表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/64

12 管狐 人に夢を知られてしまう


 俺は管狐。

 現在、隣のお姉さんの膝に乗せられ、優しく撫でられている。


「ごめんなさい。あなたが大きくなっていたから、てっきり、ひよりちゃんにとり憑いて、霊気を吸い取っているのかと思ったの」


 うん。正解だ。

 正確に言うと、あふれて漏れている霊気を吸っている。

 だから、お嬢ちゃんの体調に問題は無いはずだ。

 この事を言うと、変に受け取られると困るから、お姉さんには黙っておこう。


「それに管狐なんて、初めて見たのよ。本物はこんなに大きいのね。それにモフモフしてて、撫で心地がいいのね」


 いや、管狐はもっと小さい。

 ネズミぐらいだ。

 零号ジイサンで猫より少し小さいぐらいだが、気付いたら俺も、それぐらいの大きさがある。

 俺も零号ジイサンの大きさになるのは、もっと時間がかかるものだと思っていた。

 お姉さんも、そろそろ撫でるのやめようか?



「ん、んん〜……お姉ちゃん?」


 お嬢ちゃんが目を覚ましたか。

 きょとんとした顔でお姉さんと俺を見ている。


「ヨウコ……あ! なんでもない……」

「この子、ヨウコって言うの?」

「え……お姉ちゃんも見えるの?」

「うん。かわいい名前だね」

「うん!」


 そうか?

 俺は雄だから、似合わないと思うぞ?


「それよりこの管狐って、ひよりちゃんが使役してるの?」

「くだぎつね? しえき?」

「え……何も知らないの!? 管狐って言うのはね……」


 お姉さんが俺の事を説明してくれている。

 これでようやく、お嬢ちゃんが俺を管狐と認識してくれるだろう。


「え〜。ヨウコは妖狐だよ〜。管狐なんかじゃないよ〜」


 残念ながら、認めてくれないみたいだ。

 だが、俺は管狐。

 お姉さんの方が知識があるから、説得されたら認めざるを得ないだろう。


「そうね。ヨウコちゃんは、ヨウコちゃんよね」


 もっと説得してくれ!

 いや、名前のせいか?

 お姉さんは、一個体でヨウコと呼んでいるな。


「ヨウコはね〜。九尾の狐になるのが夢なんだ〜。だから、わたしも頑張って手伝うの」


 違う。それはお嬢ちゃんの夢だ。

 俺は一言も、そんな事は言ってない。

 お姉さん。

 俺の首振りで気付いてくれ!


「そうなんだ。ちゃんとお世話するなんてエライね〜」


 お姉さん!

 気付いてくれ!!

 ダメか。

 ならば、お嬢ちゃんに知られたくなかったが、もう一度紙に書いてやる……


「ヨウコ〜。こっちおいで〜」


 うっ……お嬢ちゃんの命令で、お姉さんの膝の上から、お嬢ちゃんの膝の上に移動してしまった。


「よくなついているね」

「うん!」


 違う。命令されたんだ。


「ひよりちゃんが、ただの風邪だったからよかったわ」

「??」

「あ、こっちの話。それじゃあ、よく休んで早く治してね」

「うん! ありがと〜」



 お姉さん。俺の夢は九尾の狐ではないんだ。

 俺は管狐。

 お嬢ちゃんの誤解を解いてから帰ってくれ〜〜〜!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