第八話 洋服選びは地獄だったようです
約30分で書きました。褒めてください。
俺は泥まみれになりながらずっと生き物を探していた。だが、ダンゴムシとかそういう意味のなさそうなやつばっかり見つかり、結局強そうな生き物は見つかっていなかった。一応ダンゴムシとかを殺させて頂いて、ちょっとは戦力増強になるかなと思ったが、ダンゴムシとかがいくら集まったところで戦力にはならないとあとから気がついた。深夜になると脳みそ回転しなくなるよね。
そして、俺の背後から気配がした。それは俺に飛びついてきた。俺はなんとか回避しようとするが、回避を考えるのが遅すぎて、捕まってしまった。
「センパイ! なんでそんなに泥まみれになってるッスか!?」
「ちょっ、わかってるなら飛びついてくるなよ!?」
「大丈夫ッスよセンパイ! 例え泥まみれでもセンパイのことを好きな気持ちは変わらないッス!」
そういうことじゃないんだけどなー、と思いつつ内心は嬉しかった。そして、カスミは抱きついたまま俺に話してきた。
「そんなに泥だらけなら服屋に行かないとッスね」
「そうだな。俺も早く着替えたい」
そんなことを話していると、背後から殺気がした。モンスターか!? と思って振り向くと、そこには凛がいた。
「ねぇ、なにしてるのかな?」
「うわ!? 脅かすなよ凛」
「なにしてるのかって聞いてるんだけど?」
怖い、怖いよ凛。
「な、なんにもしてないって!」
「じゃあなんで抱き合ってるのよ!」
「いやっ、それは」
「センパイがハグしたいって言ったからッスよ?」
「なっ、そんなこと言ってないだろ!?」
「へぇ、最後に言い残したいことはあるかしら?」
「ちょっ、ちょっと待てって!」
「冗談よ、あなたが嘘をついてるかどうかくらいわかるわ。どうせあの女が嘘をついてるんでしょ」
「ちっ、バレたッスか」
「当たり前でしょ? いい加減にしないと殺すわよ?」
「おお怖い怖いッス」
ちょっとなんで朝から修羅場になってるんだよ。とりあえずこの場を収めないとな。
「あ、あのさ。とりあえず山降りようぜ? 服着替えたいし。どこに店があるかわからないし、早めに降りないとだろ?」
「あの、新庄君スマホって知ってるかな?」
「えっ、あっ!?」
スマホの存在忘れてた……。やばい顔がめっちゃ熱い……。しかも2人とも俺の顔を見て笑ってるよ。
「ぷっ、ははっ」
俺もつられて笑ってしまった。まあ、修羅場は回避したし、良かったってことにしとこう。そうしよう。
そして、俺達は山を降りた。降りる時はずっと生き物を探していたが、今の俺に狩ることの出来ない鳥かダンゴムシくらいにしか会わなかった。まあ、スマホもあるしそのうちなんとかなるだろ。
「着いたッスよ」
俺達は服屋にきていた。しかも、個人商店とかじゃなく、服屋が至る所にあるような大きなショッピングモールだ。ここならなんでも揃うだろう。ご飯もありそうだしな。
「お腹すいたから先にご飯食べないか?」
「いや、センパイその格好で食品店入るつもりッスか? さすがにまずいと思うッスよ?」
「この女と意見が被るのは癪だけど、その意見に同意よ。先に服を買いに行きましょう?」
「わかったわかった」
お腹すいたけどまあ服を選ぶちょっとの時間だけ待てばご飯食べれるだろう。そう簡単に考えていた俺がアホだった。
「新庄君、この服なんて似合うと思うわよ?」
「センパイ、こっちのほうがいいと思うッス!」
「はぁ? こっちのほうが格好いいわよ!」
「センパイにはこっちのほうが合うっす!」
いつの間にか俺のコーディネート対決みたいになっていた。俺はまるで着せ替え人形のように扱われ、ようやく服が決まった時には、服を選び始めてから3時間も経っていた。
正直服の事なんてよくわからんが、カジュアル系って感じになってるのかな? まあ俺も結構恰好いいと思う。
しかし、それで解放されてご飯が食べられるわけではなかった。2人とも自分の服を選び出したのだ。荷物になるから服は1着しか持っていかないということに決まったので、2人とも妥協なしで自分の服を探していた。
「ねぇねぇ新庄君、これとこれどっちがいいかしら?」
うわっ、出ちゃったか……。たしかこれってどっちかが正解なんだよね。テレビでやってた。左は花柄で、右はシンプルな青い感じか。どっちが正解なんだ……。ええいままよ!
「花柄のほうかな」
「だよね! 私もそっちがいいと思ってたの!」
あぶねー! やっぱり正解あったのか! 正解引けて良かったー!
そして、結局合計6時間くらいかかりました。お腹の虫が唸ってるよ……。あっ、ちなみに花柄の服は落選致しました。なんだったんだあのやり取りは……。まあたしかにカスミも凛も一層可愛く見えるしいいんだけどね!