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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十四節 あれよあれよと花散りて
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動き

 ベットに座り上体を起こしたままマキナは修正し続ける。

 しかしその顔色はそれが上手くいっていないことを知らせていた。


「出来そうか?」

「おとーさん、もう少し待って……」


 彼女の伸ばした手元から眩い光が灯り始める。

 しかし次第にマキナの様子が変わってきた。

 だんだんと顔色が悪くなり、息が荒くなる。


「はぁ……はぁ……んん……」

「……ん?どうした?手を止めて落ち着くんだ、マキナ」

「ま、まだ……」


 どこか存在しない遠くを見つめるよう目をしたまま彼女はその修正の手を止めることはない。

 いや、男が止めようとしても止めないのだ。

 背後にいたトールもその様子を見て画面から視線をこちらに移した。


「マキナ、止めなさい」

「い、いや……」

「止めなさい」


 一体なにが彼女を動かしているのか。

 余りにも脈絡がないこの事態に不安に駆られる。

 マキナの手を握りむりやり創造を加えて彼女の権限を落としてまでしてようやくマキナの奇行は止まった。

 未だ呼吸を荒くする彼女をなだめながらトールへ確認を取る。


「トール、世界の方の状況は」

「……以前、改変に変わりありません。今先ほどジュノーへ報告を求めた所でございます」

「何が起きた?」

「もう少しお待ちください」


 トールが光球から状況を調べ上げはじめた。

 その間にマキナのほうへ向きなおし顔を自分のほうへと手で向けさせる。

 己の手にあてがわれた彼女の手に力はなく、その目はうつろで絶望したかとさえ思わせる程だった。


「マキナ、何があった」

「……変わっちゃう」

「何が変わるんだ?」

「塗り変わる……黒く……」

「一度落ち着きなさい、私が代わろう」

「…………」


 力なく頷いたマキナに代わり男が直接力を振るう。

 男以上の権力はこの世に存在しない、強引にでも止めて見せよう。


 光球を手元に持ってきて意識を世界へ落とした。

 その瞬間、男を蝕むような寒気が全身を駆け巡る。

 目を見開いた慌て様にトールも心配する様子をこちらにも向ける。


「……っ?!」

「だ、大丈夫でございますか」

「……問題ない。寧ろ他の【守護者】に身構えさせろ、直接ことを構える必要があるかもしれん」

「かしこまりました」


 ふぅ……なんだったんだか。

 一度深呼吸をして改めて向かい直す。

 この時だけは普段使い込んだ光球がなにか得体の知れない禍々しさが伴っている気がした。


 意識を落とし世界の様子を見つめる。

 そこには表面だけはそのままに内部の理がずたずたにされた世界が相見えてきた。


 男が己の存在を意識した場所、視点となる場所から世界が男の記憶に基づいて修正されていく。

 元人間の男が行うより本来であれば完全な記憶を維持出来るマキナ以下【守護者】が行うべきだが今回は異質なため仕方ない。


 さらに修正を進めていくとなにやら変な存在、棒のようなものが塊の異変として認知できた。

 周りの壊された理と異なり丁寧に壊した跡をコーティングでもするかのように護られている。

 この周囲に限っては男の修正と改変が拮抗しており考えるにこれが原因の大元だろう。


「……神様のセンスじゃ無さそうだ」


 男はアウラが遂に侵攻したものだと片隅で考えていた、これはその一端だと思っていたのだ。

 不意に男の存在に直接音が聞こえてくる。

 それもかなりハッキリとしているではないか。


「**** **** * ** ** ***……」

「っ?!」


 聞き覚えはあるが言葉にできない言語。

 何かを唱えるような、歌い声。

 さながら祈る様な、許しを希うような抑揚だ。


 音は次第に大きくなり、男の周囲には何も無いにも関わらず反響し始める。

 その声も一点であったはずなのに次第にどこを向こうとも同じように聞こえるほどになりつつあった。

 

 段々と存在が引き込まれてしまう。

 世界を見ているとき、また世界も創造主の息を感じられる様に男は強引にその元凶に引き込まれる。

 時間がかかることもなく男の存在は原因であるだろうこの棒の前へと収束された。 


 気が付けば声はもう聞こえていない。

 代わりに聞こえだしたのは何者かが背後から近寄ってくる足音であった。

 間違いなくそれは原因の何かに違いない。

 男は引き金を引くつもりで相手の出方を待つ。


「** ***……やぁやぁ、君がここの創造主か」

「……悪いが帰ってもらおう。君らみたいな好き勝手にする異物は今は特にいらないんでね」


 振り向きざまに答えながら容赦なく引き金を引いた。

 一回、また一回と繰り返し引き金を引く。


 そして……視覚から入る情報の限りではその発射された光弾は間違いなく命中した。

 確かにそれはその原因の存在を蝕み、世界から存在の痕跡すら残さず消されようとしている。

……しかし存在が消えているように見えるだけで全く消えていないどころか消えようする様子さえ見えないのだ。

 見間違いなどではないだろう。


「……これだけかい?」

「……そんなまさか」


あけましておめでとうございます。

正直なところちょっと1週間アレで空くかもしれません。

その際はそういう戦いの時期なのでちょっとお待ちくだされば、と

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