異変
そのあとは何事もなくことが進んだ。
……陛下が剣をささげている後ろで誰にも見えないようにカゴが魔力を送ってるのには笑いかけたがあの場で笑ってしまっては自分の首が危ういので思わぬ方法で殺されかけたとしておこう……
――まさかカゴちゃんのお役目があんなのだとは思いもしなかったぜ
【ギルド】も大慌てで依頼を出し始めた、実のところは城の調査依頼自体は出ていたそうだが城の存在すら知らなかったためにいたずらだと思っていたそうだ。
確かに空飛ぶ古い城なんてふつう聞いたら嘘だと思うのが常だろう。
……しかしながら調査しようにも問題があった。
まず侵入方法だ、一部の高位な【魔法使い】は数人なら飛ばせるので入ることができるが、数百人単位の軍隊を送る事は消耗を考えると難しい。
なら強い奴らで【パーティー】を組ませればいいのではとも思ったがどうやらそれがうまくいかないらしい、内部の魔物が奥に行けば行くほど異様に強くなるとのことだ。
そこで【ギルド】を含めて様々な人間が大量輸送手段を研究開発しているらしい……というのが現状なのだが……
「なぁカゴちゃん、この剣を戦いに使うなって言ってたのはやっぱりそのためか?」
「あー……そうかもしれませんねぇ……その剣、出所だけ見れば聖剣みたいなものですから……あの人の作ったものですし性能も……」
二人の目の前にあるのはただの聖剣、刀である。
未完成品とは言っていたが明らかにこの世の剣より優れていると考えていいだろう。
「これをもう一回かざしたらなにか起きたりしねぇかねぇ……」
「いやぁ……さすがにそんなことまではあの方も親切ではないかと……試しにかざきたってほら……」
その時である、大きな地響きがなり、時折物事が崩れる音も聞こえてくる。
「……な、なぁカゴちゃん、あの方がなんだって?」
「さ、さぁ……な、なんでしょうね……?て、それどころではありませんよ!大丈夫なんですか!」
そう言って工房の外を見るとなんということだろう、城が地面から木の根のようなもので固定されているではないか、二人は焦り始める。
「お、おい本当に何もしてないんだよな?!さすがにこれでなにかあったら命も保証できねぇぞ!」
「わ、わたしに聞かないでください!本当になにもしてませんってば!」
慌てているのは二人に限った話ではなかった。
◇
「一体誰があんなことをしたって言うんだ。神様だって弄っていないというじゃないか。」
「私だってさすがに目に見えるような変化は元のほうでもしないぞ、一体誰の仕業だというのじゃ……」
となると信じたくはないがトールかマキナの疑いもある、聞いてみなくてはならないが……
「おとーさん?!あれはおとーさんがやったの?」
「創造主様、さすがに暴挙がすぎます!今すぐ巻き戻しを……」
「落ち着いてくれ二人とも。私たちがやったのではない。」
……どうやら二人も違うようだ、では一体誰が……
考えらえるのは主に二つある。
一つはこの世界の住人のうちのだれかが世界の生物で平均を超えた存在が生まれた、この場合なら世界を滅ぼすなんて言い出さない限りは無視していいことになる。
二つ目は他の創造主が気まぐれか悪意をもって干渉してきた場合だ、稀に幼稚な創造主が他の創造主の世界を羨ましがって干渉するらしい。
二つ目の場合は極めて由々しき自体である、干渉されないように策を練らなくてはならないだけではない。
もとに戻すのにも細心の注意が必要な上にその根源を絶たなくてはまた同じように干渉してくるのは火を見るより明らかである。
アウラ曰く唯一光球の近くにいないということは世界の中で干渉を行っているのでその世界の理をもって排除することができる、というのだが……
「神様……他の神の仕業か、世界の住人の仕業か、どちらだと思います?」
「そうじゃの……しかしこの木の根……どこかで見たことがあるとは思わんか?」
アウラがそういうので城を固定している木の根をよく見てみると……
「おとーさん、これもしかして世界樹の方の木の根じゃないかしら……?」
「マキナもそう思うか?」
「うん……それに……ほらこれ」
そういってマキナに見せられたのは世界樹の世界の少々特殊な映像だ。
世界樹のみが見えるようになっており、根の伸び方や葉の付け方だけを見るのに重宝する、そんな映像のうち拡大して見せられたのはぽっかり穴が開いた根っこの網だ。
「ほーう……要するにこの部分を切り離して向こうに出現させたということかのう……世界構造は一緒だから確かに出現させても壊れたりはしないんじゃが……」
「神様、これ無理やり二つ目の世界の存在に気が付いて【召喚】なり、切り貼りなりしたことになりますよ。」
「そうじゃのう……原因がこの世界の住人ならいいのじゃが調べてみないとわからないのう……」
実際問題、だれが何をやったのかまでは常に監視しているとはいえリアルタイムで見れているわけではない上に現場で魔法や何かを行使しているとは限らないためほぼ世界中を見直す必要がある。
「神様、世界樹の方の観察をお願いしてもよろしいでしょうか、3人で原因の特定をします。」
「うぬ、必要だったら私のところの手伝いも出そう。……他の子でこうやって邪魔されたときは助けられなかったからのう……」
――そういうアウラの顔はとても悲しそうだった……のだが
「まぁ探せばすぐにでもわかる。邪魔しようとするやつならすぐに2回目がくるじゃろう……たぶんこれなら住人の仕業だろうて……」
某オンラインゲームの終了アナウンスで精神が死にかけましたがデイリー投稿だけは頑張る予定なのでなにとぞヨロシュウオネガイシマス。
追記:あまりにもタイトルが読んでて気持ち悪いので直しました。