お姉さんは命を奪う側かもしれない……


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