友人のリレー小説 もしも自転車が最強だったら(本編とは関係がないので読みたい人だけどうぞ)
今回の話は、友人Aの沖那紗加さんと、友人Bさんとのリレー小説となっていて、本文とはあまり関係がないです。心機一転して楽しんでくれたら幸いです。
うーん、自転車を回収出来たのはいいんだけど……さてどうするか……。
あ、そうだ。異世界行こう。
チャリンチャリン。
よし着いたぜ。というか、異世界に行く時に受けた衝撃で俺の自転車が壊れてしまったよ。
「俺の自転車がー!」
そう叫びながら俺はバタッと倒れて膝をついた。
「この自転車がないなら、俺は生きていく意味が無い……」
そう言い残して、俺は自害したのだった。
と、そこに僧侶らしからぬ姿をした僧侶がやってきた。
「あらあら、ゴミが落ちてるじゃない。焼却所に連れていきましょうね」と、
そのように言った僧侶は俺の大切なチャリに蘇生魔法をかけ始めた。なんだよこいつ意味ねーからって思っていると。
チャリは元のマイハニーへと成り代わった。
「嘘だろマイハーニー!」
あれ? 自害したはずなのになんでだ? 復活した?
ま、まさか……自転車のお陰か……?
「じ、自転車様ー!」
俺は拝めるように自転車の前で土下座をした。
これが、後世に伝わる自転車教の始まりだったと言われているが、この時の主人公は知る由もない。
「きもっ、((ボソッ……」
僧侶はそう言い残して自転車のベルだけもぎ取って行った。
「ちょ、ちょっと待てよ!?」
「なんですか気持ち悪い」
「マイハニーを奪うな!」
「は?」
僧侶は本気で引いている。だが、マイハニーを奪われる訳にはいかない。俺は今迄にないぐらいの速さで僧侶に近づき、すごい力で奪い取る。主人公は気づいていないが、その力は魔王すらも上回っていた。
「きゃ!」
俺がベルを奪い取った瞬間、僧侶は悲鳴をあげながらすごい速さでどこかへと飛んでいった。その数秒後、後ろから衝撃が走った。
「うおっ!?」
なんとか踏みとどまった俺は後ろを振り向くと、なんと飛んでいったはずの僧侶がいたのだった。
「何故ここにいるんだ!!」
「すみません言い忘れていましたね。
第十六神官、僧侶担当。ベル渡りのカナエです。以後お見知り置きを。しかし、あなたの背中には今現在ベルのネジを埋め込みましたゆえ、あなたの背中はもげ曲がることでしょう」
「くっ、何とかならないのか」
そう言って俺は僧侶を睨みつける。俺の言葉を聞いた僧侶は何を言っているのだ? とでも言いたそうな顔をしながら、話し始めた。
「体に自転車の一部が埋まったのですよ? これは光栄な事なのです。何とかするなんて考え捨ててください。そして、喜んでください」
は? 背中がもげ曲がるのに喜べだと? 何を言っているんだ?俺が僧侶の異常さに困惑していると、更に僧侶は続けるように話し始めた。
「自転車はこの世界の救いです。神をも超える存在なのです。あぁ、自転車よ、なんて神々しいんですの!」
僧侶は狂った様に叫び始めた。なんなんだこの異常な僧侶は! こいつはやばいと俺の心が訴えかけてきている。急いで逃げなければ!
俺は、そう思い至ってすぐに行動を始めようとしたが、逃げることは叶わなかった。
「自転車様を否定するものはすべて死ぬがいい。死こそが自転車様の救いだ! 生きとし生きるものに救いあれ!」
俺は仕方なくベルの破壊を試みた。というのも彼女がネジを背中に埋め込む時彼女はベルを三度鳴らした。それが何かのサインとなっていると考えた俺は、彼女のベルの破壊はネジの破壊ということになると思ったのだ。
「あ、空飛ぶ自転車」
俺は三時の方向指さしてそう言った。
「自転車様が!! なんとそれは光栄故素晴らしいのでしょう。どこです? どこなんです! その素晴らしい光景は」
俺はその方向を見た隙に、僧侶が持っているベルへと自転車のサドルをフルスイングした。
バキッ
魔王越えの力で投げられたサドルは、僧侶のベルを破壊し、そのまま僧侶の体も破壊し、グチャ、という音を発しながら血飛沫をあげた。
「あ、あぁ……」
俺は人を殺してしまったことに絶望を感じ、頭を抑えながら呻いた。だが、数秒後、どこからか声が聞こえてきた。
「頭を抑えてどうしたのですか? 死にたいのですか? 殺しましょうか?」
それは、聞こえるはずのない僧侶の声だった。幻聴か? と、顔をゆっくりと上げるとそこには血塗れの僧侶がいた。
「なんで、生きてるんだ……?」
「自転車様を愛している私が死ぬとでも? 私が自転車のベルを愛し続けて八十八年。そんな私は自転車のためだけにこの世界で生きてきた。あなたが愛している自転車はこの一台のみ。それに比べて私の愛しているチャリはこの世界、いえ宇宙のチャリすべて、それなのにあなたは私へと歯向かっている。さぁあなたにせんたくをさせてあげましょう。ここで体を粉砕されもげこの世から消え失せるか、私にその可愛いベルを渡してこの場をその本体のみと去るか。貴方には後者をお勧めしますけどねぇ」
「選択肢は一つしかないな、このベルも渡さねぇし、俺は死なねぇ」
そう言って、俺は僧侶のいる方向とは逆方向へと走り出す。すると、後ろの僧侶から何が聞こえてきた。
「それなら、しかたありませんね……」
僧侶はそこで言葉を一度切って、大きく息を吸いこんだ。
「そこの貴方に絶望を与えましょう!」
そう叫んだ瞬間、僧侶の体から腕が何本も出てきた。
「な、なんだ……!?」
「貴方が……ベルヲワタサナイカラデスヨ?」
徐々に僧侶の言葉が聞こえにくくなってくる。
「俺にはこのチャリがある負けるわけねぇ」
そう叫んだ瞬間、チャリが俺を包みこんだ。
「なんだこの光は」
「まさか、いえ何で!! その技は魔王様の能力、なぜあなたがその能力を使えるの? まさかその自転車ほ魔王様の物!?」
俺は魔王様の自転車をパクっていたようだ。
俺は魔王様の力だからと、自転車を過信しすぎていた。なので俺は僧侶へとなんの考えもなく突っ込んでしまった。
「うおら!」
僧侶へ殴りかかった途端、お腹のあたりから痛みを感じた。まさかと思い下を見てみると、僧侶の腹パンが決まっていた。
「何故だあぁぁぁ」
俺は空を飛んでいた。風のせいで目が開けず目を閉じていると、いきなりどこかへぶつかった。
「なんだ?」
俺はゆっくりと目を開けると、目の前に魔王がいた。
「ま、魔王?」
俺は、ゆさゆさと魔王を揺らす。だが反応がない。というか、魔王がいるということは、ここは地球か。てか、富士山じゃねぇか!
「お前、俺を超えたのか」
魔王が小さく呟いた。あ、生きてたのか、と思い思い切り魔王の顔を殴る。すると、顔が潰れて魔王が消滅した。こうして地球に平和が戻ったのだった。
FIN