4.弱くてニューゲーム(クリア特典大盛
説明を多くてごめんなさい。
若干、短いです。
※05/24
設定洩れがあった為、表現付けたし。
攻撃時、スキル《鎌鼬》が発生してませんでした
※05/30
流派スキルを通常スキルよりもレベルアップボーナスを高くする為に変更
・・・ザザ・・・ザザザ・・・
「!?」
一瞬ノイズが走り画面が僅かにチラつく。
しかし、その後、運営からのアナウンスもなくしばらくしても何か変わった事もない。
一瞬だがβ時代に何かとやらかした四神が一柱のヴィーナスがまた干渉してきたのかと思ったがそんな事はない様だ。
さて、用意も整った事だし、まずは街周辺でのスキル上げだ。
ついでに精霊と契約出来れば万々歳だけど、そう巧くはいかないだろう。
今回、野営はせず日帰りのクエスト中心なので武具以外は何も持って行かず出発する。
回復薬? 当たらなければどうとでもなる――と偉い人が言っていた気がする。
街の出入り口は東西南北それぞれ一つずつある。
その出入口によって若干現れる魔獣(野獣)が違う。
今回、狩る予定なのは南の出入口から街道沿いによく現れるウルフと街道から外れた森に潜伏しているフォレストウルフだ。
どちらも初心者()には打って付け対象で当然ながらフォレストウルフの方が若干強い。
分かりやすくレベル表現すればウルフの方がLv1でフォレストの方がLv3ってところだろう。
つまり、誤差だ。
というか、俺からしたらどちらも等しく雑魚だ。
アキラというキャラ自体、新参プレイヤーのキャラとステータス面で見れば大差がない。
しかし、スキル面では大きく違っている部分がある。
それは、技の極致である流派だ。
代を重ねる毎に流派を改造出来るという代物で――勿論、色々制約や条件が存在する――で短命種族を選択する最も有力な理由だ。
また、ベースとなる流派によって後々の改造項目が違い一つとして同じ流派が存在しない。
つまり、何も言いたいかというと・・・これが俺の流派だ。
◆《月守夢想流剣術》◆
レア度:Original
源流派:《秋月夢想流剣術》
対応武器:片手剣、長剣、大剣、双頭剣、騎士剣、魔導剣、蛇腹剣、脇差、打刀、長刀、太刀、居合刀
Lvup特典:腕力・脚力+60、技量+120、敏捷+80
固有スキル1:《縮地法・極》レベルに応じた距離を敏捷に関係なく一瞬で詰める事が出来る。
レベルアップ時:脚力・敏捷+30、移動距離+2m、2Lv毎に再使用時間-1s
固有スキル2:《鎌鼬・極》攻撃時、ランダム機動で飛ぶ三つの鎌鼬を発生させる。
レベルアップ時:腕力+30、技量+30、飛距離+2m、2Lv毎に鎌鼬数+1
と、こんな感じで次が新参プレイヤーが最初から持っている流派だ。
◆《見様見真似》◆
レア度:Tutorial
源流派:―
対応武器:全武器
レベルアップ特典:全ステータス+1
固有スキル1:《見様》戦闘中一度だけ相手の技で反撃出来る
レベルアップ時:腕力+2、脚力+2、与ダメージ+0,1倍
固有スキル2:《見真似》習熟速度が1.3倍
レベルアップ時:技量+2、視力+2
見て分かるように大きな差がある。
まぁ、見様見真似はチュートリアル流派なのですぐに別の流派へすぐに変更でき、そこで良い源流派を見付けられるかどうかで今後どう活躍できるかが決まる。
流派にはレア度があり、下からチュートリアル、ノーマル、レア、ユニーク、シークレットの五種でチュートリアル流派は《見様見真似》だけなので実質四種という事になる。
それとは別にオリジナルつまり自流派があり、どの流派も改造した時点でオリジナルになる。
また、流派には全部で十二の技が必ず存在し、通常技十、奥義一、秘奥義一となっている。
俺は予定通り南門から出て街道沿いを歩いていく。
正直、ウルフと戦える確率は低いと思われる。
一番の要因として街道沿いは国に所属する騎士または兵士が定期的に巡回している事やウルフ系統は人気の少ない夜を好んで活動しているという事だ。
