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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十三節 加速
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世界を超えて

 なかなかに条件と制約が厳しいことを感じつつ、男は一度思考を放棄した。

 どうにも堂々巡りをしている気がしてならない。


「まぁ課題は、今に限ったことじゃない。何もその場で解決できる物ばかりじゃないのは百も承知だしな」

「……まぁうちには大問題なんやけど……今はこっちにしか居られんし……もう一個の方は怖くて近づけないんやぇ」

「もう一個……?あぁ、【魔族】に任せてる方か」


 確かにあちらは創造主を手にかけた事のある輩もいるし、我々のような存在を相手にし慣れている、完全に味方、というより隣人に近い彼らの元には自ら近づきたくはないだろう。

 しかしそのもう一つの内容を知らない【守護者】が居た。


「ん?それはどういうことだい?そっちの世界はよく知らないし、こちらから覗いた限り確かに凄まじい人達だなぁとは思うけど、恐れる程な訳ないんじゃないかな?」


 不思議そうな顔をするジュノーに対し男はなんと説明したものかと頭を掻く。

 彼女の感覚で行けば創造主が自ら寄り添ってた世界は確かに知らない世界なのだろう。


「あー……トールからも知らされていないのか?」

「ん?僕は存在こそ認知されてるけど指示も情報も飛んできてないよ」


 頭を抱えた。

 トールとしては【守護者】言えどもしもの際の情報の抜けや裏切りを警戒してのものだろう。

 軽く説明を加えると今度はジュノーが青ざめた顔をしてしまった。


「はは……無害だから迎え入れたって?神殺しを?で、その上制約ほぼなしで世界を一つあげたって?はは……いやいや、えぇ……」

「うちが行きたくない理由がわかったやぇ?」

「ああ、とても良く分かったし僕も行きたくないね……そもそも武装解除もしないで放任ってだけでも怖いな」


 そう言ってジュノーはわざとらしく腕を組んで身震いしているようにみせた。

 彼女でさえそんな所にはやはり行きたくないというか。


「まぁ……魔王の方はほっといても動くからな、特段関与する必要はないし、大抵は彼ら自身で処理してしまう……此度の神様との件は基本不関与を決め込んでいるようだがね」

「創造主を殺して殺された果ては不関与なのかい?」

「少なくとも世界がなくなるとでもならないと腰をあげないだろうな」

「へぇ……」


 その後暫くルルイエらの話を加え、アイヴィスに直々に使い方を指南する、と言うので私はこの場にいる必要がなくなった。


「さて、こんなところか……トールには一つ事を付け加えておく。突然済まなかった、アイヴィスの件は先に感謝しておく」

「いや、これぐらいなら構わないさ。それより誤爆されてさっきみたいになる方が嫌だからね……」


 そう言ってチラリとアイヴィスの方を見て軽く肘で突くと、アイヴィスは今後は何も知らないつもりなのか視線を合わせない。


「知らぬ存ぜぬなんてまた意味の無いことを……まぁなんだ、いい結果になることを期待している」

「いい結果、というより報告がないことが一番だと思っておくれよ。その為なんだから」

「ははは、そうだな。じゃあ頼んだ」


 そのまま振り返り歩き始める。

 歩き始めたあたりで「覚悟しろ」だの、「ひぃっ」だのなかなか愉快な声が聞こえたが振り返らずにそのままその場をあとにした。


 最早、白い空間に最初は抱いていた浮遊感と遠近のつかめなさによる気味悪さは感じられない。

 何か見えてもいいかもしれないと不意に思いつつ部屋へと歩を進める。


「……ん?」


 その時不意に遠くになにか黒い点が見えた気がした。

 その点はなにやら右へ左へふらふらとしていたように見えたのだが……


「ん?消えたな」


 突然止まったかと思えばそのまま消えてしまった。


「……はて、【守護者】かね」


 確かめようがないのでそのまま研究室へと進んだ。

 目的の扉はもう遠くに見えている。

 扉を開けてみれば研究室のはずの部屋が少々作り替えられていた。


「あぁ……様子は?」

「見てのとおりでございます。それと部屋についてはお許しを」

「必要だ、かまわん」


 本棚のいくつかが取り払われ、そこから部屋が増えていた。

 その部屋にはシンプルなベットが置かれ、その上ではマキナが横たわっていた。

 飾りでしか無かったものだ、特に気にはならない。

 しかし気になるといえばその娘に何もかけられていないことか。

【守護者】には寒がるなんてものが無いんだろうが見ているこっちが寒々しくなる。


「見た目的に……せめてなにか薄くとも何か掛けてやるもんだろう」

「むしろ暑いのでは?と思いまして、常にそういった情報は固定されていますので……」

「だろうけども、見ていていたたまれん。せめてタオルでも……こう、な?」


 そう言って手をマキナの寝ている方に差し出して無地のタオルケットがマキナに掛けられた。


「あとはそっとしておこう……で彼女はどういう状態だ?」

「先程まで権限を失った状態で存在に歪みが出ていましたが急にそれが復旧しまして……あとは彼女が目覚めれば一段落でございます」

「そうか……」


 肩の力が抜ける。

 あの神様のことだ、【守護者】としては再起不能も考えてたがそれは避けられたようだ。

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