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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第1節 基礎創世編
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動き出した新世界、生命の息吹

 男は一つ心配していた。

 マキナは確かに管理を進んでやってくれるだろう、問題は性能である。

 男から作ったのだから知識が自分以上になる可能性は低い、思考方法も男とどうしても似通ってしまうだろう、その場合思考のドツボにはまってしまうとそれがどんなに簡単なことでも気づかないのだ。

 三人寄れば文殊の知恵とはとは言うがあれは3人が別々の思考方法を持っていたり知識的にたがいが持ってない部分を埋め合わせられるからできることである。

 同じ人間が3人でも文殊の知恵にはならないのだ。


「確認している限りは何も問題はないが……どうだろうか……」


「どうした?娘の働きぶりが心配かのう?」


「いや、そういうことではないのだが……同じ思考ではいつか穴が見つかるのでは……と」


「あぁなんだ、そういうことか、心配することではないのう」


 言うには確かに作った当初はほぼコピーみたいなものだが経験していくうちに独自の思考体系を作っていくとのことだった。

 すでに何体もつくっているアウラが言うのだから間違いではないのだろう。


「おとーさん、一つ聞いてもいい?」


 ふとマキナがこちらに顔を向けてきた。


「何かな?」


「マキナはおとーさんの目的を考えると元になる種族を先に配置した方がいいと思うの。配置してもいい

かな?」


 なるほどこういうことが起きていくわけか……確かに種族の基礎を置いてしまえばあとは指定した理に従って混種も進んでいくだろう、男としてはそれが進化の中で出来上がるのを願っていたので理由によっては認めようと思った。


「マキナ、私は自然にそれができると思っていたんだが何か問題があったのかな?」


「おとーさんのやり方は悪くないけどこれだとより優れた能力を持つ種族に統一されておとーさんの願っ

てるようにはならないよ」


 まだ手伝わせてから時間はたっていないんだが……先見性について恐るべきと言うべきか、自分のコピーのような少女の方が優れてるのではとまで思える。

 次に作る時は容姿だけ考えればいいのではなかろうか。


「マキナは私より出来ることが多いようだ、任せる。次からは聞かずにそのままやっていい。」


はーい、と答えながら世界をいじっていく、その様子を見たアウラは驚き混じりに


「生まれてすぐの存在に抜かれて言ったはずだがのう、よくそんな平常を保っておるな」


「なんというか上には上がいると思っていたのもありますが、孫に抜かれるなら悔しいとは思いませんでしたね。」


 そういうものか……とアウラはマキナを眺めていた。



「自分もマキナに倣ってこちらの世界にも元になる種族を作っていくべきか……ある程度の状態の種族を作って歴史は後付けにしてカモフラージュしよう」


「おお、遂にか、世界自体は動かしていたのだろう?一度見にいくのはどうかの?」


 見に行く……?観察するだけかと思ったが世界に立つことが出来るのか、思ってもない提案であった。


「なにか制約がありますか?無ければ願っても無かった提案なのですが……」


「制約はその世界に作った理の影響を受けるぐらいだの、別に創世は同じようにできるのう」


「なるほど……先ほどの話に戻りますが我々の場合はどの状態で作ったので?」


「そうだのう……有史部分は案外あれであってるかのう、火を使わせるのだけ入れ知恵ではあるが。」


 あながち人類の歴史は間違ってなかったらしい。

 意外な事実を知りつつアウラと共に先に動き始めた世界樹の世界を訪れることにした。


「……願えば何でもできるのも考え物ですね……なんというか創造しているとはいえ一瞬で壊れてしまいそうで。」


「願えば一瞬で壊せるがのう……行き方も帰り方も願うだけじゃ。先に行っておるでな、私の居場所でも願えば合流できるあろう。」


 そう言ってふと消える、言った通り移動したのだろう……世界のどこへだ?

