表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/64

13 管狐 かくれんぼをする


 俺は管狐。

 今日はお嬢ちゃんと近所の公園に来ている。

 近所と言っても、そこそこの距離だ。

 なので、お嬢ちゃんと自転車に乗ってやって来た。

 初めて乗ったが、風を切るあの感じは悪く無い。


「ひよりちゃん。こっち〜」

「ここみちゃん! みんな〜」


 あれは学校の友達だな。

 仲良さそうに話をしている。

 これなら今日は、俺に何かを要求してくる事は無いだろう。


「それじゃあ、かくれんぼするよ」

「「「「「じゃんけん、ぽん!」」」」」

「あ、負けた」

「ゆうた君が鬼ね」

「みんな隠れろ〜」

「「「「「わ〜〜〜」」」」」

「すぐみつけてやる! い〜ち。に〜い……」


 皆、蜘蛛の子を散らすように逃げて行ったな。

 お嬢ちゃんも頑張って走っている。

 そろそろ隠れる場所が決まったのか?

 貫通している穴に入ったな。

 これでは丸見えになるのではないのか?


「よし! ここで鬼をやり過ごすよ〜。そのためには、ヨウコの力が必要だね」


 何故、俺の力が必要になる?

 俺は管狐。

 力になれないぞ?


「じゃあ、ヨウコは外の見張りね。たぶんそっちから来るから、ゆうた君が来たら教えてね」


 ズルじゃないか!

 くっ。命令されたから行くしかない。


「そうそう。そこ! ヨウコから合図があったら、わたしは反対側から外に出るからね。そして、また戻る。これで最後までみつからないよ!」


 お嬢ちゃんの作戦は、賢いんだが、人間に見えない俺を使うのはズルいと思う。

 命令されたからやるしかないが、友達にズルして勝とうとするのはよくないと思うぞ?


「それじゃあ、見張りお願いね〜」


 はいはい。

 やればいいんだろ。



 その後俺は、キョロキョロと周囲を警戒する。



 その間、お嬢ちゃんは暇なのか、何度か話し掛けて来たが、隠れているのを思い出し、すぐに口を閉じていた。



「ひより、見つけた!!」

「あ! ゆうた君!!」


 お嬢ちゃんが恨めしそうに俺を見ているな。

 俺はちゃんと仕事をしていた。

 だから、そんな目で見ないでくれ。


「みつかっちゃったよ〜」


 当然だ。

 穴はふたつある。

 ひとつに見張りを立てても、もう片方から来られては意味がない。


「なんで教えてくれなかったの〜」


 俺は反対に居たからだ。

 どうやって、教えればよかったんだ?


「むう……ヨーコが早く、妖狐になれば見つからなかったのに〜」


 それは関係ない。

 作戦が悪かったんだ。

 そもそも俺は管狐。

 どうやっても妖狐になれないからな。


「ひよりちゃん。誰かとお話してるの?」

「あ、ひとりごとだよ〜」



 その後お嬢ちゃんは、かくれんぼで俺を頼ることはなくなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