第七話 モンスター召喚
「おやすみなさい」
「おやすみなさいッスセンパイ」
「ああ、おやすみ」
そう言いつつ、俺は寝る気は無かった。森の中で、布団とかもなく草の上に美少女2人が寝ているんだぞ? 寝れるわけないだろうが。
まあ本当は普通に見張りのために起きてるんだけどな。せめてもの罪滅ぼしに今日くらいは俺が徹夜して見守ることにした。とはいえ、俺に戦闘力は無いからモンスターが現れたとしたら2人に起きてもらわないといけないんだけどな。
その後、3時間ほど2人を眺めながら待っていたが、モンスターは一切来なかった。2人を眺めていたら永遠に時間を潰せるだろうと考えていたが、さすがに厳しいものだ。もちろん2人ともとても可愛くて、寝ている時には普段見れないような表情も見せてくれることがある。見ていて凄く楽しい。それでも、人間には飽きというものがある。
とにかく、飽きたから何かやってみようか。その何かというのはもう決めてある。蚊だ。モンスター召喚というものをしてみようと思う。蚊だって何かに使えるかもしれないし、他の動物や虫を倒してモンスター召喚出来るようになった時に役立つ情報が手に入るかもしれない。
俺はマッドレイブを起動し、モンスター召喚の欄をタップする。そして、???と書いてある画面を下のほうにスクロールすると、モンスター召喚の方法というページがあった。ちなみに???とは、モンスターの名前が入ると考えられる。その1番上に蚊と書いてあったからな。間違いないだろう。
モンスター召喚の方法というページをタップする。すると、ただ一文、《いでよ○○! と叫ぶ》と書いてあった。仕方ない、2人が起きないように少し離れて叫ぶか。
「いでよ蚊!」
2人共寝ててよかった……蚊召喚するのにこんだけ声張り上げるの嫌なんだけど……。
だが、ちゃんと蚊が出てきてくれた。俺の目の前でこちらを向いて微動だにしていない。まるでひれ伏しているかのように地面についていた。俺は飛べと念じた。すると、蚊は飛び出した。そして、俺の思い通りに目の高さほどまで飛び、地面に着地した。
この蚊は俺の心が思った通りに動くみたいだ。なかなかに楽しいな。ラジコンみたいだ。めちゃくちゃちっちゃしお世辞にもカッコイイとは言えないけど。
俺は、もうひとつ試したいことがあった。心の中で、飛ぶなと念じながら言った。
「飛べ」
蚊は飛ばなかった。つまり、モンスター、少なくともこの蚊は、俺の意思によってのみ操ることが出来るのだろう。だが、その後この蚊を使って何かをしようとしてもことごとく失敗していた。
例えば、偵察くらいは出来るんじゃないかと思ったが、それも出来なかった。鳴き声を出せる動物とかなら出来そうだとは思うが、敵を見たら鳴けなどという複雑な命令が通るかはわからない。しかも、体力が減ってきた気がする。
このまま召喚し続けてもしんどいだけだし、最後の実験を行うか。俺は蚊に狙いを定めた。
パチンッ
蚊は俺の手の中で粉々になった。
「いでよ、蚊!」
蚊はもう一度出てきてはくれなかった。つまり、モンスター召喚は使い切りということだな。そして、殺してしまった後に、普通に手元に戻せるかどうかをやるのを忘れていたことに気が付いた。
ということで虫を探していると、わりとうじゃうじゃいた。山の中だからだろうな。夢中になって虫を殺していると、モンスター召喚の欄に大量の虫名が記録されていた。まあ、マッドレイブから聞こえてくる音声でわかってはいたが。
どうやら俺はダンゴムシ8匹と、蚊3匹、バッタ2匹を倒していたようだ。結構倒していた気がしていたが、意外と少なかったな。バッタに関しては、確実に種類が違うだろうやつを倒したのだが、記録上ではバッタ2匹としてしか書いていなかった。それにしても、何匹かまで数えてくれるなんて魔王様意外と親切だな。
俺はバッタの種類が違う状態で出てくるのかを確かめるために、まず1回バッタを呼び出してみた。こちらはなんなく呼び出すことが出来た。まあ当たり前だが。そして、肝心の2回目だ。そもそも2体同時に召喚出来るのかどうかが問題だしな。
「いでよ、バッタ!」
先程召喚したバッタと種類の同じバッタが現れた。つまり、2体同時召喚は可能だが、種類までは反映されないと。そんなことを少し考えるだけで息が切れてしまっていた。俺は、心の中でバッタよ戻れと言った。すると、バッタはいなくなっていた。モンスター召喚の欄を見てみると、蚊の時と違ってちゃんとバッタ2匹と書いてある。よかったよかった、これなら何か強いやつを手に入れたらずっと戦えそうだな。
本日のあるある
小説を書くペースがだんだんと落ちがち