つまり、あくまでもウルフは副次的目標であり主目標はフォレストウルフの方だという事だ。
フォレストウルフは、人気の少なく薄暗い森の中におり、奥へ行けば行くほど強力な個体が存在している。 勿論、ウルフも森の中にいるが、縄張り関係で森の浅い所におり、夜になるまでは気配を消して潜伏している状態だ。
とはいえ、彼らの縄張りに足を踏み入れれば容赦なく襲い掛かってくる。
まぁ、それが狙いだとも言う。
短時間でスキルを上げる為には数をこなさなければならなく、群れで行動するウルフ系統は都合が良いという事だ。
テクテクと街道を南へ歩いていく。
残念ながらまだ気配察知を習得していない為、狙って戦う事が出来ない。
そういう時はどうするか決まっている。
無警戒に森の中を走り抜けるのだ。
そうすると縄張りを荒らされたとウルフどもが追いかけてくる。
ほら、こんな感じに・・・。
『ウグアァァァァア!!』
周りよりも二回り大きな狼――恐らくウルフ――が、数匹の通常サイズとちっちゃなサイズの狼数匹を引き連れて俺を追いかけてくる。
流石に初期ステータスでは逃げ切る事が出来ず――まぁ、逃げるつもりはないが――後、十数秒で追いつかれる。
ウルフ系統は基本単独行動をせず群れで行動する為、取り囲まれると厄介な存在だ。
とはいえ、それは新参プレイヤーにとっての話で俺の様な世代交代を何度も経験しているプレイヤーなら逆に良い鴨の様な存在となる。
もう少し他の群れも誘いだしたかったが仕方がない。
俺は大きな木の幹を周回する様に走りUターンすると丁度数メートル先に群れの先頭がいる形となる。
《縮地法》《壱ノ太刀》
縮地法によって数メートルの距離は瞬く間に0メートルとなり、鞘から刀を抜刀しながら先頭のウルフを一刀両断する。
さらに攻撃と同時に発生した炎波――鎌鼬が炎属性付与で変化――が発生し、追従していた一匹も屠る。
《壱ノ太刀》は、簡単に言えば横薙ぎの抜刀術で《月守夢想流剣術》での最も基本となる技だ。
E/Oでの抜刀術は、踏み込み速度と攻撃速度が早ければ早いほど威力が増す仕様となっている。
その為、どんな距離だろうと一瞬で間合いを詰める事が出来る《縮地法》は抜刀術と相性が良い。
使った瞬間、踏み込み速度という面ではステータスやスキルレベル関係なく最大値となるからだ。
さらに《鎌鼬》による追加ダメージにより同等以上の相手でも一撃必殺になる場合がある。
群れのボスとNO.2が瞬殺された事で後のウルフはただの的に成り下がる。
逃げ出すウルフ達を後ろから斬り伏せていく。
魔獣の間にも食物連鎖や弱肉強食がシステム上成り立っている為、絶滅を防ぐ為に子狼は基本的に逃がす。
群れを殲滅し終わった頃には流派のレベルが上がり、他のスキルも一つ二つ上がった為、一気にステータスが跳ね上がる。
ただ、流派レベルに関しては0から1まではすぐだが、ここからが大変で全スキル中で一番上がりにくくなっている。
それだけキャラクターに対する恩恵が大きいからだ。
さて、一通りステータスの上がり具合を確かめたので刀に付いた血を振り払い鞘へと戻す。
そして、もっと奥へ奥へと足を踏み入れていく。
時代進行直後ともあって森の中には結構な数のフォレストウルフの群れが点在していた。
それらを駆けながら群れを引き連れては返り討ちを繰り返していく。
もうすでにフォレストウルフ討伐クエストの指定討伐数は超えており、ウルフの方もとうの前に終わっていた。
正直、弱すぎて物足りないのだが街周辺かつ南となるとこれら以外はいなく、これらよりも強い魔獣となると野営も考えた装備でこなくてはいけない。
「そろそろ潮時かな」
防具の方は被弾していないのでほぼ無傷だが武器の方は刀としての部分に関して言えば、もう限界に近く最悪折れてしまえば杖としてしか使用出来なくなる。
砥石を持って来ているが精々回復出来たとしても三割ってところだろう。
