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第六話 コンビニから追い出されました

 虎のようなモンスターは、俺達を発見して、こちらに突撃してきた。


「やっべ!?」


 俺は避けようとして後ろに転んでしまった。その隙を見逃さなかった虎がこちらに向かってくる。俺は為す術もなく目を閉じた。ああ、もうちょっとくらい生きたかったな……。

 だが、いつまで経っても痛みはやってこなかった。恐る恐る目を開けると、大きな牙のある虎の口に剣を食い込ませているカスミの姿が見えた。だが、持ち堪えているだけで相手にダメージを与えれているとは思えなかった。


「大丈夫ッスか……センパイ……!」


 よく見ると、カスミの腕から血が出ていた。おそらく虎の攻撃を受け止めた時に負った傷だろう。つまり、俺がその傷をつけたと言っても過言ではないのだ。


「新庄君に近付かないで!」


 凛は虎に向けて魔法を連発する。だが、効いているようには見えなかった。勝ち目があるようには見えなかった。


「凛、カスミ、逃げろ!」


 俺はカスミを出口の方へ引っ張り、虎の前に躍り出た。


「俺が囮になる、今のうちに早く!」

「バカ言ってんじゃないわよ!」

「そうッスよセンパイ! みんなで逃げるっス!」


 俺は2人に引っ張られた。全員で逃げたら全員死ぬ可能性が増える。それでも、2人は俺を助ける道を選んでくれた。リスクが高くても。


「わかった、逃げるぞ2人とも!」


 俺達は走った。俺の作戦で、魔法を建物に使ってこっちに来るのを遅らせたり、剣を刺して置いておき、虎の体にぶつけて遅らせたりして、なんとか撒くことが出来た。疲れた……。

 俺達はその場にドサッと倒れ込んだ。気が付けば山の中に来ていた。木がいい障害物になってくれたから逃げ切れたのかもな。


「ようやく逃げ切れたわね……」

「そうだな……」

「お腹空いたッス……」


 ここには食べ物なんて無かった。街中がどれほどいい環境だったのかがよくわかる。食料を得るには山を降りるしか方法は無いだろう。こんなことなら食料だけ詰めたカバンとか作っとけばよかったかな……まあそんなもの作ってても途中で重くなって捨ててる気がするけどさ……。


「暗くなってきたわね」

「ああ、今日はここで野宿するしかなさそうだな。もしくは暗い中でも山を降りるか」

「野宿のほうがまだマシッスかね……」


 俺達は野宿の準備を始めた。とは言っても別に何か特別なことをしたわけではなく、近くの木が少ない場所に移っただけだが。

 それにしても出来ることが何もない。テントなんてあるわけないし、山小屋とかがあるわけでもなかった。詰んでるじゃんこれ。


「あ、あの……」

「ん? なんだ凛」

「トイレ行きたい……」


 あっ、そうか。トイレなんてあるわけないもんな。


「そこら辺でしてくるしかないかな。大丈夫だ、そっちは絶対見ないようにするし」

「うそ!? そんな……わかった……」


 凛のそれの音がチョロチョロと聞こえてきた。まてまて、なんで興奮してんだ俺は。精神統一だぞ俺。


「あっ、ただいま……」


 なにその言い方可愛すぎかよ。てかよく見ると木の枝に擦れまくって服がちょっとはだけてるのも可愛い。何が言いたいのかというと可愛い。


 そんなことを考えていたら、蚊に刺されまくっていた。痒いんだよクソっ!

 丁度いいところに来たなこの蚊め、成敗してくれるわ!

 俺は蚊を叩き潰した。血がめっちゃ出てきたから、だいぶ吸われてたんだろう。嫌だなあ。


 《モンスター撃破を感知、個体を調査します》


 えっ、なんだ? モンスター撃破? まさかカスミが!?

 俺はカスミのほうに振り向くが、カスミは普通に自分が寝ようとしているところを整地していただけなようだ。ならいったい今のは?


 《モンスターの解析が完了しました。召喚可能モンスターが増えました》


 は? 召喚可能モンスター?

 オレはマッドレイブを開いた。すると、召喚可能モンスターという欄が増えていて、そこをタップすると、「蚊」と書いてあった。

 俺は蚊を召喚できるようになったよ! やったね!

 絶対使えないだろバカか。ていうか蚊はモンスター扱いなんだな。ということはもしかして動物を殺せばそれを召喚出来るのか!? どっかに動物園ねーかな?

 俺が顔を上げると、カスミと凛が大爆笑していた。いや、たしかに蚊はいらないけどね? 発見だよ? 世紀の大発見になるかもしれない。まあたしかに? 俺が殺せてそんなに強いやつなんて動物園の檻に入れられているような動物くらいしか思いつかないけどさ?


「も、もう寝るぞお前ら!」


 腹を抱えて笑いながら、凛とカスミは首を縦に振った。

今日のあるある

人の幸福を見てるとイライラする

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