 あの世界は確かに先に動かしていたが理由は世界樹を育てるためだ。

 まだ大地も大きくはない、大地でないところに向かったのならそれこそ仕様の外側でどうなっているかわからないのだ。

 不安を胸に男も世界へ向かうのであった。



 目を開けるとそこには大地が広がり、眼前には世界樹とそれに巨大な根っこが地面に刺さる様が見えてくる。

 木には葉が生い茂り、生命の躍動を感じる。

……のだが一つ気になることがあった。

 大地であるが予想以上に薄い。

 根から作られるようにしたため根の張られ方で地形が決まるようにしたまではよかった。

 おそらく根による網目が粗いのもおそらくあるだろう。

 早急な調整が必要ではなかろうかと考えていると……


「なかなかにいいセンスではないかのう、君の悩みもわからんでもないがその修正は時間を進めてからのはなしではないかの?」


「時間を進める、と言いますとそのまま早送りですか?」


「早送りというより、先に決定された状態にジャンプする。というのが良いかのう。君が良ければやって見せるがどうじゃ?」


 なにやるのは簡単だし安全にやってみせると神様は胸を張っていう。

 せっかくなので見せてもらうことにした。


「ちょっと地面の位置も変わりそうでな、驚くかもしれんがよく見ておくとよい!」


 いつぞやの白い光である。

 自分がこちらに来た時の白い光だ。

 あの時とは違い妙に心地の良い光が体を包んでいく。

 光に守られているかのようだ。


「ほれ、終わったぞ……さすがにこれは驚いたがの……」


 そういわれて目を開くと先ほどとはまったくと言っていいほど別の世界が広がっていた。

 先ほどまで木の付近でしか見えなかった根は先ほどよりも確実に太くなっており、地面からもちょくちょく顔を出している。

 見渡せば遠くの方には山……というより根が硬質化したものだろうか、岩肌までもが見られるようになっている。

 一体何年分進めたのだろうか……明らかに土質一つとっても別物といってもいい。


「ふぅ……うまくいったようだのう、軽く数万年単位でやってみたのだが問題無くて何よりよの。」


 今数万年って言いませんでしたかこの神様、そんなことしたら当然こうなるわけだ。


「まったくもって実感がわきませんね……植物も進化が見られますし……世界樹もここまで大きく」


 最初も大きかったはずなのだが今の世界樹はどこまで大きくなっているのか先端が見えないほどになっている。

 植生を見ても時の進みようが見て取れる。

 圧倒的とまで言える自然の力がそこには感じられた。


「さて……土台はこれでよかろう……何しに来たのか忘れたわけではないよの?」


「あぁ……ただ普通に作るのは面白さがないのでね、ちょっと試験も兼ねて違う違う作り方をしようとね……」

 

そう言ってあくまで気分作りなんですがね、と苦笑いしながら作り始める。

 男としては予備動作一つなく作れるのに違和感があると言う。


「夢のままに作るのだから今更な気もするがのう……して、何から作るのかえ?」


「人の人たる所以は道具の利用と伝達能力です。それをある程度の知能と共に生物にも付与して人型となるように仕向けます、道さえ決めておけば人と同じように進化をたどれるでしょう……」


 そう言って男は幾らかの生物を作り出していった。

 彼らは今はまだ動物に近い存在である。

 無数の生物を作り上げた後に男は一つだけ作業をする、彼らを散らすための作業だ。


「神様も見てみますか?ちょっと機嫌を損ねるかもしれませんが……」


「むしろ機嫌を損ねるかもしれないことが気になるのう……」


 するともう1度手をかざし


「彼らを散らすために殺さない程度に厄災となるものを作ります。いやもしかしたら死んでしまうかも知れませんね、彼らには生存本能は与えたので逃げてくれるとは思いますが。」


 厳しくない世界は好きではないのでね、と独り言のように呟いて作り出した。

 どす黒く世界樹ほどの大きな存在を。

 龍のような見た目をしているが全身を黒く包みまさに視覚的にも厄災だと感じさせるようなデザインをしている。

その存在は作られた意図のとおりに暴れ始め、周囲をかき乱していく。周囲の生き物も巻き込まれているかもしれないが生き残る数さえ多ければいいのだ。生き物たちはその存在を恐れ、突然現れた厄災から逃げていく。

 厄災自体はただただ暴れているだけで目的はない、作られたとおりにその場で暴れているだけではあるが他の生き物の知るところではない。生物達にはその厄災の届かないところまで散ってもらう必要があるのだ。

 

「作ったその場で殺しかねないその行為、確かに不機嫌になりかねないというのはわかったのう……ただのう、不機嫌になると言うよりはむしろ感心しておる。可愛がりすぎてて殺せなさそうに見えたからのう……」


と言うアウラの目は懐かしさを感じる中でどこか楽しそうに見えたのであった。



視界内にはもう生物たちは見えない。そう確認すると厄災を消す。暴れたあとは地形にしっかりと残り、やはり何体かは巻き込まれてしまった死骸が見える。


「まぁ誰かしらが死なないと脅威とは思ってくれませんか……まぁこれで次が決まったのですが。」


「死んでしまったものになにか役割を与えるのか?」


「簡単なものを与えようかと、私のところでいうモンスター……みたいなものの基礎になってもらうつもりです。」


 そう言うと死骸を集めてくる、そうしてそれに対して


「これらの死の時の恐れをほかの生物への敵意に差し替えます。この世界では魔力尽きぬ限り形は残りますからね、知能の度合いも様々にしてしまいましょう。形も別物に、様々な進化を見せてもらいたいものですね。」


 そう言って死骸から新たに作り出すのは男の中のイメージにある魔物、モンスター、そういった類であった。

 スライムから虫類におけるまで様々な容姿が並んでいく。


「これが君のイメージ似合った魔物というものか、奇妙奇天烈な見た目をしているのう……」


「彼らには魔法の礎にもなってもらうべく扱い方を本能の一部に組み込んでみました。まぁ、まだこの段

階では争わずに互いに種族発展をして欲しいところです。」


 魔力を用意して使い方を知らなければそれはないと等しい。

 生物達にはこれらから生き延びる上で使い方を理解して欲しいと考えたのだ。


「となると進化待ちかの?また時間を飛ばさずに。」


「まぁこれとは別に特段作りたい種族がいるのでそれがうまくいかなかった時はテコ入れしたいですからそうなりますね。」



 その後、アウラと共に世界の様々な地点を観光を兼ねて見て行った、やれあれはなんだ、これはなんだと二人して興奮気味である、一応作ったのは自分のはずだが。

 そうして訪れた場所に魔力が引かれやすいやすくなるような結晶を生成していく。

 モンスターも今度からそういった場所を好むように付け足した。

 これでその周囲に行かない限り今は襲われることは無い。

 後に勢力が大きくなれば出会うこともあるだろうができるだけ遅くなるように離れた場所に設けた。

 場自体は時の経過と共に肥大化していくし生物の住処も範囲を伸ばすだろう。

 互いにそのめぐり逢う時までに進化を果たしてほしいと男は願った。

 こうしてこの世界にもようやく生命の営みが始まったのだ。


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