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第一話 異世界転生に取り残された俺達

心機一転して新しい作品を書かせていただきます。自分を知っている方も、初めて見た方も、どうぞよろしくお願いします!

「ねぇ、私のこと、好き?」

「ああ、もちろんだよ凛」

「嬉しい!」


 俺は彼女とイチャイチャしながらとても焦っていた。なんとかしてこの場をやり過ごさないと、俺は両方を失ってしまう。それは何があっても回避しなければならない。かといって片方を選ぶことも出来なかった。

 俺が焦っている理由はただひとつ、浮気相手のカスミに家を突き止められたからだ。カスミから『もうすぐでセンパイの家に着くッス』と連絡があった。カスミには何かと理由をつけて家の場所を教えてなかったんだが、遂に突き止められたらしい。困った。本当に困った。


「どうしたの? なにかあった?」

「い、いや、別に何も無いよ!?」

「怪しいなぁー、なにか企んでるんでしょ?」

「ちょっ、ちょっとトイレ行ってくるわ!」

「えっ、うんわかった」


 とりあえずトイレに退避するが、状況は何も変わっていない。むしろ彼女は俺が何かしていると疑っている。そこはまあサプライズだよとか言ってプレゼントでも渡しておけばなんとかなるだろうけど……。俺はどうすればいいんだ。どうすれば最悪を回避できる? とりあえず凛に帰ってもらうか? だが、俺の家から女が出てきたら不自然でしかない。スマホには「センパイの家が見えてきたッス」とメールが来ていた。もう時間はない。終わりだ。そう思った時、幸か不幸か地球に異変が起きた。


「ねぇ新庄君ちょっと来て!」

「ん? なんだ?」


 俺は平静を装いつつ部屋に入った。何故か妙に静かだった。


「テレビの人が急にいなくなったの!」

「どういうことだ?」

「ほら、これ見て!」


 俺はテレビをのぞき込む。右上には生放送の文字があり、肝心の出演者は一人も映っていなかった。テレビの音が無かったから静かだったのか。


「ドッキリかなにかじゃないのか?」

「そんな番組じゃないし、普通に喋っている時にいきなり消えたんだよ!?」

「うーん、他の番組は?」


 俺は適当に色々な番組をつけた。すると、ドラマなど普通の番組はそのまま放送されていたが、生放送の番組だけはどのチャンネルでも出演者の姿はなかった。


「おかしいな、なんで生放送の番組だけ出演者がいないんだ?」

「怪奇現象とか……」

「大丈夫だって、そんなことあるわけないだろ?」

「でも怖いよぉ!」


 そう言って凛は俺に抱きついてくる。ちょっと凛さん? 胸当たってるんですけど? ああ、生きてて良かった。

 だが、そんな幸せは長くは続けなかった。インターホンの音がなった。そのインターホンの音はカスミが家に来たことを表していた。なんで今来るんだよクソッ。


「ちょっと出てくるな」

「う、うん。早く帰ってきてね?」

「わかってるって」


 俺の心臓はバクバクと音を立てていた。俺は外に出て、カスミを出迎えた。すると、カスミは俺に抱きついてきた。お前も胸当たってるんだよ! 興奮しちゃうだろ!


「センパイ! 今すごい怖かったッス〜!」

「どうしたんだよカスミ」

「私の目の前に歩いていた人が急に消えたッス〜!」


 え? どういうことだ、テレビの出演者が消えたのと同じ状況じゃないか。一体何が起こっているんだ?


「ちょ、ちょっと待っててくれカスミ」

「わかったッス」


 俺は手当たり次第に電話をかける。だが、誰1人として電話に出た人はいなかった。おかしい、どう考えてもおかしい。警察やテレビ局、知っている限りの番号に電話をかけたが、出たのは時報くらいだった。


「何が起こっているんだ!?」

「私の友達にも電話かけてみたけど誰も出なかったッス」

「マジかよ……クソッ警察すらも繋がらねぇ!」

「お困りのようだな人間」


低い声が上空から聞こえた。飛行機か? それともヘリコプターとか? いやっ、そんな遠くまで声が聞こえるとは思えない。しかもそいつは人間と言ってきていた。普通歩いている人を「人間」なんて言葉で呼ぶか?


「誰だ!」

「おっと、すまんすまん、自己紹介がまだだったな。我は魔王だ。おめでとう新庄燈(しんじょうあかり)君、貴様は俺のおもちゃに選ばれた!」

「は?」

「貴様に最も関わりが深い2人と、貴様以外の人類全員を我がもといた世界、つまり異世界へと転生させた」


 俺の前に身長10メートルくらいあるんじゃないかという怪物が現れた。上空から飛んできたらしい。しかも、手が8本生えてた。気持ち悪い。すると、騒ぎを聞き付けて凛がやって来た。


「なっ、誰よその女!」

「そっちこそ誰ッスか! なんでセンパイの家から!?」

「私は新庄君の彼女よ!」

「なっ、私がセンパイの彼女ッス!」

「どういうこと新庄君、説明してくれるんだよね?」

「そうっスよセンパイ! 最も関わりが深い2人にこの女も選ばれたってことっスよね?」

「貴様ら、我を恐れないのか?」

「五月蝿い黙ってろ!」

「今度邪魔したら殺すッスよ?」

「えっ、我こんな扱いなの?」


 えっ? いや、なんでお前ら魔王とか言ってる化け物にそんな扱いできるの!? お前ら命知らずにも程があるだろ!?

 やばいやばいやばい、なんでこうなった、問題が2つも同時に来るなんて、しかも片方は命が危ないしもう片方は俺の人生に関わってくるし……。俺はどこで間違えたんだ、どうすればいい、どうすれば……。


「ねぇ、もうこの女殺していいよね?」

「は? お前が殺される側ッスよ?」

「ちょっと待ってくれ、お前ら、俺の話を聞いてくれ!」

「なんですか? ちゃんとした理由なんでしょうね?」

「言い訳したらどうなるかわかってるッスよね?」

「とりあえずこの怪物の言うことを聞いてからにしないか? じゃないと俺達全員殺されるかもしれないんだぞ?」

「は? 今それどころじゃないんだけど?」

「センパイがそう言うなら私はいいッスよ、そこの女と違って私はセンパイの言うことをちゃんと聞くッス。だってセンパイの彼女ッスから」

「なっ、私も新庄君の言うことは聞くわよ! 早く話しなさいよこの化け物!」

「あー、先に言っておくぞ、貴様ら今からひとりでも死んだら同時に全員死ぬ、だからひとりも死なないようにせいぜい頑張るんだな! はっはっは!」

「私がこいつを殺すわけにはいかないと。そういうことを言ってるの?」

「いや違う、貴様らが殺し合うとか予想外だ」

「だったらどういう事よ? 死ぬなんてそうそう有り得ないでしょ?」

「普通だったらな。だが、今この地球には人類の代わりに大量のモンスターが召喚されている。しかも貴様ら以外には人間は1人もいない、これがどういう意味かわかるな?」

「へぇ、私達がモンスターを倒せばいいの?」

「しかもサバイバルもしないといけないと、そういうことか」

「ああ、そういうことだ。貴様らには特別にこれをやる、これがあれば大体のことはわかるだろう。じゃあな貴様ら、また会おう」


 そう言って怪物は消えていった。スマホのような物を3つ地面に残して……。

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