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10 管狐 勉強する


 俺は管狐。

 お嬢ちゃんとの新生活が始まり、そこそこ充実した生活を送っている。

 相変わらず、ご主人様は迎えに来てくれないが、きっと忙しくて迎えに来れないのであろう。


 お嬢ちゃんも学校が始まってからというもの、以前と比べて、忙しくてしているからな。


「ねえねえ。ヨウコ〜。この問題わかる〜?」


 宿題か?

 管狐の俺が、わかる訳がない。


「この算数の問題なんだけど〜」


 だから、わかる訳がない。

 管狐だぞ?


「う〜ん……わかった!」


 お! 自分の力で解けたか。


「ヨウコが天狐になればいいんだよ!」


 問題では無かったのか……

 しかし天狐とはなんだ?

 妖狐の一種か?


「これだよ〜。長生きらしいから、賢そうじゃない?」


 またこの本か。

 どれどれ…………お面の落書きじゃないか!!

 こんな落書きになれと?

 いくら賢くてもなりたくない。

 そもそも俺は管狐。

 どうやっても落書きにはなれない。


「う〜ん。やっぱりダメ。かわいくない!」


 落書きだもんな。

 なれと言われても、なれないがな……


「やっぱり九尾の狐になって〜」


 お嬢ちゃん。化け物にもなれないんだ。


「そういえば、最近ピカピカ光らないね〜?」


 そうだな。あれはいったい、なんだったんだろう?


「もっとピカピカ光ったら、早く九尾の狐になれるんじゃない?」


 たしかに力は上がったが、俺は管狐。

 管狐として強くなっただけだ。


「どうやったら光るんだろ〜? そうだ! この問題出来たら光るんじゃない? はい。見て〜」


 これは、お嬢ちゃんの苦手な算数というヤツか?

 文字も知らないのに、わかる訳がないだろ。


「あ、読めない? これが1で、これが2。3、4……」


 なるほど。

 これが数字で、足したり引いたりするのか……


「じゃあ、簡単な問題を出すよ。1足す1は?」


 えっと……2?

 どうやって伝えろと?

 両前足を上げたら伝わるか?


「正解! ヨウコ、賢い〜。よしよし」


 ふふん。この程度なら俺でもわかるな……


「あ! 光った!! レベルアップだ〜」


 本当だ……また力があふれてくる。


「やったね〜! これで九尾の狐に一歩近付いたね」


 いや、それとこれとは別だ。

 俺は管狐。

 化け物になる訳がない。


「じゃあ、後の問題はやってね〜」


 な……俺に宿題をやらせる為に、覚えさせたのか?

 しかも、命令されたから拒否出来ない!



 その後、俺は鉛筆を持って、算数のドリルを頑張って解いた。

 ただ、数問しか合っていなかったらしく、次の日、先生に注意されたと怒られた。

 お嬢ちゃんは先生に注意されるのが嫌なのか、その日以降は自分でやっていた。



 当然だ。

 俺は管狐。

 習っていない掛け算なんて、わかる訳がない。


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