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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第7節 対神編―龍神
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後処理

 ああなんということじゃろうか。対象が思わぬ存在によって潰されてしもうた。


 よくよく考えてみればあのルルイエを始めとした【魔族】はそこの創造主と密接な繋がりがあったというしルルイエに至ってはほぼほぼその性能と能力はジュノー程ではないが【守護者】と同列であろう。むしろ彼らだけで処理してしまうとは思わなかったというのが本音じゃが……


「……にしてもまさかこれが引っかかるとはのう……」


……しかしそれでもこの世界と毒と魔物は無駄にはならなかったのだ。目の前には崩れはててわずかに残骸を残して白い砂溶かした次の目標であった破壊の使者の死骸、いや抜け殻が見渡す限り広がっていた。


 なぜこんなことになったかと言われればそれとなく見当はつく。明らかにほかの三世界よりもはるかに生命体の数が多くなっていたのだ。確かに魔物のいた二世界ですでに個体数が他の種より勝っていたのだから高々万に届くか届かないかの魔界など差を覆すには満たないのである。


 しかし疑問がここで浮かぶ、もしもそれに従うとしてもそれをさせない役目を負うものが相手方には本来いるのはずなのじゃ。要するにそれが無視されたか居なかった可能性があるのだが居ないなど到底考えにくいとなる……何か例外でも働いているのじゃろうか?


「まぁひとまず直近の脅威を消しされたのじゃからまずは戦後処理、じゃな」


 今アウラの目の前の悩みの種は侵略者どものことではない。それに対応するために使い果たした魔物をどうやって用意するかである。同じ物を用意するだけなら容易い、一つ創って複製するだけだが個々の記憶、種としての創造後に身につけていった習性などはそれぞれ個体ごとに対応せねばならない、そんなことを始めるのは目が眩むような作業だ、神様言えど同じ作業を重ねるのは憂鬱に変わりない。


「個体を創る……のう、こっちにはそんな便利な奴は……」


 アウラの世界ではとうとう面倒事は全て【守護者】に投げられるように権能を与えてしまった。それこそアウラはただ観察し気分で堪能しに行っても世界が運営出来るほどには能力を持っている。

今回も許されるなら直ぐにでもそのような役目の者を創って作業させるのだが如何せんここは当人の世界ではない。前回の件もあるので勝手に創造なぞすれば下手すれば無期限に人化まである。


 どうするかと煮詰まっている所に丁度ルルイエらが侵略者を倒したと聞いて向かっていた男が帰ってきた。


「神様、進捗はどうですか?」


 何もしていなかったので流石にまずいと思い砂だけでも消しておく。


「お、おう……見ての通りじゃが……」


「……まぁ後片付けぐらいしか進んでない、と」


 男は辺りを見回しため息混じりに一言そう呟いた。まぁ確かにまちがってはおらぬ。しかしこの男、明らかに私以上に本来ならこの事態に悩むべきはずじゃが全く憂いているようには見えん。作り直す考え直すと言っておったがこれでは住人の記憶とのすり合わせもあるじゃろうにどうするつもりなのか……


「と、ところでここの魔物はどうするんじゃ」


「……そうですねぇ、人間の感覚で言えば無理やりとはいえ世界の役に立ってもらいましたから彼らは彼らで一つこちらで考えています。それに魔物を創らせるのに丁度いい役目がいますから……ほらこの前いたじゃありませんか離反紛いの……」


 そう言われてピンときた。確かにそんな奴がおった。あやつは確かに全くもってピッタリな能力を持っておる。


「確かに適任じゃが……従うと思うか?」


「まぁ何かしら付ければ喜んでやってくれるでしょう……丁度それが出来なくて必死になって何とかしようとしてましたから」


 そう言って光球を出してみせる映像には確かにその例の【厄災】がなにやらあの魔族もどきと色々とやっているのが映っていた。


「……これならむしろ頼まなくても増やしてくれそうじゃの」


「でしょう?彼が生み出す分にはコピーではありませんから尚更都合がいい」


 恐らく魔物が全てこちらに移るようにしていたのを失くした途端に魔物は増えるだろう。種類によって偏りが出そうだがそれよりも全体数が増えることを優先すべきとして現状の課題にはしなかった。と、すると今度はこれまでの魔物をどうするかである。男は何か考えがあるらしいが……


「なるほどのぅ……で元いた魔物はどうするんじゃ、考えがあるのであろう?」


「えぇ、といっても身勝手なものですがね、そこはまぁ創造主の押し付けとでもしておきましょう」


 笑いながら答えているが男が身勝手というのは的を得ている。そもそも失われたものは幾ら作り直しても全く同じ別物に過ぎない。故に無くなってしまえば創造主側から見ればいくら何をしたところで何も起きる訳では無い、つまりそのまま放置したところで実際に彼らがどうかなるわけではない、強いて言えば弔った側の気持ちの問題である。


「まぁ……私らが押し付けるのはいつもの事じゃろ……で、何をするんじゃ?まさか花を手向けるみたいな事ではあるまい」


「折角ですから彼らに役目と祝福を、と思いましてね。これまで彼らの役目は住人の拡大予防でしたが恐らくそろそろ更新する頃合でしたから……」


 アウラは一瞬だけどこか冷えた目で地平を見つめているのを見た。稀にこの男は人らしからぬ目をする。


「祝福なんて聞こえはいいが……要は使い回しかの」


「悪く言えばそうですね、これには一応今後この様な手段で利用しないという意味は込めましたがね」


 そう言って手をかざし何かを【創造】し始める。


「……もう魔物である必要もあるまい、古くからの役目を終え新たに役目を与えよう」

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