現時点で俺は魔法を習得していないので折れる前に森を抜けなければならない。
とはいえ、満腹度の方も半分を切っておりHPとSPの自然回復量が心許なくなっている。
という事で俺は丁度良い高さの岩へと腰を掛け小休憩を取る事にした。
少し大きめのポショットから干し肉を出す。
干し肉は満腹度を満たす効果しかない保存食だ。
満腹度は、100%から80%まで自然治癒量は秒間5%、79%から50%まで秒間2%、49%から30%が秒間1%、29%以下が回復せずマイナスともなると秒間5%で減っていきマイナス50%で餓死する。
戦闘中だとこれらの効果は半分しか得られない。
また、29%以下となる技と魔法の使用が出来なくなり、マイナスになると歩くだけでもスタミナが減る。
ちなみにスタミナは技以外にも走ったり重量物を運ぶ時にも減り、0になると行動出来なくなる。
味は塩辛いの一言に尽き、ガッ!という音が聞こえそうなぐらい硬く噛み千切るのに一苦労する。
確かアイテム説明欄に完食で満腹度30%上昇だったから・・・、一口だけという訳にもいかないか。
あ~毎回思うけれど硬い硬すぎる。
咀嚼するのも一苦労だよ。
赤子の拳大程度の大きさにも関わらず全然減る兆しがない。
仕方ない、ついでに砥石で耐久回復しつつ気長に食べる事にしよう。
「やっと・・・」
食べ終えた。
これで満腹度50%超え適当に狩りつつ帰って丁度良いぐらいか。
「よっ・・・と、ん?」
腰を掛けていた岩から飛び降りて初めて気付く。
目の前に誰かがいる事を・・・。
「誰? あ・・・」
目の前に立っていたのは半透明のエルフっぽい女の人? いや違う精霊だ。
見た目は、葉っぱと蔦で出来た水着を着た女性で全体的に半透明の緑って感じ。
何も喋らず静かに俺を見下ろしていた様だ。
目が合った今でも何も喋らない・・・違うな。
口が動いているにも関わらず俺に聞こえないという事は《精霊魔法》のレベルが低くて意思疎通できるほどじゃないんだ。
精霊の右手が俺の頭に延びる。
そして、触れた瞬間、精霊の意思が伝わってくる。
――私をここから連れ出して――
俺は心の中で了承を意を示すと精霊の情報が頭に入ってくる。
彼女は風の精霊『サイレンス』、風の魔法とデバフを得意とする下級精霊だ。
『古の誓約に基づき風の精霊”サイレンス”と契約を結ばん。汝の名は”イレス”。我が名は”アキラ・ローグライト”』
彼女は俺の頭に乗せていた手を戻し首下に添え一礼するとフワッとそよ風が発生し姿が周囲に溶け込むように見えなくなる。
そして、彼女が俺の精神の中へと入ってきた事が感覚的に認知する。
『よろしくお願いします。 主様』
◆補足◆
◇流派について
流派の改造は、メインとなる流派(自流派)に他流派を掛け合わせる事で特性を追加したり変更したり強化したりする事。
◇一世代で改造出来る箇所(各箇所一度だけ改造可能)
・流派のレベルアップボーナス
・流派に対応出来る武器の追加(基本的に掛け合わせる流派の武器が追加される形)
・流派の固有スキルの選択(ベースおよび今まで掛け合わせた流派の固有スキルから選択)
・流派の固有スキルの効果またはレベルアップボーナスの強化(固有スキルの変更しなかった場合)
・各技の変更(ベースおよび今まで掛け合わせた流派の技から選択)
・各技の名称変更
・各技の特性強化および特性変更(各技を変更しなかった場合)
◇固有スキルの名称変化
任意に三段階強化出来る(新生UDにて四段階目が追加)。
○○○⇒○○○・改⇒○○○・巧⇒○○○・極⇒○○○・超(新生UDで追加)
基本的に強化のみでスキル特性の変化は出来ない。
極の段階で新たに特性が追加される。
強化項目はどの段階でも同じで強化する順番が変わるだけ。
どの段階であっても上昇する難易度が変わらない。
またレベルアップボーナスはスキルを強化した時点で自動的に強化される。