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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第3節 神様人化編
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語弊がある表現

 部屋に戻ると丁度男は目が覚めたところのように見える。ただその背後でティナは慌てて呼吸を整えていた、どうやら際どいところで男の目が覚めてしまったようだ。


「……えっと……ティナさん、大丈夫でした?」

「な、なんとか……あと数秒彼が見回すのが早かったら危なかった……」

「……なら良かった……ちょっとマキナが戻ってくるのが遅かったですわ、ごめんなさい。」


 そのやり取りを聞いて男は何かあったのかと聞くが二人共答えるつもりは無いと遠まわしに言われてしまった。


「とりあえずおとーさん、気分はいかがですか?」

「久々すぎてちょっとやられたぐらいだよ、今はもう大丈夫だ。」


 そう言って腕を回したり、首を回して元気なことをアピールする。


「何かあったら表へとリースさんが言っていましたので、マキナが目が覚めたこと伝えてきますね。」

「あ、それは私も行こう、お礼がしたいからね。」


 表に出るとリースが恐らく軍人と思わしき【獣人】と話をしている、対応しているリースもその顔つきは先ほど案内していた時とはまるで別人のようにさえ見え、恐らく仕事の話だろう。


「……でここのパーツデータは後日……仕様はここに……」

「……ええ、請求は……」


 話を聞くのも悪いがその場に立ち往生なのも気を使わせて宜しくなさそうなのであたりを見回すと丁度ティナに小声で先ほどの部屋とは違う部屋に手招きされた。


「あの所長の話の感じは多分長引きますからとりあえずこっちへ……」


 部屋に入る際に軍人にちらっと横目で見られた気がするが止められなかったので恐らく大丈夫だろう。

 部屋に入ると先程までのエンジンが転がっている部屋とは打って変わって所狭しと図面が並んでいた。


「たはは……汚くてごめんねぇ。私の仕事場なんだけどね……所長が手空きになるまでちょっと勘弁して?」


 そう苦笑いしながら椅子はどこだったかなと図面を片付け始めた。

 この光景に男も似たような経験が過去になかった訳では無いなと思い出した。


「これ全部ティナさんが作ってるのですか?」

「んー……半分は外から持ち込まれたやつかな、私はそれを改良したり新しいのを作るのよ。表にいた軍人はそういうのを持ち込む人かな、軍服は着てるけども私と同業者なのよね。一応組み立てたり調整するのは所長だから……あ、まだ汚いけどとりあえずここに座って。」


 つまるところこの工場は先ほど入港してきたアイヴィスのエンジンを担当する工場だったということだろう、思わぬ出会いもあったものだ。

 そんなことを思っているとマキナがふとあることを聞き出した。


「そういえばティナさん、リースさんがティナさんが私達を連れてきたのを信用してると言ってたんですが、どういうことでしょうか?」

「うえ?!所長そんなこと言った?!」

 

 急になにか考え込み始めた、なにか聞くのはまずい話だったのだろうか。

 何故か悶え始めたティナはしばらくすると諦めたかのように語り始めた。


「いや、この街に旅の人は珍しくないんだけどね?魔術適正のない私でも感じるほどの魔力の塊を感じたわけ。絶対なにかある、もしかしたらエンジンの設計が神様から降り注ぐかもしれないって……まぁご存知の通り徹夜明けだったのもあるんだけど……そんな感じでついてったらあなた達だったと、神様の使いかと思ったわけよ……ああ……恥ずかしい。所長が信用してくれてるのは嬉しいけどこれとそれは別だったのよ……」

「「…………」」


 深夜テンションとでも言おうか、徹夜明けというものは恐ろしい言動や行動を引き出すことがある。

 それにしても神の使い……あながち間違っていないが否定しておかないと不味い気がする、これで降りてくる前に試験的に実装した【鑑定】が一般に広がってれば嫌でも勘づかれてしまうかもしれない。


「神の使いなんかじゃありませんよ、確かにこの街では少しマキナたちは珍しい種ですが……ね?おとーさん。」

「……そうだね。ところで君はいつからこの仕事を?見た目以上にかなり高い技術を持っているようだが……」


 不意に視界に入った図面をみながら話題を切り替えて話を逸らそうとする……しかしながらこの時は質問のチョイスが悪かった。


「えっあっ、な、なんて質問をいきなりするんですか!年齢ですか、年齢なんですね?!もしかして最近見つかった【鑑定】ですか!?ひあっ、か、【鑑定】なんてしないでぇっ!」

「……は?ティナ、どこで【鑑定】なんて聞いた?!」


 前言撤回、既に一般に広がっていた。

 広まれば材料だろうと技能だろうと確実に知ることが出来る、そのつもりでここに降りてくる直前にこっそり実装したばかりだ、何が何でも早すぎる。

 たまったものでない、偶然の産物にここで視察を止めさせられたら困るのだ。


「ティナ!また迷惑かけてるんじゃ無いでしょうね?」

「し、所長!私全部見られちゃいましたあああ!」

「はい?!」


……特定の単語で過剰に暴走しだす彼女を何とかせねばならない。

 誤解を解いた時には既に日は落ちかかっていた。

 


「いや二人共、うちの娘が本当に失礼した。ほらティナも謝るんだよ!」

「う、うう早とちりしてごめんなさい……」

「いや、解けたようでなにより……あぁでももう一人の連れに心配かけるのもまずいから今日はこのあたりで帰ろうかと。でもいいものを見せてもらいました。」

「っ?!おとーさんも言い方。」


 何故か娘に白い目で睨まれてしまった。

 とりあえず【鑑定】の件は広まった以上一度話さなくてはならない、勝手に実装してた以上説明しなくては……まずは宿に帰って研究室に移ろう、神様にも言うべきだ。

 そう思いつつ彼女らの工場を後にした。


「おとーさん、【鑑定】ってどんな感じなの?」

「んー原理はシンプルだけど……前にステータスは実装してたろう?それが見える。ほら」


『マキナ ♀ 0歳』

『【オリジン】Lv-/- MP-/- SP-/- HP100/100 HealingTime 0』

『スキル:創造 改変 遮断』

『状態: 世界の理の影響下』


「……やっぱりここの時間改変は適応されずに0歳なんですね……」

「まぁそれは稼働時間だからなぁ……とりあえずこんな感じに……ん?まだデータがあるな……えっと……身長、体重……B80、W58、H87……?なんだこれは?」


 そんな値設定した覚えはないのだが……と悩んでいる横でマキナの顔がどんどん赤くなっている。


「……マキナ?どうした?」

「……お、おとーさんの……おとーさんの……」


 声だけでなく彼女の手も震えている、一体なにかしただろうか。


「……ま、マキナ……?」

「おとーさんの、バカあああッ!」

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