表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/64

17 管狐 見付かる


 俺は管狐。

 ピクニックに来たものの、フェレットのぬいぐるみに入れられて、奥さんに抱かれて移動している。

 周りも見えないから、現在、どのような状況かわからない。


「この辺でいいかしら? パパ。レジャーシート広げて」

「おう。任せとけ!」


 どうやら、目的地に着いたみたいだ。

 周りが見えないのは不安だから、そろそろ外に出たいのだが……


「ヨウコ。おいで〜」


 命令されたから、行きたいのはやまやまなんだが、前が見えない。

 こっちか?


「そっちじゃないって〜。もうぬいぐるみから出て来ていいよ」


 やっとか。

 これでお嬢ちゃんの肩の定位置に移動出来る。


「それじゃあ、行こう!」

「ママ達から見えない所に行っちゃダメよ〜」

「うん!」


 と、言いながら、離れ過ぎだ。

 さっきのいい返事は、なんだったんだ?


「ヨウコ……ここどこ?」


 お嬢ちゃんが、わからないのは当然だ。

 花を見ていたと思ったら、チョウチョを追いかけ出したからな。

 そのせいで、林の中に入ってしまった。


「ママ……」


 急に不安になっているな。

 お嬢ちゃんはまだ幼いから仕方ないか。

 まぁお嬢ちゃんが道に迷いそうだったから、俺は迷わないように道を覚えていた。

 俺に任せろ。


「あ、ヨウコ……ついて来いって言ってるの?」


 そうだ。

 奥さんも心配しているだろうから、早く戻ろう。


「そっちね!」


 たしかこっちに来れば、林が切れるはず……

 よしよし。林から出れた。

 お! ちょうど奥さんと旦那さんが見つけてくれたな。


「「ひより!!」」

「ママ! パパ!」

「もう! 遠くに行っちゃダメって言ったでしょ! ひよりに何かあったらと、ママ、心配だったんだからね!」

「ママ……ごめんなさい」

「ひより〜。よかった〜〜〜」

「パパも心配かけて、ごめんなさい」


 かなり心配していたみたいだな。

 しかし、旦那さんは娘の前で、泣き過ぎだと思う。


「はぁ。何もなくてよかったわ」


 ぐ〜〜〜


「あら。大きなお腹の音。お昼ごはんにしよっか」

「うん!」


 お嬢ちゃんは叱られて落ち込んでいたが、ごはんの発言で、すぐに元気になったな。

 皆でお話をしながら食べはじめた。


「それでね〜。ヨウコが道案内してくれたの〜」

「そうなの!? ヨウコちゃん。ありがとう」


 当然の事をしたまでだ。


「ヨウコ。ありがとう。ぎゅ〜……あ! また光った〜」


 本当だ。

 何か条件があるのか?

 前の事を思い出せば、共通点は……


「ヨウコちゃんが光った?」

「ヨウコはレベルが上がると、ピカピカ光んだよ〜」

「そうなんだ。私もヨウコちゃんの光る姿が見たいわ」

「ママとパパにも見えたらいいのにね」


 俺は管狐。

 霊力の無い者には見えない。


「「うわ! フェレットがいる!!」」


 あれ? 見えるの??


「フェレットじゃないよ〜。妖狐だよ〜」


 違う。管狐だ。


「そうだったわね。ヨウコちゃんだったわね」

「うん!」


 だから、それは名前だ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