第四話 拠点作り
更新遅れて申し訳ないです。もう少しくらいは投稿ペース早く出来るように頑張ります。
「お腹すいたな。家にある材料でなんか作ってくれよ」
「私が作るね!」
「私が作るッス!」
「私の料理のほうが絶対美味しいよ」
「そんなことないッス、私の料理のほうが美味しいッス」
「どっちにするの新庄君!」
「決めてくださいッス!」
「じゃ、じゃあ2人とも作ってみてよ。それで料理当番を決めるって感じで」
「わかったわ」
「負けないッス」
凛とカスミは家の冷蔵庫を確認していた。俺も何があるのか覚えてなかったからチラッと冷蔵庫の中を見た。すると、そこにはほとんど何も入っていなかった。外に出るのは危険かもしれないけど、食料がないのなら仕方ないので、コンビニに行くことにした。
ここからコンビニまではほんの200メートルだ。ちょっと歩けば着く。そう、油断してしまっていた。
「ヒヒーン」
馬の鳴き声がした。もし俺達が田舎に住んでいて馬を飼っている家が近くにあったなら、いつも通りのことだと流してしまっていたのだろう。だが、俺の家は生憎大阪にある。それも、結構な都市部の。つまり、普通ならばこんな鳴き声は聞こえてくるはずがない。俺達は自然に身構えていた。
「モンスターね」
「今度は私に任せるッス!」
「いや、どんなことが起こるかわからない。念のため力を合わせて2人で戦ってくれ」
「嫌ッス!」
「私も絶対に嫌よ!」
そんなことを話しながらも、気を抜かずゆっくり鳴き声のするほうに振り向いた。下半身の見た目はそのままの馬だったが、光り輝く翼が生えていた。ペガサスってやつか……実際見てみると案外気持ち悪いな。
カスミが手に持っていた木を剣に変え、ペガサス目指して走り出す。ペガサスは、待ってましたとばかりにカスミのほうに向かって突進をした。カスミはその突進を華麗なサイドステップで躱し、横腹に剣を叩きつけた。そして、ペガサスは血を流して倒れた。
「へっへーん。どうッスかセンパイ?」
「よくやった。ありがとうカスミ」
凛がすごく不満そうにしていたが、見なかったことにしておこう。
ペガサスを食べたいとは思わないが、一応馬みたいなもんだし、食べれないこともないだろう。そう思ってペガサスの死体を調べてみたが、俺には持ち上げることすら出来なく、そのまま道に放っておいた。
その後はさすがにモンスターに出会うことなくコンビニまで着いた。コンビニに入ってから、モンスター対策にその辺にあった棚とかを動かして入口にバリケードを作り、安全を確保した。まあこれを突破出来ないようなモンスターは凛かカスミが何とかしてくれるだろうしあんまり意味ないかもしれないが、心の休息のためには重要だろう。
「本当に店員も1人もいないな」
「商品を盗むってことでいいのよね?」
「ああ、今は緊急事態だし、問題ないだろう。俺達を裁ける人間もいないんだし」
「そうね。生きるために必要よね」
「出来るだけ生ものから消費していくか。意味があるのかはわかんないけど。持って帰るの大変そうだな」
「それじゃあここで作ったらいいんじゃないッスか?」
そう言ってカスミは店の奥に連れていってくれた。そこには、調理室があった。最近のコンビニには調理室なんてあるのか。
「ここでバイトしてた時によく使わせてもらったッス」
「他のコンビニにも調理室なんてあるのか?」
「わかんないッスけど、私が行ったことがあるところではここくらいじゃないッスかね?」
なるほど、たまたまいいコンビニが近くにあってよかったな。それにしてもここは食料も多くあるし、シャッターを閉めたら出入口も制限出来る。もしかしてここを拠点にしたほうがいいんじゃないか? 俺の家なんかよりよっぽど便利だろ。
凛とカスミにそのことを話すと、すぐにOKしてもらえた。凛とカスミが料理対決をしている間に、俺はもう少し拠点として使えるように準備をしておこう。
「ふう、大体こんな感じかな?」
シャッターを閉め、出入口を1つに絞った。その出入口は、少し複雑にバリケードを張ることで、俺達は考えて普通に通れるが、知能が低いと思われるモンスターなら通れない、もしくは時間がかかるような構造にしてある。まあ俺が即興で考えたやつだから、信頼度は低いけどな。
そうこうしているうちに、調理室のほうから美味しそうな匂いがしてきていた。凛は手料理を作ってくれたことがあって、とても美味しかった覚えがあるが、まだカスミの手料理を食べたことはない。楽しみだな。
「新庄君、ご飯出来たわよ」
「センパイ、どっちが美味しいか評価してくださいッス!」
俺はわくわくしながら店の奥へと向かった。