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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第7節 対神編―龍神
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魔物メイキング

 暫く唸りながら考えていたのかグスタフが次第に笑いだしたのに気がつくまで暫くかかった。


「……何がおかしい」


「いやいや、これは失礼致した。いや何、どこぞには押してダメなら引いてみろという言葉がありましてな、まさにそれに合致しすぎてたが故……あぁ愉快愉快。お主、あまりにも強さばかり優先して魔力を込めただろう?……出ないのはそれが理由だ」


 片方の対の腕で頭をかきながらもう片対は腕組みしつつ答えていく。こうやって見てると四つ腕も便利そうで色々と不思議なものだ。


「じゃあどう引けってんだ」


「諦めて弱い奴を呼んで育てろって事だ……いいか、よく聞け。先程魔力を込めればそれに応じて呼ばれると言ったろう、これは多すぎても少なすぎても出てこない……あとはわかるだろう?」


 つまるところこの世界産の【魔族】はまだまだ弱い。強いのは諦めろという事だ。育てろと言われても甚だ面倒でしかない。また予想と願いは裏切られた訳だ。


「育てるなんて誰が面倒なことを……元々使える奴が戦場に投入されて勝手に育てば良いんだよ。それに、後でいくら強くなるったってその前に死んじまえば全く意味は無いからな」


「……作戦上は間違ってないが……ならばその育成を手早く済ませればいいだろう?どうせ今の様に常に戦線を開いてるわけでもあるまい」


 全く持ってその通り。嫌な所を突いてくるが何も間違っていない。確かにこの手空きに色々としている時間の育成だけで即戦力型のを抜けるのならプラスなのだ……ただ一つ己の時間を除いて。ただその時間に割く労力と天秤にかけただけに過ぎないのまでバレているようだ。


「けっ、その通りだよ……だからってこの時間を割くだけの価値があるかは別だがな……何ならお前の方の【魔族】呼ばせてくれよ」


 その瞬間首筋をグスタフの剣……ではなく木の枝が掠めた。皮膚が硬くなければもしかすれば頬ぐらい切れてたかもしれない。


「……今なんと言った」


「おっと、こりゃ失敬……今のはナシだ」


「そうか、なら私は何も聞かなかったな」


「あぁ、何もな」


 危ない危ない……流石に駄目だったか。

 

 しかし目の前のこいつぐらいまで強くなるなら単騎でも十二分なぐらいだ。戦術的に扱いやすくなくとも単騎ならそもそも隠密になるし一人で戦線を張れるほど強いのならそもそも連携も要らない。しかしリスクもある、主より強い従者なぞ何かの拍子に裏切られればすぐさま壊滅だ。主が強くなるにだってペースがある。その場で強くなるなど何かしらしなければ早々……


「……なぁグスタフ。お前達は瞬間強化というのはどれぐらいまで出来るんだ」


「……ん?……そうだな……これがいいか、よく見ろ、ここに木の葉がある。何の変哲もない柔らかい木の葉だ。これが……」


 付近の木の葉のうち比較的大きめのものを選んだ、それを丸めて何かをした後こちらに手渡す。


「……まぁ私が振るとどっちの力か分からんからな、お前が振れ」


「こんなの只の葉っぱ一枚どんな強化してもせいぜい岩が割るぐらい……ん?」


 轟音と共に視界遠くまでの木々が長さが半分になり下半分の密度が倍以上になった。葉っぱ一枚でこれである。


「……これが付与したから大体六割の効率だ」


「元々どれだけ弱くてもここまで強くなるってか……魔力を込めに込めてるんだな」


「……でこれを覚えさせて使わせたい、だろう?……ん?」


 そこらに投げ捨てた木の葉に何故か先程より木の葉が集まっている。


「……なぁ……グスタフ、どれだけ魔力を込めた?」


「……お前が呼び出そうとして使った量の半分もないぞ」


「……魔物も魔力の塊なのは説明しなくてもいい……よな」


 そんな話をしてるうちに木の葉一枚が形を現していく。木から離れ死んだ木の葉は死への恐怖を【厄災】の権能により攻撃本能へ置き換えられ、それを更に膨大なグスタフの魔力で塗りつぶし魔物……いやむしろ【魔族】として降り立った。


――たった一枚の木の葉の【魔族】、しかしそれは世界の住人の中で最も莫大な魔力の【魔族】の誕生だ。


 記憶であろうと理性であろうと全ては四素に基づく。その四素は魔力によって意図せずとも操られる、まさに偶然の産物であった。


 たまたまその木の葉に魔力的な適性があったのかもしれない、【厄災】が振るった時に何か流し込んだのかもしれない、グスタフの強化の加減に原因があったのかもしれない……何が大元かは分からないがそこに結果は存在している。少なくとも木の葉は【魔族】になった。


そんな新生した【魔族】を前に硬直する二人。彼らには新しく種を作り出したことによる今後の事態を憂いていた。しかも消そうにも下手に魔力を持っている、魔力を吸い上げようにもやり方がわからない。かと言って倒しても一度【魔族】として降り立てば魔力尽きぬ限り死ぬ事は無い。


「…………お主、これを従えればいいと思うぞ」


「……これをか?お前のところで面倒みろよ」


「姫様に何を言われるかわからん、断る……だが、お前の望んでいたものはすべて持っているだろう?」


 そう言って二人で出来上がった木の葉の精……らしきものを見つめていると。


「……魔力、頂戴?」

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