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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第6節 対神編―Aura
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アイヴィスとは生命線である

「お、おい!一人で動けるから首はやめろおっ!」


「はいはいこっちやぇー」


「は、話をきいてくれぇ!」


 ズルズルとそのまま地上まで引きずられながら降りてきた。その後ろをアウラ、ジュノーと続いていく。


「あら、あねさん、見かけによらず力持ちなんやねぇ、浮かせればいいのに」


「ん?浮かせる……?」


「あんさんもしかして……魔法使えないんやぇ?」


「あ、あぁ……そう言えばここではそんなのがあるんだったね」


 ジュノーはすっかり忘れていたようで今の今まで何食わぬ顔で二十本程の剣をすべて抱えていた。そもそも彼女はこの世界については初心者も同然、魔法の使い方なぞ分かるはずもなかった。


「ジュノー、お主、魔法の使い方分からんじゃろ」


「……そうだね」


「あー……まぁ運べてるけぇそんなおちこまんでも……とりあえずあの子の所までいくけぇ」


 市街を抜けその船の元まで来てみれば人でごった返していた。


 さて剣を入れ替えに行くとして、いかにそれを遂行するか。単に世界に同化してその作った剣を混ぜればいいとは本来はいかないのだ、剣が特殊なのもあり同化しても剣はその場に残ってしまうからだ。要するに住人に見つからずに入れ替える必要がある。

しかしアウラには丁度策があった。


「ほれ、牛頭の。仕事じゃ、お主の担当の奴でここらを騒がせるんじゃ」


「わ、分かりましたが私にはミノスという名前が……」


「知るか、それよりほれ、仕事をしっかりこなしたら名前ぐらい覚えてやろうかの、お主の本分はこういうのじゃろ?本分見せてみよ」


 ここまでコケにされたことのある【守護者】はもはや彼ぐらいであろう。やっと名乗る余裕を与えられたとはいえ彼もやけくそであった。


「ち、畜生……おらっ騒げ騒げぇ!祭りじゃぁっ!」


……見てて面白い光景じゃな。あれも一応【守護者】の端くれだけなだけあってあれで人々が祭りの様な勢いと空気が流れ込んでいた。そういえば……さっき仕事をしたら名前ぐらいといったからの。さきに鑑定で見ておいてやるかのう……


「じゃあこの間に僕が行ってきます、見えますし、この手は慣れた仕事なので大丈夫。」


「お、じゃぁ頼むぞ」


 ジュノーが自分の瞳で位置が見えるからとさっさと船の中に消え、あっさりと運び込んでしまった。



 ジュノーを待つ間ふと疑問が浮かんだ。


「……そもそも……何故に災害の支援物資に剣なぞあるんじゃろうか……?」


 剣がなぜ常に積まれているのか、ということである。このような船である以上剣を使う状況と言えば乗り込まれた場合ぐらいで普段から使うものでは無い、さらに言えば数的にも異様なのだ。


「普通ならないと思うやぇ……でもあの子は、軍の子やからあるんよぉ」


「だからって毎回積む必要はないじゃろ?消費が激しくない限り……」


「……この子なぁ、そういう消費をしながらここまで来てるんよ?だから目をかけてるんやぇ」


 ふんわりとした応答の中に明らかな核を持った答え。今むしろもっと早く答えて欲しかったの。ふわふわとしているがやはりこやつは出来る方の【守護者】じゃったな……


 要するに彼女の返答をまとめると

この船は輸送途中に剣をとり変えざるを得ないほどのものに遭遇する上に一度や二度ではないという事じゃ。初見で色が似ていると思っておったがほぼこれに付きっ切りという事じゃろうか。


 どんな相手かは分からぬが少なくとも彼女の手が必要なほどというのは何となく察した。


「お主、これに細工もしたんかの?」


「あらぁ、アウラ様には隠せなかったやぇ……堪忍なぁ?手助けは不味い言うてたからできるだけ分からんようにしてたんやけど……残念やぇ」


 顔色一つ変えずに言っているがとんでもないことを言っている、我々創造主に隠れて何かしようなどと恐ろしい限りである。


 しかしまぁ隠す隠さないはともかく【守護者】の内にも彼女のように領分の範囲で対応できる輩もいるらしいのう。


「まぁ隠そうとしたのは対応に当たった、というので不問にしてやろうぞ……で相手はなんじゃ?」


「んーそれなんやけど……ほら、うちの世界の【魔族】みたいなんやけどねぇ、明らかに様子がへんなんなってんな?だからあの子にはちょっーとだけ速く硬くなってもらったんやぇ」


 様子が変、というのがここらで起きた種族間での嫌悪に繋がるものなのか、それとも仕様に介入を受けたからなのか気になるところであるのう。確かに【魔族】なら中には飛ぶ輩もおるし、そろそろ魔法を存分に放つ奴も生まれておるやもしれぬ。その対応であればあの備蓄は剣に限った話ではないとしても納得じゃの。


「……それにしても襲われるなら航路を変えるなどの策を取っていないのは何故じゃろうか?」


「んー……船についてはうちは何でもわかるやぇ、せやけど使い手の考えまではわからんけ……」


 これまで一切のほほんとしたままあらゆることを喋っていた彼女が何故か残念そうにした。まさにその通りでございますと言わんばかりに。


「ん?そ、そうか……まぁお主はこの牛頭のと違って常に使命を果たしておるようでな、今後とも気を抜かんでくれ」


「言われなくてもそのつもりやぇ、まだまだこの子には頑張ってもらわなくちゃならないけぇ、この程度で沈んでほしくはないんよ」


 そう言って娘を愛でるように目をうっすらと細めて船を眺めている。やはり少しばかり住人に手を助けすぎているのかもしれぬの。


「間に入ってあれですが……こうずっと自分のことを放置してて急に抉るのやめて頂けませんかね」


「なんだミノス、お主さっきまでずっと仕事して負ったから放置しておったんじゃよ?」


 まさか名前を言われるとは思っていなかった彼はそのまま硬直してしまった。


「おうおう、名前を言われた程度で固まる【守護者】なんてどこにおる、しゃきっとせい、お主はまだまだジュノーみたいになるまで働いてもらうから覚悟しておくんじゃよ?」


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