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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第5節 厄災編
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修行、遊び、実践 ②

「私の体温じゃなくて、その手先の感覚をよく覚えるんだよ?今度はこれを私なしでやるんだから……」

「はーい……」


 その時の感覚ははっきりと覚えています。レヴィアさんは確かに冷たかったけどレヴィアさんの手のひらから出てるあの暖かい流れは忘れようとしたって忘れられるものではありませんもの。でもあの時レヴィアさんがどんな顔をしていたのかは全くわからなかったのです。

 でも不思議といい顔ではなかったような、その魔力は覚えているのにその顔だけ黒く塗りつぶしたようにぽっかりと思い出せません。


「……はい、これでいいかな?じゃあ自分だけでやってみるんだ」

「んー………こうやって出したらさっきみたいに……さっきみたいに……」


 ひょろひょろと細い魔力が手から伸びた。

……やっぱりいきなり同じようにはできませんね。でもきっとちょっと前まで触ったことない魔法が使えるのだからきっと進歩はしていると思います、いや思いたいです。

それよりも失敗したときと比べると一回りぐらい細長くなったような……


「んー……動かすことに意識しすぎて出力が下がったね……動かすのが目標だったからいいけど今後はこれを太く、より自由に扱えるように……ってそんな風に言うのは後でいくらでもできるか、まぁ合格、よくできたね、じゃあ今日はここまでにして帰ろうか」

「はーい」


 そういって撫でてくれるレヴィアさんはやっぱり素敵な人……いや人魚さん? 

なんというかレヴィアさんは私に何か興味をもったとは言っていますが私にとったら生活を変えてくれた方なんです。初めのころは私にご飯作ってくれましたし……そもそもここの世界の料理は作れないと言ってた

のにもかからわず私もおいしいと思う料理が作れる時点で不思議な方でもあります。

 不思議……といえばそもそも剣に憑いてること自体が不思議です、前にレヴィアさんは何者かと聞いたときも「私?んーそうだねぇ……ちょっと今この世界にはいない存在?かな……」とあやふやな返答をされてしまいました。

……まぁどんなに不思議な人でも私が頼れる大事な方には違いありませんね……でもあの姿は人目につくというか……


「なにしてるんだい?おいて行くよ」

「あ、待ってくださーい!」



「ご馳走様でした」

「お口にあったようで何より、はいどうぞ」


 帰宅後、いつものようにレヴィアさんが腕を振るってくれた。私も作ることはできるけどレヴィアさんみたくおいしくつくれるかというと怪しい。

というかレヴィアさんは容赦なく魔法を使っている、水が欲しければ自分で作り出すし、火が欲しければ自分で用意して器用に調整してつかってしまう。現に今もさらっとお茶を魔法だけで用意してしまった。

そういえばレヴィアさんはそんなに大盤振る舞いしていて魔力というものが尽きないのだろうか?


「レヴィアさん、レヴィアさんは魔力が尽きないんですか?」

「ん?私のMPのことですか?あぁ……鑑定できないのできなかったね。ほらこれでどうだい」

「すごく……数字ががいっぱいです」

「変な言い方するね……まぁ最近魔法いっぱい使ってるから枯渇を心配したんだろうけど、まぁこれだけあるからなくなることはないね。ほら、こうやって火を灯しても値がほとんど減ってないでしょ」

「おおおー……」


 そういえばこれだけ魔力があるのなら城の【魔法使い】が稀につかっている《変装》もずっとできるのではないだろうか?


「レヴィアさん、それだけ魔力があるのならその……尾ひれも隠せるのではないですか?」

 

 すると一瞬にして先ほどまでほんわかしていた空気が冷たくなり、日中にも感じた黒い塗りつぶしと同じ存在が感じられた。


「……尾ひれはやっぱり人目につくから?」

「……い、いえそんなことは……」

「いいよ隠さなくて……殺したりは……しないよ?」


……怖い。これが先ほどまでほんわかとしていた私の大事なレヴィアさんだろうか。

 彼女は笑顔だが空気が危険だと言っているかのようだ……戦争で身の危険を感じたときの度合いなど比べ物にならないほどにそれが危ないものだと言っている。


「ねえ?」

「ひっ……」

「…………」


 ゆっくりとこちらへ近づいてくる、怖くて動けない。レヴィアさんが私の頬に手を当てたときにはもう声すら出せなかった。しかしなぜかレヴィアから目がそむけない、瞼を落とすことも叶わない。


「……ふふ、初めてだからこれだけで許してあげる、殺さないんだから泣かないでほしいな?」

「あ、ああ……」


 後のことは覚えていないが再び目が覚めたときにはいつものレヴィアさんだった。何か理由があって触れてほしくない話題だったのかもしれない、二度と言わないでくださいねとくぎを刺された、私だってあんなレヴィアさんは見たくないから言われなくてもそのつもりです。



 部屋で少女が気を失っている、粗相までしてしまっているが起きたことを考えれば年相応なのかもしれない。


「……無知は悪いことではない……でも触れてはいけないラインにいきなり触れてしまったね」

 

 残念そうな目で恐怖にゆがんだまま気を失った彼女を着替えさせる。

……私はこれだけで済ませるといったのだからこれだけで終わりにする。


 確かにこの尾ひれはこの世界ではかなり目立つ……それは百も承知のこと。それでも隠しては?

などと言ってはいけない。出来ないというわけでは決してないし誰かに言われたわけでもないけど……これだけは口にすることさえ私には許せない。「実は事情があってそれはできない」そういえばそこでもう少女は触れてこなくはなるし、それが一番平和だとは思うけど、でもこのことに関してはそうはいかない……私の身体は決して誤魔化してはならないんだよ。


「ごめんなさいね」


――あぁそうだちょっとばかり発散してこよう、丁度いい相手が今なら姫様の元にいるではありませんか。



前回ちょっと変な切り方だと思った人多いと思うんですが要するに視点ヲ変えたかったんです。

技術的に視点変えた後に長々続きそうで落としどころか作れなさそうだったのであの形を取りました。


28日追記

レヴィアの口調がアスタリアと入れ替わっていた事に27日の朝に気が付きましてここ数話に渡って改稿しました。

レヴィアの印象が固定されてしまった読者には非常に申し訳ありません、内容自体は一切変わらないので改稿したら再度見ていただけるとありがたいです。

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