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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第7節 対神編―龍神
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龍神対元魔王

「……ここまでなのが残念であったが、真に満足した、本来ならばこのままとどめをさすところだが相手がいなくなるのはこまるのでな」


 命のやりとりの結果どちらかが死ぬまで続くこともあればどちらかの思惑によって命を奪うつもりで始めておきながら奪わずに終わるということもある、命を奪うより奪わないほうが利になる場合などがそうだろうか。しかしこの時【厄災】は忘れていた、相手がただの強者ではないということを。


 吹き飛ばされた直後だ、そのまま自身に魔法をかけ自ら地面に鎧を叩きつけ地面を擦りながら背後に魔法陣を展開する。そのまま背後の魔法陣から一気に出力すると吹き飛ばされた勢いを上へと向きを変えさせた。これは鎧によるものではない、彼自身の魔法だ。


 魔導装甲は【魔法使い】を超えるための装備だが【魔法使い】が使えない理屈はないのだ。そのまま脳天目がけ槍を向ける、至ってシンプルで高威力な攻撃が【厄災】へ降りかかる。【厄災】がこれに気がついたのは振り下ろす丁度その時であったが……


「城に傷を付けたのはお前か」


「んなっ?!」


 恐ろしい速度で【厄災】が何者かに吹き飛ばされ、英雄も軌道修正叶わずその何者かの位置に槍が落ちた。相当な威力なのを示すように地面が抉れるのが見える。


「……なんだ、恐ろしく弱いな」


 煙の中から何者かの声がしたと思えば、そのまま襲い掛かってきた何者かは槍を剣一本で受け止めそのまま吹き飛ばした、先ほど【厄災】が吹き飛ばしたのと威力も速度も段違いだ、そもそも見えたのは振り払い終わった腕だけだ。加えて何が恐ろしいといえば吹き飛ばされる時に鎧が砕け散った事だ。少なくとも俺がやった時はあんな簡単に砕けるような鎧ではなかった。


「……なんだ、多少骨があるかと思えば創造主のところでつくられた輩か」


 恐ろしく強い何者かはこちらに向き直ると何かに感づいたようで苦虫を噛み潰したような顔をしながら吐き捨てた。俺は明らかにその相手が【守護者】出ないことを悟った、全力で戦えと願いではなく使命がそう警鐘を鳴らしている。


「お前は何者だ、なぜそれを知っている!」


「……しかし【守護者】でないなら構わんか、攻撃するなら周りに気を付けることだな」


 一瞬だけ煙の向こうにいる影が見えた。4本の腕、頭からは角のようなものがかすかに見える。それが何かを考える余裕はなく、気が付いたときにはすでにその化け物が目の前で剣を振りかぶっている、やばい。先ほどの楽しさはなく、ただそこにあるのは死そのものであった。


「人前で使いたくなかったが……くそっ!」


 人化、まさかこれを回避に使う時がくるとは思わなかった。これで瞬間的にだが物理無効化と急所位置をずらすことができる……が本来人前で使うのは非常にはばかられる代物だ。煙からこちらへ瞬間的に斬りこんできたおかげでその姿が見える。竜人に近いが腕は4本、明らかに硬そうな皮膚、というより外殻がみえる。


「ほう……面白い、だがそれでは……避けきれんぞ」


 四本の腕から剣を内側に向け鍵爪、UFOキャッチャーのようにしてそのまま喰いつこうとする。ただ人の身となった【厄災】は先ほどより体が軽い分素早く動ける、被弾面の小ささと機動性を活かして必死にすり抜け距離を取った。


「……なんだってんだあの化け物……人類の敵か?」


「ふむ、私の敵は君一人だがな。私はグスタフ、魔将軍が一人、丁度こちらに来ているときに君が城に攻撃を加えたものでね、姫様の命の通り君を倒しに来た」


 一変して急に紳士的な態度で挨拶をしてくる。拍子抜けなのもあるが彼の言っている意味が分からん、一体どういうことだ。


「は?それはどういう……っ?!」


「なんだ、人型になると頭は悪くなるのか?違うだろう?」


 わかりやすい煽りであるがそれよりもその化け物が急に態度を変えてきたことを警戒した、人型になったとたん先ほどより会話するだけの余地があるからだ……もしかしたら人型の方が相手をしたくないのかもしれない。


 この時彼は一つ見誤っていた、そもそもグスタフがそのような得手不得手がないということよりも【厄災】である自分が世界の人間に圧倒的に弱いはずがないと信じ切っていた事だ。


「……だからと言って強くなるわけではないのか?器用になっただろう?剣ぐらい使ったらどうだ」


「ならお望み通りつかってやるよ!」


 懐からではない、どこからともなく剣を取り出した、このように人型で戦う時のために用意はしてあったのだ。グスタフの四本の剣よりも確実に長い剣、これならある程度は優位かもしれない……なんてことは一切なく、そのリーチ差を補うように体を華麗に懐へ踏み込ませそのまま吹き飛ばされるがなんとか魔法で背後に噴射し勢いを相殺した。


 空中に体が舞う、これではただの的だ。


――この間に近づかれてはならぬとありったけの魔法陣を展開しグスタフへ斉射し始める。が全くを以て意味がなかった。


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