第十三話 死の恐怖
お久しぶりです。嵐を巻き起こす男と申します。1ヶ月ほど前に「夜風リンドウ」様から挿絵をもらったのに書く気力が無くて発表することが出来ていませんでした。申し訳ございませんでした。これからしっかりと書いていくので、挿絵と一緒に小説の応援もよろしくお願いします。
「ご飯も食べて休憩も出来たし、もうそろそろ帰る?」
「自転車はゲットしたけど、帰るのも結構時間かかりそうなんだよな……」
「たしかにあの道を引き返すのは嫌よね……」
俺と凛がどうするか悩んでいると、お気楽な声でカスミが言った。
「じゃあここから動物園行けばいいと思うッス」
「こっち側に動物園なんてあるのか?」
「どこにあるとしても、どうせ行くなら戻ったところで変わらないッスよね?」
「たしかに動物園もこっちの方向にあるわね」
「じゃあ決まりッスね」
ということで、動物園に行くことになった。幸い食料も残っているし、なんとかなりそうだ。
何時間自転車を漕いだのだろうか、足はもう石のようになってしまった。それでも、俺達は漕ぎ続けた。みんなは何故そんなに漕ぎ続けているんだ、休憩すればいいだろ? と思うかもしれない。だが、そういうわけにもいかない事情があった。
「グォォォォォォオ」
絶賛追いかけっこ中です。捕まったら死ぬという特典付きの。
「もう……無理……」
「私はまだまだ平気ッスけど、そうも言ってられないッスね。撃退するしかなさそうッス」
「出来るのか……? あんなに大きな怪物を……」
その怪物は、魔王には及ばないものの図体だけなら最強クラスに見えた。すぐそこには交差点が迫っていた。これは都合がいい。
「カスミ、凛を担いで逃げてくれ」
「先輩はどうするッスか!」
「最後くらいカッコつけさせてくれよ」
俺は自転車を捨て、怪物に向かって石を投げつけた。そして、カスミが逃げるであろう方向とは逆の方向に走って逃げ出した。自転車を降りたのは自分の能力を使うためだった。二人との約束は破ってしまうけど、許してくれよ?
「いでよ、ゾンビ!」
ゾンビを盾にしてそのまま逃げて、逃げて。意外とゾンビが役に立ってくれたのか、少しだけ怪物との距離が出来た。これだけこちらにおびき寄せたら、二人も逃げ切れるだろう。
そう思っていたら、道の先に二人がいた。
「なんで……」
「先輩をおいていったら私達も死ぬッス! 先輩はバカッス! もちろん、そんな制約が無くても私達は絶対に先輩を見捨てたりなんてしないッスけど」
「そうよ、この女の言う通りだわ新庄君、あなたが死んだら承知しないんだから!」
「ははは……そうだな。二人共、逃げるぞ!」
俺達は必死で走った。しかし、怪物は体力切れというものがないのか、なおも俺達を追い続けていた。このままでは捕まってしまうのは時間の問題だった。そこに、ひとすじの可能性が現れた。
「動物園ッス!」
「とにかく入るぞ!」
俺達はゲートを飛び越え動物園に入った。スカンクなどの動物を召喚出来たとしたら、もしかしたら撃退することも出来るかもしれない。
だが、現実は無常だ。怪物はもうすぐそこまで追ってきていて、スカンクのいそうなコーナーまで逃げ切ることは確実に不可能だった。
「くそっ、とりあえず中に入るぞ!」
俺達は目に付いた建物に飛び込んだ。その直後、建物の一部が潰れる音がした。