22 管狐 ゲームをする
俺は管狐。
お姉さんに字を書けるとバラされ、お嬢ちゃんと筆談している。
「え〜。ヨウコは管狐じゃなくて、妖狐だよ〜」
違う。管狐だ。
本人が言っているんだから、信じてくれ。
「そうよね。ヨウコちゃんはヨウコちゃんよね」
お姉さんも、説得に協力してくれ!
「それより、何して遊ぼっか?」
お姉さん……話も変えないでくれないか?
「う〜ん……ヨウコも出来そうなゲームってある?」
「ヨウコちゃんが? それならスゴロクなんてどうかしら? 単純なゲームだからヨウコちゃんでも出来そう。ちょっと待っててね」
もう話を戻す気も無いのか?
何かボード状の物を持って来たな。
「それじゃあ、やりましようか」
「ヨウコもやるよ!」
命令だからするけど、スゴロクの説明からしてくれ。
「簡単だよ。サイコロを転がして、進んだマスに書いてある事をするんだよ」
なるほど。
これなら俺でも遊べるな。
「じゃあ、順番をサイコロで決めるわよ」
「は〜い」
お嬢ちゃんが一番で、次がお姉さんで、最後が俺か。
ふむ。なかなか考えさせられるゲームだ。
相手の邪魔をしたり出来るのだな。
………
「このまま一番でゴールだ〜」
「まだ私にも勝つ手段が残っているわよ」
俺は?
二人の眼中に入ってないと言うことは、どうやら、俺は負けるみたいだな。
まぁ初めてやるゲームだから、負けたところで、悔しくもない。
とりあえず、次のサイコロを振ろう。
「あ! そこは……」
なんだ?
お嬢ちゃんが焦っているな。
なになに……読めない。
あ、お姉さんが嬉しそうに説明してくれた。
他の人と自分の位置を変えるのか。
なるほど。
お嬢ちゃんが焦るわけだ。
では、変わってもらお……
「ヨウコはわたしの味方よね〜? そんな事しないよね〜?」
うっ……
命令されたからには出来ない。
せっかく一番になれたのに……
いや、特に嬉しい訳じゃないんだけどな。
「え? 私より、ひよりちゃんと位置を変えた方がいいよ。なんで私と変えるの?」
それはわかっている。
だが、命令は絶対だ。
「もしかして……ひよりちゃんの命令に逆らえないの?」
そうだ。
だから、その手をどけてくれ。
ぐっ……俺の力では、お姉さんの手をどけられない。
「ズル〜い! ひよりちゃん。それは反則よ!」
「命令なんてしてないも〜ん。お姉ちゃんも早く手をどけてよ〜」
いや。しただろ?
だから体が勝手に動いているんだ。
「ヨウコちゃんは、うなずいているわよ」
「ヨウコ。わたしの味方じゃないんだ……」
お嬢ちゃんはズルしているけど、俺はお嬢ちゃんの味方だ。
当然だ。
命令されているからな。
「ほら。ヨウコは味方なんだから、ズルじゃないよ〜」
「それがズルなのよ!」
お姉さんの意見……
もっともだ。
しかし、お姉さんも少し大人げないと、俺は思うぞ。
ここは俺が大人になるとしよう。
「あ! ヨウコ。どこに行くの! 逃げちゃダメ〜」
抜けることすら出来ないのか!
明けましておめでとう御座います。
他にも「アイムキャット❕❕❓」と言う作品を書いております。
下にリンクを貼っていますので、宜しければどうぞ。




