26 管狐 ダイエットする
俺は管狐。
今日からダイエットを始めた。
お嬢ちゃんも手伝ってくれている。
朝起きると、さっそく部屋の中をランニングだ。
「ヨウコ。転がっちゃダメ!」
そうは言っても、走るより、この方法の方が速く動ける。
「もう〜。次は腹筋ね!」
くっ……
全然、体が持ち上がらない。
「出来ないか〜。じゃあ、腕立て伏せよ!」
腕立て?
前足を曲げたらいいのかな?
ん……こうか?
「お腹が大きくて、腕がちょっとしか曲がってないよ〜」
出来てないのか……
「ひより〜。そろそろ学校行かないと、遅刻するわよ〜」
「あ! は〜い。ヨウコ。行くよ〜」
ここまでか。
だが、かなり動いたから、痩せたはずだ。
………
「ひよりちゃん。おはよ〜」
「おはようございます!」
「ヨウコちゃんもおはようね」
お隣のお姉さん。
おはよう。
「今日は一段とモフモフね」
「ヨウコが太っちゃった〜」
「え? 太ったの??」
お姉さんには違いがわからないのか?
「てっきり、成長すると丸くなるのかと思っていたわ」
管狐は、そんな成長はしない。
「ダイエット始めたけど、うまくいかないの〜」
「あやかしがダイエット? そんな話、初めて聞くわね」
「お姉ちゃんは、何かやり方わからない?」
「う〜ん……放課後までに考えておくわ。学校が終わったら、ひよりちゃんの家に行くね」
「うん! 待ってる〜」
………
学校が終わり、家に帰ると、俺は庭でお嬢ちゃんにしごかれている。
「はい! ワンツー、ワンツー」
ダンスの振り付けを覚えさせられたが、かなりしんどい。
「そこでターン! また転がった〜」
うっ。
どうも体が言う事を聞いてくれない。
転がりはじめると止まらないし……
「あ! お姉ちゃんが来たみたい。ヨウコはさっきの振り付けを踊っていて」
命令だから踊るけど、うまく出来るかどうかはわからない。
右手、右足、ここでターン。
う〜ん。まただ。
転がってしまった。
もう一度。
右手、右足……
「踊ってるんだ。かわいい! あ〜。失敗かな〜?」
そうだ。
ターンがうまく出来ない。
「ヨウコ。休憩しよう」
やっとか。
だが、少しは痩せただろう。
「ぜんぜん痩せないの〜」
うぅ。あんなに頑張ったのに痩せていないのか……
「そんなにすぐには効果出ないよ」
「そうなの?」
「私もダイエットした事あるけど、効果が出たのはかなり後よ」
「お姉ちゃんは細くてキレイだよ?」
「あら? うれしいわ。ありがとう。ぎゅ〜〜〜」
「お姉ちゃん。苦しい〜」
「あ、ごめん。ひよりちゃんがあまりにもかわいすぎて強く抱き締めちゃったわ」
「わたしもやる〜。ぎゅ〜〜〜」
「「あははは」」
俺のダイエットは!!